韓国男子サッカーU-18代表による”優勝カップ踏みつけ問題”、日本の立場から意見すべきこと。
30日に中国の成都で起きた韓国男子サッカーU-18代表”優勝カップ踏みつけ問題”が、中韓の間で大きな問題になっている。
事は、同地で行われていたユース世代の親善大会「パンダカップ」授賞式の後に起きた。
タイ、ニュージーランド、中国に勝利し、優勝を果たした韓国男子サッカーU-18代表。そのメンバーがピッチ上にカップを置き、靴を脱いでこれを踏みつけるポーズを取った。
これが30日に中国のSNSで拡散されるや、現地で大論争が巻き起こった。「冒涜」「非道徳」、さらにそのポーズが「用を足しているように見える」と。中国語での関連記事に対し、10万を超えるコメントがついた。
中国サッカー協会がこれに反応。韓国側に抗議を伝えた。カップの剥奪も決まっている。今後、アジアサッカー連盟側に事態を報告し、適切な処置を求めていくのだという。
“トロフィー踏みつけポーズで優勝はく奪”韓国サッカーU-18、懲戒などの処分は「規定に従って決定」=大韓サッカー協会
スポーツの現場で「敗者を挑発」。過去に日韓でも同様の出来事が
日本国内でも次々と報じられている今回の件。じつのところ日本はまったくの当事者ではない。
ではこの件のどのポイントについて、何を思うべきなのか。
結局のところ、改善のない韓国サッカー界の体質についてだ。
勝者が、敗者を挑発してどうする。
スポーツの現場での非紳士的行為に良い悪いもない。ただ、まだ「敗者が思わず感情を顕にしてしまった」というのならその図式はなんとか理解できる。
しかし勝者のこの行為は決して看過できない。
見るべきは、2012年8月の「ロンドン五輪男子サッカー3位決定戦後の竹島プラカード騒動」と本質が似通っているということだ。
あの時も戦いに負けた日本の選手たちがいるピッチ上で、勝利した韓国による挑発行為があった。韓国は銅メダルを得て、日本は手にできなかった。
領土問題がどうだ、という点はここでは差し置く。あの後、日本側は事態に対し、口を出すのを止めてしまった。そのなかで国際機関を通じた処分が下された。「プラカードは本人が持ち込んだものではなかった」とされ、授与が保留とされていた銅メダルもあのパク・ジョンウの元に渡った。
いっぽうで記憶に留めておくべきは、あの現場で、敗れた日本に対して挑発する行為を行った点だ。スポーツの現場での、敗者へのリスペクトの欠如。またこの出来事が、韓国から起きたのだ。
そこを問題視しつつ、かつ韓国を招待し、優勝国としてカップを授けた中国側の心情を慮るべきだ。
韓国はこの大会で、3試合を通じわずか1失点、9得点で優勝。それだけで素晴らしいことではないか。いっぽうカップを授けた中国側のU-18代表は1ゴールも奪えず、3連敗の最下位で大会を終えた。
今回の事件は、大会最終節の中韓対決で、韓国が3-0で勝った直後に起きたものだった。
筆者自身は感情に走りすぎる韓国叩きに加わる考えはないが、ここのところは言っておかないといけない。韓国サッカー界は、ロンドン五輪での出来事の本質をスポーツ的な観点から見極めることが出来なかったのかと。
負けた相手を挑発したから、当事者と周囲は怒っているのだと。
韓国内でも強い批判。”日本”を引き合いに出した記事も
今回の件、韓国側からも徹底的な糾弾が続いている。
ポータルサイトで最も影響力の強い「NAVER」は、昨日からサッカーコーナーのトップイシューとして関連記事をピックアップしている。
事が大きくなった昨日からの各紙の見出しはこういったところだ。
「若い選手たちが最悪な行動をした」(サッカー専門誌 ベストイレブン)
「中国のパンダカップで優勝した韓国U-18チームが不適切な行為で大会を冒涜した、という論争を起こした後、優勝カップを剥奪された」(デイリアン)
チーム側も現地サッカー協会に出向き、団体で謝罪を伝えた。
「サッカー選手として重大な間違いを犯しました。再び今回のような間違いに対し、謝罪します」
「韓国と中国のサッカー協会の友好関係が引き続き維持されることを願います」
前出の「ベストイレブン」はまた、今回の件が「未成年によるものという点にも、情状酌量の余地なし」とのスタンスだ。
「若い選手たちは、太極旗をつけて大会に出場した。彼らは若いものの、厳然たる大韓民国の”代表”だ。しかし代表選手らしくない行動により太極旗に泥を塗った。別の国に対して悪口を言わない、といったレベルの基本的なエチケットだ。実のところ、彼らはもはや若いということもない」
「この情報に触れ、同じ国民として恥ずかしさから顔が赤くなった。彼らをコントロールできなかった大人にも責任がないわけではない。韓国サッカー界は毎年行われる小さな大会の優勝カップを得て、国としての格を失った。風格を失ったのだ」
(注:後に、カップは剥奪となった)
また、「スターニュース」も中国メディアの記事を引用し、徹底的に今回の件を批判している。
「中国サッカー界、韓国に復讐を予告。”もう招待することはない。日本を見習え」
自国批判で日本を引き合いに出すのは、韓国ではかなり強い論調だ。
U-18韓国代表は、31日に韓国に帰国予定だという。今後、どういったかたちで処置が進んでいくのか。中国の”言うべきは言う”スタンスはどういったものか。小さなカップの行末を今後も見ていきたい。