感染者ゼロだった首都・ソウルが恐れる「大邱集団感染」の再現
「油断大敵」とはこのことを指す。
韓国は5月6日から外出や集会の規制を緩和していた。それもこれも感染者が4日8人、5日3人、6日2人、7日4人と一桁で推移していたからだ。
市民は「自由」を謳歌し、庶民が待ちに待ったプロ野球も開幕した。ところが、市民が繁華街に繰り出してからまだ2日しか経たないのに8日になって状況が一変した。一日の新規感染者が一気に急増し、前日の4.5倍の18人に増えてしまった。一日18人は4月18日以来のことである。
そして、韓国中央疾病対策本部が今日(10日)午前10時に発表した国内感染状況によると、昨日(9日)の新規感染者はなんと34人。前日(18人)よりも約2倍近く増えてしまった。原因はソウル市内の梨泰院のクラブで集団感染が発生したことによる。
マスクを着用せずに5月1日から2日にかけてクラブや飲食店を訪れていた20代の男性の感染が6日に確認されたのだ。クラブには従業員のほか1500人以上の客が詰め掛けていたため感染拡大が予想されていたが、それが今朝の「34人」という発表である。30人台は4月12日(32人)以来である。
5月2日から連続4日間、感染者ゼロだったソウル市当局は大慌てで、急遽8日夜からはクラブなど全国の遊興施設に1カ月間の営業自粛を勧告する行政命令を出したが、最も憂慮されるのが大邱市の「悪夢」の再現である。
韓国の第3の都市・大邱市(250万人)は韓国の全感染者(1万874人)のうち63%(6859人)を占めている。
大邱市の感染拡大は南区にある新興宗教団体「新天地イエス教会」の61歳の女性信者が発症する前日(2月9日)と入院前日(2月16日)に教会で約2時間礼拝していたことが事の発端だ。この女性の感染が2月18日に確認されると、19日には10人、20日に23人、21日50人、22日70人と増え続けた。
教会信者8千269人のうち、この女性信者と濃厚接触した1千人を含む「感染の疑いのある」人に対するPCR検査を行った結果、23日には倍の148人と増え、29日には一日最多の741人の感染者が出た。3月に入っても感染者は増え続け、1日から3日までは3日連続で500人台が続いた。
大邱市の感染者が二桁に減少したのは3月12日になってからである。4月になって一桁となり、4月9日になってやっとゼロとなった。収束するまでに実に50日間も要した。