補足海上保安庁による被疑者の逮捕は多くはない。海上保安庁は警察と異なり、留置施設を有しておらず、逮捕後の身柄は拘置所に収容する必要がある。その意味で、今回の逮捕は異例であると言っても良い。 今回の逮捕が、検察と事前協議の上での決定であることは間違いない。 検察は、関係証拠を事前に精査の上で、証拠上過失が認定できることに自信を持った上で、逮捕を了承したと思われる。 逮捕まで長期間を要したのは、事故原因について船長の聴取ができず、学者等の専門家の鑑定が必要で、これに時間を要したからではないか。 検察は、送致後、20日間の勾留を経て、起訴(公判請求)すると見込まれる。検察で、過失の認定が揺らぐことはないであろう。 今後の捜査次第ではあるが、被疑者の従前の言動からすると、過失を争い、無罪を主張する可能性があり、その場合、公判は長期化するであろう。
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コメンテータープロフィール
北海道出身。平成6年早稲田大学法学部卒業。平成8年司法試験合格。平成11年検事任官。東京地検,札幌地検岩見沢支部長等を赴任。平成22年検事退官。同年釧路弁護士会弁護士登録。一般刑事・民事・家事事件全般を取り扱う。
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