補足この事件は、当初は、大分地検が、危険運転致死罪の適用が困難であると一旦は判断し、過失運転致死罪で公判請求したという事件である。 その後、地検内部で再検討したところ、危険運転致死罪の訴因(検察官が犯罪として起訴した事実)を追加したという経緯がある。 なお、検察は、危険運転致死罪が無罪となった場合に備えて、過失運転致死罪も予備的訴因としている。 このように、検察でも判断に迷ったという経緯がある事件である以上、弁護人が危険運転致死罪の成立を争うのは、当然である。 危険運転致死罪の成立を争うことは、弁護人としての義務とも言うべきで、逆に争わなければ、弁護過誤に等しい。 過去には、危険運転致死罪で起訴したものの、成立が否定された裁判例も多々あり、本件も判断が微妙になる事件である。
コメンテータープロフィール
北海道出身。平成6年早稲田大学法学部卒業。平成8年司法試験合格。平成11年検事任官。東京地検,札幌地検岩見沢支部長等を赴任。平成22年検事退官。同年釧路弁護士会弁護士登録。一般刑事・民事・家事事件全般を取り扱う。
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