解説地球近傍で運用されている人工衛星、特に高度500km程度よりも低い軌道を周回している衛星は、寿命がつきると数年程度で地球の大気に再突入します。衛星の大部分は燃え尽きるのですが、素材として多く使用されているアルミニウムは微粒子となって残り、成層圏などの高層大気に影響を与えることが懸念されています。京都大学と住友林業が共同で開発したLignoSatは、衛星本体を構成する部分(構体)を木材にすることで再突入時に燃え尽きやすく、アルミニウムの微粒子も出さないのです。近年では超小型衛星の打上げ数が増えて用途も広がっている中で、運用終了後を見据えた新たな衛星の材料が求められています。打上げ実証で通信機能など衛星としての性能を十分に満たすことが明らかになれば、新たな材料の市場を拓くことができるでしょう。
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コメンテータープロフィール
1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。
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