『宛名なし郵便』で284円かけてNHKが受信料請求すると日本郵便が『23.8億円』儲かるハナシ
■『宛名なし郵便』サービスは1通あたり+200円の手数料がかかり、284円のコスト発生
1通あたり、『宛名なし郵便』サービスは、通常の送料84円+200円の手数料合計284円のコストが発生する。個人の名前がわからなくても、住所番地さえ存在すれば、そちらに必ず勝手に届くというものだ。NHK側は受信料未払い裁判の際に送付した証拠が示せるわけだ。
『宛名なし郵便』をNHKが、 1通284円かけて受信料請求すると、
『840万世帯(NHK未納付世帯)』×『284円』…つまり!23億8,560万円!
日本郵政が儲かることとなる。
■ポスティングの100倍の一通200円かけても回収できる?『特別あて所配達郵便』という謎のサービス?
名前がわからなくても、住所がわかれば勝手に送りつけることができるというサービス。正式名称は『特別あて所配達郵便』。このサービスは一通あたり、送料以外に200円がかかる。
これだったら、普通にポスティング業者でもよくないか?
ポスティングだと、4円くらいから可能だ。最安だと2円である。1世帯あたり200円だと、なんと100倍の価格のサービスだ。
いやいや、このニーズって、『NHK』以外にどこが必要なのだろうか?よほどの高額商品で、全世帯から徴収できるようなサービスでしか回収不可能な価格となるからだ。
■NHKが料金未納840万世帯に郵送すると…日本郵便の当期純利益の4.6%の売上23億8,560万円が発生!
『宛名なし郵便』をNHKが、 1通284円かけて受信料請求すると、
『840万世帯(NHK未納付世帯)』×『284円』…つまり!23億8,560万円!
日本郵政が儲かることとなる。
23億8,560万円というと、日本郵便の『当期純利益』534億円(2021年3月期)の4.6%となる。売上に値する『経常収益(Recurring Revenue)』では3兆8,453億円なので、0.05%となり、ほとんど誤差であるが、本来、経常収益(Recurring Revenue)とは「企業が本来提供するサービス(営業活動)から、毎期継続的・反復的に発生する収益」を指すので、このNHK的特需としての売上は、『非経常収益』と考えるべきであろう。
経営の最終的な利益である当期純利益の4.6%の売上が突発的に発生するのだから非常においしい受注といえるだろう。
日本郵政グループの大株主は財務大臣で63.29%保有していたが、2021年6月11日に政府は、郵政株6%(2500億円)を日本郵政に売却し50.7%の保有となっている。将来的には政府保有義務の3分の1まで売却予定(郵政民営化法第七条)だ。
https://www.yuseimineika.go.jp/iinkai/dai77/siryou1.pdf
■発送料だけでなく、発送コストを入れると推定でも約65.8億円はかかる
もちろんNHK側は、個別世帯ごとのデータ印刷から世帯ごとのデータ管理費などもろもろく含めて推定でも一世帯あたり@500円の経費がかかると、840万世帯であれば、さらに42億円のコストが推測できる。
ざっくりフェルミ推定でも、合計、約65.8億円の『宛名なし郵便』のコストがNHK側に発生することとなる。
受信料を支払わない840万世帯に、783円づつ配布しようとしている構造だ。
■NHK受信料未払い世帯率は、日本の総世帯数5,500万世帯のうち840万世帯(15.2%)
https://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/giji/shiryou/1174_sonota01-3.pdf
NHKは、受信料を世帯単位で徴収しているので、
その(1)世帯総数の母数は5,523万世帯。
そのうち(5)4,609万世帯(83.4%)がテレビ受像機を保持し、NHKの支払い契約の義務がある。そして、NHKの支払い世帯数は、(7)3769万世帯(テレビ受像機保有世帯の81.7%)だ。
年間支払いの地上波料金は1万3,650円(衛星は2万4,185円)をかけると、単純に5,144億円となる。
NHKの2020年度の受信料徴収額は6,895億円(事業収入は7,121 億円)なので、(7)3769 万世帯で割ると…
1世帯あたりの年間徴収額は、平均『1万8,294円』となる。
『840万世帯(NHK未納付世帯)』は、
(5)4,609万世帯マイナス(7)3769万世帯から計算できる。
840万世帯から平均1万8,294円を徴収すると、1,536億円の受信料収入が増えることとなる。
これがNHKの目指す100%ゴールの金額だ。これを毎年得るために『年間契約収納費を(2020年度は575億円)』を長年かけつづけている。しかし、成果はほとんど得られていないことについての反省がまったくなされず、国会でも承認を得られている。
■NHKの受信料未納世帯にかけるコストは請求料金の37.4%
NHK決算資料
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kessan/
2021年6月発表の2020年度(令和2年度)決算概要を読み解いてみたい。
事業収入は 7,121億円(うち受信料収入は6,895億円 96.8%)
事業支出は、 6,870億円(96.4%)
事業収入支援金 251億円(3.5%)
契約収納費 575億円(8.0%)
注目したいのは、『840万世帯(NHK未納付世帯率)15.2%』に対して、『契約収納費 575億円(事業収入の8.0%)』をかけているということだ。
1世帯あたり、6,845円をかけて1世帯あたりの年間徴収額は、1万8,294円を回収しようとしていたことになる。つまり、37.4%のコストをかけて回収できていないのだ。
当初予算では、1世帯あたり、7,630円なので、41.7%のコストだった。
通常の民間事業者であれば、もっと別の回収方法を考えるだろう。いや、回収コストをを考えるだろう。そこで、今回の『宛名なし郵便』だ。しかし…、効果のほどはどうだろう?
NHKの徴収代行員が、週末に狙ってきても、支払わない世帯が、宛名なしの郵便が来たからといって、すんなりと支払いに応じてくれるのだろうか?
本来、『テレビジョン』を販売する時に、チューナーがついていれば、NHKにクルマの自賠責保険のように100%課税させればよかった。イギリスのBBCはこの手法だ。
テレビメーカーもチュナーなしという販売方法を考えるべきだろうし、CATVでNHKなしで契約する家庭も増えるだろう。もはやYouTubeやNetflixのみで良い家庭も多いだろう。
むしろ、年間 地上波料金1万3,650円(衛星2万4,185円)の価格は、サブスク料金としてはもはや高額な部類ではないだろうか?
他のサブスク利用者が増えれば増えるほど、NHKの視聴数は減る方向である。
現在の81.8%の、3769万世帯が支払っている間に、全アーカイブの無料開放や、番組素材の二次利用可能などのサービスをすすめるべきではないだろうか?
事業収入の96.8%の国民の声を聴きながら経営すべきなのである。
平等に公平に負担というお荷物を年金のように、負わせるのではなく、サービスとしての対価を払ってもらう感覚にならなければならない。
現在の受信料の徴収だけに、575億円もかけているのは、異常としか思えない。
いや、『公共放送』は公共のためだからこそ『放送法』で徴収を法的に義務化されている。公共放送だからこそ、公益法人として、NHKは税金もすべて免除されているのだ。
しかし、NHKの現状はそのようには見えない…。
テレビのある全世帯から法的に受信料を獲得でき、税金もはらない経営。しかも番組原価率が3割以下で、繰越利益剰余金が3,174億円。純資産が8,158億円もある。
『公共放送』としてのサービスの進化を考えねばならない。
テレビ受像機とチューナーがまだあるうちに…。
■事業収入7,121億円(100%)のうち制作費は3,246億円(45.2%)人件費を除くと2,048億円(28.5%)と番組原価率は3割以下
番組制作費は2019年度は3,605億円でありながら、2020年度は3,246億円と、359億円も経費削減している。事業収入は7,384億円から7,121億円と263億円しか減少していないにも関わらず。その差額は96億円。
2020年度 事業収入7,121億円(100%)のうち制作費は3,246億円(45.2%)、
人件費や減価償却費を除くと『物件費』は2,048億円(28.5%)と番組原価率は3割以下となる。
NHKが、番組を外注メインにすれば、このような『7割以上の売上総利益(粗利)』が生める放送局なのである。
■『日本放送協会(NHK)』は、莫大な『繰越利益剰余金 協会(KRK)』だった!
https://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/giji/shiryou/1356_houkoku01-4.pdf
そして、こちらが、NHKの2020年度の貸借対照表だ。
2020年度、NHKの繰越利益剰余金は1,481億円と、+268億円アップしている。
建設積立金の1,693億円を合計すると、剰余金合計で、3,174億円となる。
2020年度、NHK単体の純資産8,158億円に占める比率は剰余金合計が38.9%に至る。
2019年度で繰越利益剰余金は1,213億円(一般勘定1,280億円)あり、集金業務などの営業経費は759億円を支出し、305億円が未契約世帯などの訪問などに投じられていた。
■NHK子会社の連結の財務諸表に余剰された、さらなる利益剰余金
2019年末のNHK単体の純資産は7,890億円で、子会社12社の連結での純資産は8,842億円であり、その差は952億円。その大半が連結子会社の繰越利益剰余金870億円だった。つまり子会社にも剰余金のさらに『剰余』が繰り越されて蓄えられていたのだった。
https://sawa-crossborder.jp/3405/
2016年(平成28年)の会計検査院にも指摘されていたことを鑑みると、NHKの繰越利益常用金を子会社にも残すというのは、もはや天下のお家芸ともいえる。
むしろ、『日本放送協会NHK』は、『繰越利益剰余金 協会(KRK)』と呼ぶほうがよさそうだ。
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kessan/assets/pdf/2020/gaiyou_r02.pdf
■NHK事業予算は縮小計画
NHKの経営計画では、今後はスリムで強靭な組織として、受信収入低下を予測している。むしろ、現在の持ちうるコンテンツを現在の視聴料を負担している世帯に付加サービスとして与え、NHKのサービスがコストパフォーマンスのつりあう対価としての経営を目指すべきではないだろうか?
まずは、NHKアーカイブの全開放など、オンデマンドでのサービス化を公共放送として差別化し、リアルに見ないですむ視聴を提供すべきだろう。ネット配信が受信料収入の2.5%以内なんてまったく意味がない。
コロナ禍の自粛促進のためにも高齢者は在宅でNHKプラスやNHKオンデマンドを楽しんでほしい。