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岸和田市長は性加害問題の説明責任を果たさないままで許されてよいのか #専門家のまとめ

伊藤和子弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

 大阪府岸和田市の永野耕平市長から性的な関係を強要され、精神的苦痛を受けたとする被害女性が市長に損害賠償を求めた訴訟で、市長が女性に謝罪し、解決金500万円を支払う和解が大阪地裁で成立しました。ところが、市長は同意のない性行為であることを否定し、性加害に関する説明責任を果たそうとしません。このまま市長が自身の犯した人権侵害に向き合わず、市長職にとどまることが許されるでしょうか。

ココがポイント

大阪府岸和田市の永野耕平市長が、性的な関係をめぐって2022年に女性から民事提訴され、今月和解していたことがわかりました。
出典:MBSニュース、2024/ 11/28(木)

要約すると、この日女性は目隠し状態で市長以外の2人から同意のない性行為を行われ、その後、市長からも性行為を強要された

出典:ヤフーニュース エキスパート小川たまか2024/11/28(木) 岸和田市長、500万円を支払い和解 本人尋問で明かされた「被害内容」」 

泣きながら拒絶する私を、立場や権力を乱用し(略)言葉の暴力で精神的に支配し、逃げられないようにすることが同意なのでしょうか
出典:FNN プライムオンライン 2024/12/2(月)

大阪・岸和田市長、性的関係巡る訴訟「和解後に話すのはモラルに欠ける」改めて辞職を否定
出典:産経新聞 2024/12/2

エキスパートの補足・見解

 被害女性の尋問内容によると、性加害は極めて深刻で悪質です。地位関係性に乗じて女性を服従させて性行為を強要するのは、同意に基づく性行為と言えないことは明らかです。2023年の改正刑法では地位関係に乗じた性犯罪を明確に規定しています。市長側に何の非もなければ賠償金を支払う和解はないはずであり、このまま説明責任を果たさないことは極めて疑問です。市長の地位を濫用した性加害は辞任に該当する重大な人権侵害です。支持母体である大阪維新の会も厳正な調査に乗り出すべきです。

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

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