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阿古智子

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東京大学 総合文化研究科 教授

報告

解説中国はアフリカ諸国に大規模でスピーディーな融資を行い、インフラ建設などを進めてきました。インフラ施設は流動性の低い資産であり、多くの途上国において債務の返済は遅れていますが、融資の回収を急ぐ中国は債務返済の遅延に対する罰則を強化しています。今回の提案のように無償資金援助であれば、途上国が債務の罠に陥ることを避けられますが、軍事や安全保障の分野で協力を進めるとなれば、アフリカ諸国はより構造的に中国の支配下に入ることになります。つまり、中国は欧米諸国に対抗し、新興国を取り組むための戦略をしたたかに進めようとしています。ただ、急速に悪化している中国国内の経済情勢も見た上で、パワーバランスや世界秩序の構造的変容を分析する必要がありそうです。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 石川智久

    日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

    見解アフリカは人口が増えており、世界経済の最後のフロンティアと呼ばれています。こうした中、中国は近年、ア…続きを読む

  • 富坂聰

    拓殖大学海外事情研究所教授

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コメンテータープロフィール

阿古智子

東京大学 総合文化研究科 教授

1971年大阪府生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。大阪外国語大学、名古屋大学大学院を経て、香港大学教育学系Ph.D(博士)取得。在中国日本大使館専門調査員、早稲田大学准教授などを経て、2013年より現職。主な著書に『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告』(新潮選書)、『超大国中国のゆくえ―勃興する民』(新保敦子と共著、東京大学出版会)、『香港 あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ)など。

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