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注目! シャラップ事件から一年余、再び国連で日本の人権が問われています。ネット中継でも見られます。

伊藤和子弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長
日本の人権状況が審査されているジュネーブ国連欧州本部のRoomXX

日本が批准している国際人権条約である「自由権規約」(国際人権B規約)。知る権利や表現の自由、差別禁止、拷問禁止、刑事被告人の権利など重要な人権を保障する条約ですが、日本の人権状況はこの条約で保障されている権利をきちんと保障しているとは言い難い事態が多く、国連からいつも改善を求められています。

この人権条約の実施状況について今週よりジュネーブで国連自由権規約委員会(Human Rights Committee)による審査が2008年から約6年ぶりに、今週行われます。日本が審査を受けるのは6回目です。

実は、審査はいままさに始まっています。

審査の時間は、本日7月15日15時(日本時間22時)から3時間と、16日10時(日本時間17時)からの3時間、2回にわたって開催されています。実はいま、これを書いているのは、審査が始まったばかりのタイミングで、日本政府からの説明(ディフェンス)がえんえんと続いています。

日本からは、数十名のNGO(市民団体)がジュネーブに行き、審査を見守っています。

私は日本にいますが、ヒューマンライツ・ナウからも、2名の代表が参加して審査を傍聴しています。

この様子、日本にいながらにして、こちらのウェブチャンネルで見ることが出来ます。

政府は(ぼそぼそとですが)、日本語で話していますので、やりとりはよくわかると思います。

http://www.treatybodywebcast.org/treaty-body-webcast-i/

前回の審査は、2008年。民主党政権の頃でした。

その当時も、「公約で人権状況を前進させると言ったのに、あまり進んでいない」と厳しく批判されていましたね。

その後、昨年、日本の人権人道大使が、やはりジュネーブの国連拷問禁止委員会の審査で、日本の人権状況がぜんぜん前進していないことを委員から厳しく追及された挙句、「シャラップ」と発言した恥ずかしい事件が発生。

(詳しくはこちらを⇒http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20130605-00025470/)

この時は、シャラップ発言だけでなく、日本の人権状況そのものの問題が深く認識されました。橋下氏の慰安婦発言や、一向にえん罪が亡くならない日本の刑事司法の問題が厳しく問われ、抜本的な改善を勧告されました。

ところが、日本政府はそれから一年たっても特に拷問禁止委員会からの勧告をまともに実施する気配がありません。

それどころか、それから一年・・・ヘイトスピーチ、昨年末の特定秘密保護法成立、福島原発事故後の対応、袴田事件などの冤罪、慰安婦をめぐってさらに相次ぐ政治家の発言、女性蔑視セクハラ発言、女性差別、そして国民の意見を聞かない集団的自衛権行使容認など、人権状況はさらに悪化を続けて、世界が懸念をしている状況です。

こうした状況のもと、NGOは様々な人権状況の悪化を懸念する報告書を委員会に提出。

自由権規約委員会がどのような審査をし、どのような最終勧告を出すかが注目されます。

今回のテーマは多岐にわたりますが、今回、日本のNGOは協議し、ヘイト・スピーチと特定秘密保護法を重要テーマとして共同レポートを提出しました。

ヒューマンライツ・ナウは、既に以下の6つの事項に関する人権状況についてカウンターレポートを提出しています。

・ヘイトスピーチ

・日本の刑事司法

・従軍慰安婦問題

・福島原発事故後の人権状況

・秘密保護法

・憲法改正

本文はこちらからご覧いただくことが出来ます(まだ英語だけで、すみません)

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-274/

昨日と今日の審査直前、自由権規約委員会の委員に対してNGOがブリーフィングを開催、ヒューマンライツ・ナウの代表が、特定秘密保護法および福島第一原発事故に関して、プレゼンしてましたが、ほかにも様々な団体からプレゼンが続いたようです。

日本の人権が世界から問われる機会です。

是非、お時間あれば、ネット中継で審査の様子をみてください。

委員の意見を聞いていると、「日頃日本にどっぷりとつかって、人権感覚がちょつと麻痺してしまっているなあ」「世界の視点はこうなんだ」など、新しい気づきもあるはずです。

報道もなされる模様です(各社報道を是非よろしくお願いいたします♪)

明日の審査終了後、日本のNGOは現地で記者会見開催の予定です。

委員会からの勧告は24日には出される模様。これを受けてNGOが25日に東京で記者会見を開催する予定にしています。

是非注目してください。

記者会見情報

NGO共同記者会見のご案内

自由権規約委員会・日本への勧告

日 時: 2014年7月25日(金) 13:30 ~14:30  

会 場: 衆議院第二議員会館 1階 多目的会議室

※ 事前申込み: 必ず事前に申し込んでください。

※ 事前に申し込まれたメディアのみ御参加となりますので、よろしくお願いします。

申込み・お問合せ:アムネスティ・インターナショナル日本 (千代田区神田小川町2-12-14 晴花ビル7F)

Tel: 03-3518-6777 (担当・川上)  

【プログラム】

・第6回日本審査(7/15、16)の特徴

自由権規約委員会からの発言から何を読み取るか/委員会の関心は何なのか?

はじめて取り上げられた人権問題はあったか?

・自由権規約委員会からの勧告

秘密保護法/ヘイトスピーチ/袴田事件と日本の刑事司法  その他

・質疑応答

主催 

アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)/アムネスティ・インターナショナル日本/移住労働者と連帯する全国ネットワーク/板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会/外国人人権法連絡会/監獄人権センター/言論・表現の自由を守る会/国際人権活動日本委員会/「国連人権勧告の実現を!」実行委員会/国連に障がい児の権利を訴える会/個人情報保護条例を活かす会(神奈川)/在日本朝鮮人人権協会/自由人権協会/人種差別撤廃NGOネットワーク/すぺーすアライズ/全国「精神病」者集団/中国帰国者の会/東京・教育の自由裁判を進める会/なくそう戸籍と婚外子差別・交流会/反差別国際運動/ヒューマンライツ・ナウ/ムスリム違法捜査弁護団/レインボー・アクション

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

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