田中恒成「かっこいい男になりたい」3階級王者が見据える今後の展望
8月24日に愛知・武田テバオーシャンアリーナで、WBO世界フライ級タイトルマッチが行われる。
無敗の3階級制覇王者の田中恒成(24=畑中)が、同級1位のジョナサン・ゴンサレス(28=プエルトリコ)を迎え、2度目の防衛戦を行う。
1位の最強チャレンジャー
今回対戦するゴンサレスは、身長が157cmと小柄で、サウスポースタイルの技巧派だ。これまで、22勝13KO2敗1分の戦績を誇る。
過去の試合では、2つのKO負けがあり、決して打たれ強い選手ではない。アマチュア時代には、世界ユース選手権で金メダルを獲得。
田中にとって、サウスポーとの対決は世界戦では初となるが、アマチュアで五輪を目指している兄の田中亮明(25)をパートナーに迎え対策してきた。
プロでのサウスポーとの対戦経験は少ないが、アマチュア経験も豊富なので問題ないだろう。
フライ級に階級を上げて、パワーをつけて進化してきた田中が、どのようにペースを掴むかに注目だ。
ハードなマッチメーク
ここまで田中は、タフな相手と戦い続けてきた。
フライ級に階級を上げてからは、敵地でタイトルを奪取した実力者のWBO王者の木村翔(30=青木)からタイトルを奪取。
そして初防衛戦では、元統一王者で7度の防衛を誇る田口良一(32=ワタナベ)を相手に力の差を見せつけ、判定で勝利した。
フライ級で2戦戦い、スピードに加え力強さが増した。日本人の現役世界王者は現在7名いるが、その中でも最も若い。
加えて、テクニック、スピード、パワーと三拍子が揃っている。
24歳の若さで無敗を誇り、3階級を制覇したという輝かしい実績を持つ。しかし、本人は自分の成し遂げたことに納得がいっていないようだった。
ハングリーに戦い続ける田中のモチベーションは、どこにあるのだろうか。
本人は「世界チャンピオンになっても、2階級、3階級制覇しても、認められている感じがしない」と話していた。
ボクシングは以前より世界戦のテレビ中継が減り、世界王者であっても、世間に注目され持てはやされる時代ではない。
だからこそ、ただの防衛戦ではなく、強い相手にチャレンジして実力を証明し続けている。
ターゲットは井岡一翔
ミニマム級から階級を上げ続けてきた田中だが、まだ20代前半と若く、体もまだまだ成長している。
普段の体重で60キロ近くあり、フライ級でも減量はキツイようだ。階級アップも近いだろう。
本人も、来年にはスーパーフライ級への転向も見据えているようだ。
田中のターゲットは、先日4階級を制覇した井岡一翔(30)だ。
田中も「井岡選手は、対戦相手として見ている面もあります。やりたいなという気持ちはあります」と話していた。
海外を主戦場としている井岡との対決は、実現へのハードルはあるが、両者が対戦したら非常に興味深い。
日本人初の4階級王者の井岡と、日本人最速で3階級を制覇した田中の対決は、大きな注目を集めるだろう。
どちらもテクニックがあるので、見応えがある試合になる。
ステップアップしていくためにも、今回の試合での勝ち方が重要になってくる。
田中は「ボクシングを通して、かっこいい男になりたい」と話していた。
ボクシングは究極のところは「自分との戦い」だ。
「世界王者になっても満たされない」その強い思いをモチベーションに、田中は戦い続けていく。
試合は、8月24日16時からTBSで生放送される。