#高校生扶養控除縮小、来年度に検討持ちこしー与党税制改正大綱どうなった? #子育て罰 税制止めるには
12月14日に公表された自由民主党・公明党「令和6年度税制改正大綱」(与党税制改正大綱)では、高校生増税について「来年度に結論を得る」ことが明記され、事実上の先送りとなりました。
しかし、税制改正大綱には具体的な増税方針(高校生の所得税・住民税増)が明記されたままです。
この記事では、
1.与党税制改正大綱のポイント整理をし、
2.どうすれば高校生増税・こども増税、子育て罰税制をやめさせることができるのか、
この問題でロビイングを続けてきた研究者として考察します。
1.与党税制大綱のポイント
―高校生扶養控除縮小は来年度持ちこしだが、厳しい状況
―財務省が考慮しなかった高校無償化からの排除等の高校生・家族へのダメージを精査することに
―各種控除の見直しに「子育て世帯の負担への配慮」の記載が登場
与党税制改正大綱のポイントは3点あります
(1)高校生扶養控除縮小は来年度に検討持ちこしだが、厳しい状況
高校生扶養控除については、来年度検討持ちこしですが、高校生増税の具体案が明記されてしまい、厳しい状況です。
税制改正大綱における記載は以下の通りです。
高校生年代は子育て世帯において教育費等の支出がかさむ時期であることに鑑み、現行の一般部分(国税 38 万円、地方税 33 万円)に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(国税 25 万円、地方税 12 万円)を復元し、高校生年代に支給される児 童手当と合わせ、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階 層間の支援の平準化を図ることを目指す。 (p.24)
扶養控除の見直しについては、令和7年度税制改正において、これらの状況等を確認することを前提に、令和6年10 月からの児童手当の支給期間の延長が満年度化した後の令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について結論を得る。(p.24)
つまり今年は高校生増税を見送ったけど、来年度は高校生増税に結論を出すよ、という厳しい状況なのです。
高校生増税を止めようと国会質疑や、自民党への働きかけをしてくださった国民民主党・玉木雄一郎代表も以下にのようにX(旧twitter)で発信しておられます。
(2)財務省が考慮しなかった高校無償化からの排除等の高校生・家族へのダメージを精査することに
高校生増税は、今年は見送ってやったが来年度結論を出すからな、そんな財務省の威圧的な姿勢が垣間見える記述の一方で、注目すべき方針が明記されました。
与党税調、とくに子育て当事者の要望を受けた公明党の提案により、財務省が考慮しなかった高校無償化からの排除等の高校生・家族へのダメージを精査する方針が明記されているのです。
扶養控除の見直しにより、課税総所得金額や税額等が変化することで、 所得税又は個人住民税におけるこれらの金額等を活用している社会保障制度や教 育等の給付や負担の水準に関して不利益が生じないよう、当該制度等の所管府省 において適切な措置を講じるとともに、独自に事業を実施している地方公共団体 においても適切な措置が講じられるようにする必要がある。
具体的には、各府省庁において、今回の扶養控除の見直しにより影響を受ける所管制度等を網羅的に把握し、課税総所得金額や税額等が変化することによる各制度上の不利益が生じないよう適切な対応を行うとともに、各地方公共団体において独自に実施している事業についても同様に適切な対応を行うよう周知するなど所要の対応を行う必要がある。 (p.24)
私も12月7日付のYahoo!エキスパート記事で発信していますが、高校生増税により、高校無償化から排除される中間所得層の高校生や、大学・専修学校の無償化に在学中に応募できなくなったり、高校生のきょうだいがいる大学生の給付型奨学金が減額されてしまうのです。
財務省は高校生増税が、高校生・家族に与えるダメージをまったく考慮していなかったのです。
また民主党政権時に、所得制限のなかった高校無償化が、自民党・下村博文文部科学大臣によって所得制限が導入され、高校生のいる中間所得層は11万8800円の実質増税になっている経緯も考慮できていません。
高校生と0-2歳の保育園児がいる多子世帯では、保育園の保育料も上昇してしまいますが、それも財務省は考慮していません。
このようなことで、財務省が国の財政を司るに値する行政能力を発揮できていると言えるのでしょうか。
強い疑念を持つ国民も増えています。
財務省は、高校生増税が高校生やその家族に与えるダメージをしっかり精査し、子育て罰税制を強行することが、少子化対策に害しかないことをこの機会に深く認識すべきです。
(3)各種控除の見直しに「子育て世帯の負担への配慮」の記載が登場
注目すべきことは、昨年までは与党税制改正大綱に登場していなかった「子育て世帯への負担の配慮」が、「人的控除をはじめとする各種控除の見直し」の項に記載されています。
人的控除とは、国民の生存権保障のために、働けない家族がいる場合の減税措置のことです。
全世代で唯一0-15歳の子どもたちだけが財務省に唆された民主党政権によって年少扶養控除を奪われ、大幅にこども増税されたまま、まさに子育て罰の状態にあるのです。
以下の記載には、年少扶養控除の復活とは一切書いてありません。
しかし今後なんらかの検討がされる可能性が示されたことは、率直に評価したいと思います。
とはいえ、民主党政権に続き自公政権まで、こども増税・高校生増税の加害者にしようとする財務省の根深い子育て罰体質を考えたとき、年少扶養控除の迅速な復活には、期待できないとも考えます。
自民党・公明党の与党税調が少子化改善に強い意気込みを持ち、与党たるにふさわしいリーダーシップを発揮し、財務省の子育て罰路線を跳ね返すことを願うばかりです。
個人所得課税については、わが国の経済社会の構造変化を踏まえ、配偶者控除等の見直し、給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の一体的な見直しなどの取組みを進めてきている。引き続き、格差の是正及び所得再分配機能の適切な発揮、働き方に対する中立性の確保、子育て世帯の負担への配慮 といった観点から、歳出面を含めた政策全体での対応も踏まえつつ、個人所 得課税における人的控除をはじめとする各種控除のあり方について検討を行う。(p.14)
2.どうすれば高校生増税・こども増税、子育て罰税制をやめさせることができるのか
―自公税制調査会をはじめとする国会議員に子育て当事者・高校生の声を届けよう
―演説会・国政報告会・辻立ちでの声かけ/手紙・手書きFAX>SNS>ホームぺージからのご意見
どうすれば財務省に子育て罰税制を改めさせ、子育て世帯の望むこども減税(年少扶養控除復活、高校生扶養控除拡充)が実現できるのでしょうか。
(1)自公税制調査会をはじめとする国会議員に子育て当事者・高校生の声を届けよう
厳しい状況とはいえ、高校生増税について与党税調がいったん立ち止まったことは確かです。
一般省庁の官僚からは、財務省が既定路線とした高校生扶養控除縮小を一年とはいえ見送ったことに驚きの声もあがっています。
その理由として大きいのは、報道されてきた通り、与党・公明党税制調査会、せっかくの岸田政権の次元の異なる少子化対策にブレーキをかけるとして、強固に反対したことがあげられます。
とくに公明党・西田実仁(まこと)税制調査会長が、自民党・宮沢洋一税制調査会長と誠実な対話を続けてくださったことが大きく作用しています。
そして自民党・宮沢洋一税制調査会長も、高校生扶養控除縮小を拙速に進めることのリスクを認識くださったからこそ、異例の一年見送りの判断となったのです。
そのプロセスには、自民党・宮沢洋一税制調査会長が、こどもまんなか税制を求めて活動くださってきた子育て当事者団体と面談をして声をきいてくださったことが大きく作用している可能性があるのです。
これまでも、こども増税に強く反対してくださり、宮沢洋一税調会長と子育て当事者団体の自民党・衛藤晟一参議院議員には心から感謝申し上げます。
高校生扶養控除縮小反対、そして年少扶養控除の復活の意見を子育て当事者が、直接、宮沢税調会長に届けたことが、与党税制改正大綱の記載にもつながったとも判断できるのです。
届いてなかった声を届けてくださった天野さん、子育て支援拡充を目指す会のみなさんありがとうございました。
また子育て当事者のみなさんが、自民党・宮沢洋一税調会長、公明党・西田実仁税調会長に手書きFAXなどで声を届けてくださったことも、影響しています。
国民のために真剣に仕事をしてくださる国会議員ほど忙しく、自分が行っている政策について、報道ではわからない、一般国民のリアルな思いや反応はどのようなものなのかを把握する機会は限られています。
上記のXでご紹介いただいた、なもさんのお母様のように、心のこもったメッセージが多く直接国会議員に届くことで、高校生増税は子育て当事者や、多くの世代を不安にさせてしまうことが伝わるのです。
かつて9月入学騒動の時にも子育て当事者が多く声をあげてくださったことで迅速な事態の収束につながりました。
公明党・西田税調会長は、いただいたご意見にはしっかり目を通していますと、おっしゃっておられました。
それは自民党・宮沢洋一税調会長はじめ、政府の要職にある方も同様です。
だからこそ、与野党の政治家、とくに税制については自民党・公明党の税制調査会の国会議員に直接意見を届けることが重要なのです。
また、SNSで高校生扶養控除に強く反対してくださった自民党・牧原秀樹衆議院議員のような心ある政治家に感謝や応援のメッセージを届けることも大切です。
矢田わか子総理補佐官も、国民が地元の国会議員(与党にも野党にも)を声を届けることの大切さを発信くださっているのです。
(2)演説会・国政報告会・辻立ちでの声かけ/手紙・手書きFAX>SNS・オンライン署名>ホームぺージからのご意見
政府のこども増税や、子育て罰で年々手取りが減り、育ち盛りの子どもたちを食べさせるなければならず、物価高に苦しむ私たち子育てする国民には、大企業のように自民党のパーティー券を買う余裕などありません。
しかし、国会議員に声を届ける手段は実はたくさんあります。
地元で国会議員の演説会・国政報告会などの案内を見たら、参加して意見を届けることができます。
また、駅前で辻立ちをされている国会議員本人をみたら大チャンスです。
与野党を問わず、子どもへの増税などやめてほしい、むしろ子どもには大幅に減税してほしい、と直接声をかけられます。
また国会議員には手書きの手紙・FAXが効果的です。
国民の生の声を感じられるからだそうです。
もちろん罵詈雑言など絶対だめで、子ども・高校生への増税はやめてほしい理由、むしろ「こども減税」してほしい子育て家族の暮らしの余裕のなさなどを丁寧に伝えることが大切です。
SNSを活用している国会議員には、SNSで声を届けることも効果的です。
また私や子育て支援拡充を目指す会のオンライン署名にご協力いただくと、与党税調会長はじめ与野党の主だった国会議員に声を届けることができます。
みなさまのコメントを含め署名は自公税調会長にもお届けしています。
ホームページからのご意見は、国会議員ごとに対応が異なると思われますので、一般的に声を届けるために有効な手段とは言いづらい面があります。
おわりに:財務省は子育て罰税制で日本をいっそうの衰退に陥れるのか?
高校生増税は、来年度に止めきれなければ、財務省の子育て罰税制によって、子育て世代や若者が失望し、日本の少子化が加速し、わが国はいっそう衰退していきます。
そうならない未来のために私は引き続き全力を尽くしていきます。
心ある国民のみなさん、子育て当事者、高校生のみなさんも、共に声をあげていただけませんか?