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永瀬王座への挑戦権をかけ藤井竜王・名人と豊島九段が激突――第71期王座戦挑戦者決定戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
永瀬拓矢王座は王座のタイトルを4連覇中(筆者撮影)

 永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を争う第71期王座戦(日本経済新聞社主催)は8月4日に大阪府大阪市「関西将棋会館」で藤井聡太竜王・名人(21)と豊島将之九段(33)の挑戦者決定戦が行われる。勝敗と戦型を、データを基に予想してみた。

両者好調で接戦必至

<藤井竜王・名人の最近10局>(相手の肩書は対局当時)

5月31日、6月1日 名人戦七番勝負第5局

対渡辺明名人 ○

6月5日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局

対佐々木大地七段 ○

6月20日 王座戦本戦

対村田顕弘六段 ○

6月23日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局

対佐々木七段 ●

6月28日 王座戦本戦準決勝

対羽生善治九段 ○

7月3日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局

対佐々木七段 ○

7月7、8日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第1局

対佐々木七段 ○

7月13、14日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第2局

対佐々木七段 ○

7月18日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局

対佐々木七段 ○

7月25、26日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第3局

対佐々木七段 ○

<豊島九段の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

4月13日 竜王戦2組

対藤井猛九段 ○

4月28日 竜王戦2組

対斎藤慎太郎八段 ○

5月8日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ紅組

対羽生善治九段 ●

5月23日 竜王戦2組決勝

対佐藤康光九段 ○

6月2日 王座戦本戦

対本田奎六段 ○

6月14日 順位戦A級

対稲葉陽八段 ○

6月21日 王座戦本戦

対斎藤八段 ○

7月3日 王座戦本戦

対渡辺明九段 ○

7月13日 竜王戦決勝トーナメント

対永瀬拓矢王座 ●

7月18日 棋王戦コナミグループ杯本戦

対近藤誠也七段 ○

 両者ともトップ棋士との対戦が続く中、高勝率をキープしており直近10局は藤井竜王・名人9勝1敗、豊島九段8勝2敗と差はわずかだ。

 ただし対局間隔は豊島九段が月2~3局とコンディションを維持しやすいペースなのに対し、藤井竜王・名人は海外や国内の長距離移動を含むタイトル戦続きで7月だけで5局、そのうち3局は2日制というハードスケジュール。21歳になったばかりの若者とはいえ多少は疲労の蓄積があるのではないだろうか。

 このことを含めると両者の調子はほぼ互角と見る。

振り駒がカギ握るか

 挑戦者決定戦は一番勝負なので先後を決める振り駒が勝負に大きく影響する。今年度に入ってから藤井竜王・名人は先手番で10勝0敗(1千日手)と負けなし。後手番は6勝3敗(1千日手)だからこの差は大きい。

 なお豊島九段は今年度先手番5勝2敗、後手番5勝0敗と後手番でも高勝率を残している。

 過去の直接対決は藤井竜王・名人の21勝11敗(1千日手)とダブルスコアに近いが、11回勝った豊島九段の実績はトップ棋士の証でもある。

 戦型は藤井竜王・名人先手なら角換わり志向。豊島九段先手なら角換わりか矢倉を志向する可能性が高そうだ。

 どのような戦型に進んでも熱戦になることは間違いないだろう。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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