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ウクライナ軍、市民からの募金30億円でさらなるドローン増強へ:ウクライナ製ドローンの導入も

佐藤仁学術研究員・著述家
(ミハイロ・フェドロフ氏提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

2022年8月には、ウクライナでクラウドファンディングを行ってさらにドローンを購入していくことをウクライナの第一副首相兼デジタル改革担当大臣を務めているミハイロ・フェドロフ氏が明らかにした。

クラウドファンディングで集まった金額は7億5500万フリヴニャ(約30億円)。また既に戦場で使われているポーランドの監視・偵察ドローン「FlyEye」、中国DJI製の監視・偵察ドローン「DJI Matrice 300」、ポーランドの攻撃ドローン「Warmate」などが披露された。さらにミハイロ・フェドロフ副首相によるとウクライナ製のドローン「Skyton」、「SKIF」、「Ukrjet」の使用も検討している。

ウクライナ軍の軍事ドローンでは中型のトルコの「バイラクタル TB2」がロシア軍の迎撃に貢献しており、よく報じられている。だが、同機以外にも多くのドローンが各国から提供されている。2022年3月にバイデン政権は、米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供していた。4月には攻撃ドローンのスイッチブレードをさらに600台追加で提供し、ロシア軍への攻撃に使用されている。また同社では監視・偵察ドローンもウクライナ軍に提供している。

他にもイギリス、リトアニアなどからもドローンが提供されて実戦で活用されている。またポーランド、リトアニア、カナダの市民はトルコの攻撃ドローン「バイラクタル TB2」をウクライナ軍に提供するためにクラウドファンディングで募金を行っていた。

ウクライナ軍だけではなく、ロシア軍も監視・偵察と攻撃にドローンを多く使用している。ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。またイラン政府がロシア軍にイラン製の攻撃ドローンを提供すると米国政府のジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官が語っていた。

ドローンは「上空の目」として敵を監視したり、敵を見つけたらすぐに攻撃を行うことができる。監視・偵察ドローンのような小型の民生品ドローンにも爆弾を搭載して攻撃を行っている。だが上空のドローンは検知されると破壊されたり機能停止させられてしまう。ドローンは地対空ミサイルで徹底的に破壊されることも多い。ドローンは何台でも必要である。これだけ多くの監視・偵察ドローン、攻撃ドローンが実際の戦争で利用されたのは歴史上でも初めてである。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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