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NFLチアに初合格!! 本田景子さんが語るチアリーディングの魅力

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
本田景子さん(写真:本人提供)

日本で長らくチアリーダーとして活動し、今春に米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のジャクソンビル・ジャガーズ専属チアリーダー「ジャクソンビル・ロアー」に初合格した本田景子さん。

前回は日本におけるチアリーダーたちを取り巻く環境について語ってくれたが、なぜ彼女は安定した商社での仕事を放棄して、貯金を切り崩してまでアメリカに挑戦するのか。

その理由を知るためには、彼女のこれまでのキャリアを説明する必要があるだろう。

2007年からチアリーダーとして活躍

そもそも本田さんがチアリーダーとして初めてオーディションに合格したのは2007年。富士通のチアリーディング部に所属し、アメリカンフットボールXリーグの富士通フロンティアーズ、バスケットボールWリーグの富士通レッドウェーブ、そしてサッカーJリーグの川崎フロンターレのチアリーダーを務めてきた。

お隣・韓国のチアリーダーたちも、 “掛け持ち”する人が少なくない。“金髪チア”として何かと話題のソ・ヒョンスクもプロ野球の斗山ベアーズとサッカーKリーグのFCソウルのチアリーダーを掛け持ちするなど大忙しだ。

同様に数多くの舞台を経験してきた本田さんはその後、2011年にはバスケットbjリーグの横浜ビー・コルセアーズに、2013年からは日立サンロッカーズ(現サンロッカーズ渋谷)で、チームを牽引した。

韓国でも最近、KBL(韓国プロバスケットボールリーグ)とWKBL(韓国女子プロバスケットボールリーグ)の両方でチアドルとして活躍する“美少女チアドル”のアン・ジヒョンが人気急上昇中だが、本田さんは「若い頃から複数の競技会場を経験するのは良いこと」だという。チアリーダーの世界も“場数経験”が重要なのだ。

日本とアメリカで異なるチアの位置づけ

そしてその経験の積み重ねを力に、本田さんは今年、長年の憧れの舞台であったNFLに挑戦したわけだが、アメリカのチアリーダーは、明らかに日本とは違うところがあるという。

「言葉にするのが難しいですが、チアリーダーの位置づけが違うように感じます。日本でチアはまだまだ浸透していないと感じますが、アメリカではチアリーダーがステータスになります。

ファンの見方もスポーツ選手と近い感覚で接してくれると聞いています」

広く知られていないが、実際にチアリーダーは選手と同じくらいプロフェッショナルな存在だ。例えば、バスケのチアリーディングについて本田さんはこう語っている。

「試合が始まる前のオープニングでパフォーマンスして、試合中はずっとサイドラインで応援しています。2時間くらい休憩無しで、体を動かし続けていますね(笑)。他にもタイムアウトとインターバル、ハーフタイムに踊ります」

筆者も韓国で野球やバスケのチアリーディングを見たことがある。その華やかなステージに多くの観客が盛り上がり、ときには会場の雰囲気を変える力もあると感じてしまう。

(参考記事:写真27連発!! チアリーダーの代表格、キム・ヨンジョンの悩殺ダンスパフォーマンスがやばい!!

ケガも絶えない日々。それでもチアに惹かれる理由

ただその陰には、日々のトレーニングはもちろん、怪我がつきものだ。本田さんも長いチア人生のなかで何度も怪我をしてきた。

「“ぎっくり首”って聞いたことがありますか? ぎっくり腰の首バージョンなのですが、以前にそれになってしまって…。ブロック注射を打ってパフォーマンスをしたこともあります」

韓国でも「KARAク・ハラにそっくり」と言われる人気チアリーダー、 カン・ユニが怪我で引退宣言をしたことがあったが、リスクがついて回る職業なのだ。

(参考記事:KARAク・ハラ以上の美貌!? “チアドル”カン・ユニの魅力と紆余曲折)

それでも長きに渡ってチアリーダーを務めてきた本田さん。その最大の魅力はどこにあるのだろうか。

「多くのお客さんの前で練習してきたパフォーマンスを披露して、拍手をもらえる瞬間は最高ですよ。私たちが出すパフォーマンスで会場が盛り上がってくれるのが、最高に幸せですね。あとは試合前後にファンや観客と交流する時間も楽しいです。

何よりも応援しているチームが勝つと本当にうれしい。チームに所属しているのでチーム愛がすごく大きくなっていく。所属しているチームカラーの小物がどんどん増えたりして(笑)。選手、チア、ファンが家族みたいな感じで、一致団結して試合に勝つというのが楽しいです」

観客と一体になって選手たちを応援し、チームが勝利したときが何よりも嬉しい。かつて取材したパク・キリャンも同じようなことを言っていたが、それが万国共通のチアの醍醐味なのだろう。

(参考記事:【独占インタビュー】韓国NO.1チアリーダー、パク・キリャンの素顔(上))

本田景子さん(著者撮影)
本田景子さん(著者撮影)

華やかな見た目と違って、体力的にも金銭的に厳しいチアリーダーの世界。それでも挑戦を続け、ついにはNFLのチアリーダーになるチャンスを掴んだ本田さん。次回はNFLのオーディションの様子や今後の抱負ついて紹介したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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