奨学金返済は40代まで続く 安易に借りすぎず、計画的な返済を
シンガポール在住、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子です。FPとして様々な家計を見てきた中で借金はライフプランや家計に大きく影響を与えるということが言えます。
これから大学に進学をし、奨学金を利用する人も多いと思いますが、事前に返済プランまでしっかりと立てて借り過ぎないように気をつけましょう。
大学にかかる費用は
大学に納付する費用は入学金が含まれる初年度が一般に最も高額になります。初年度に納付する費用は、国公立大学なら約80〜100万円前後、私立大学(医・歯学部系除く)なら学部によりますが約120〜160万円前後が平均的な金額となります。
学費(総額)の目安
国公立大学 約240万円~260万円(4年間)
私立大学(文系) 約390万円(4年間)
私立大学(理系) 約540万円(4年間)
私立大学(医歯系) 約2300万円(6年間)
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_1.pdf
有利子の第二種奨学金を借りる場合
第二種奨学金は、有利子で、月額2万〜12万円までの範囲で決められた金額から選ぶことができます。私学の医・歯学部は、上限16万円まで、薬・獣医学部は、上限14万円まで増額して選択することができます。大学院に関しては月額5万円、8万円、10万円、13万円、または15万円となります。法科大学院の法学の場合は15万円に4万円または7万円の増額が可能。
奨学金の返済プランの例
例えば、2023年度に私立の文系大学に入学をするAさんが、第二種奨学金を利用し、入学時特別増額貸与奨学金として、30万円(貸与利息0.569%)、卒業までの48ヶ月の間に毎月10万円を借りる場合(貸与利息0.369%)としましょう。貸与総額は510万円となり、利息も含めた返還総額は約530万円となります。
Aさんはその後、社会人となって大学卒の平均的な初任給(2021年)22万5400円をもらうとしましょう。初任給の一般的な手取り額は額面給料の8割程度で18万円程度となります。そこから奨学金の返済として毎月2万2111円を支払うと、Aさんが月に自由に使えるお金は15万8000円程度となります。
そこから、家賃6万円、水光熱費1万円、通信費1万円、食費3万円、交際費等の娯楽費2万円などと生活に必要な支出にあてるとほとんどお金が残らなくなってしまいます。
繰り上げ返済などをしないまま毎月2万2111円を返済し続ける場合、20年間継続させてようやく完済ができます。Aさんは40代になって、結婚をし、子供がいるとしても奨学金の返済は続くのです。夫婦ともに奨学金を抱えている場合は家計の負担も重くなります。
例えば、カップルの手取り月収が50万円で、奨学金の返済が合わせて月5万円の場合、当然ながら生活に当てられるお金は月45万円になります。そこから、家賃、水光熱費、通信費、食費、子供の教育費を支払うと、将来のために備える貯蓄などが非常に難しくなります。
そのために、奨学金を借りる場合は計画的に借りて、返済プランも余裕がある時期に繰り上げ返済をするなど早期に完済をするなどの工夫が必要なのです。
下記サイトでいくつかの質問に回答することで、貸与総額や毎月返還していく金額、返還が完了となる時期等を試算することができます。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人のテーマ支援記事です。オーサーが発案した記事テーマについて、一部執筆費用を負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】