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全体では64.0%・20代世帯では6.3%…固定電話の保有状況(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
職場ならまだしも家庭ではあまり見かけなくなった固定電話。普及の現状は(写真:イメージマート)

固定電話の世帯保有率、全体では2/3近く

携帯電話の高性能化と普及が進むに連れ、一般の世帯において電話の利用スタイルは世帯単位から個人単位へと変わり、固定電話の必要性はこれまでに無いほどに減少している。若年層では実家を離れ一人暮らし・独立世帯化する際に、固定電話の契約をしない事例も増えている。それでは現状として、固定電話は一般世帯ではどの程度の保有状況なのか。総務省が2023年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、日本における世帯ベースでの固定電話の保有(利用)状況を確認する。

携帯電話の普及とともに、固定電話の加入者数や契約者数は漸次減少している。この傾向は変わるところがない。

↑ IP電話利用数・固定電話加入者数・携帯電話加入者数(万件、万契約)(積み上げ)(情報通信白書より筆者作成)
↑ IP電話利用数・固定電話加入者数・携帯電話加入者数(万件、万契約)(積み上げ)(情報通信白書より筆者作成)

今調査対象母集団では固定電話の世帯全体の普及率は64.0%。前年2021年時点の値66.5%からは2.5%ポイント減少している。全世帯のうち1/3強は「固定電話無し」。

↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、世帯主年齢階層別)(2022年)
↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、世帯主年齢階層別)(2022年)

特に20代から30代の若年層世帯主での世帯において、低い保有率なのが目にとまる。無論これらの層で「電話離れ」が進んでいるのではなく、「固定電話離れ」が進んでいるだけであることに注意が必要。携帯電話があれば、固定電話の必要性は低くなる。さらに個人主義・個別主義が浸透する昨今では、世帯ベースの電話連絡先の必然性が低くなっている。そして世帯人数の減少、単身世帯の増加もそれに拍車をかけている。

属性別の実情

固定電話の保有状況を世帯構成と世帯年収別に見たのが次のグラフ。

↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、属性別)(2022年)
↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、属性別)(2022年)

高齢者がいる世帯では高く、若年層のみで構成された世帯は低い値を示している(大人3人以上の場合は若夫婦+高齢層の構成であることは容易に想像ができる)。また、世帯年収別では400~600万円未満を底とし、それ以上の年収の世帯では、世帯年収が大きいほど固定電話の保有率も高いものとなる。多分に世帯年収そのものではなく、世帯年収と連動性の高い世帯主の年齢が影響しているのだろう。

スマートフォンを含めた携帯電話も、使わずにホルダーに固定するなり、充電している限りにおいては、固定電話とほぼ同じ利用スタイルとなる。その視点で考えると、携帯電話を多用しているのなら、固定電話は特に必要無しとする考えが、誰もが頭に浮かぶはず。

業務用としての必要性も考慮すると、固定電話が無くなることはないだろう。しかし一般世帯向けとしての固定電話から携帯電話への置き換えの動きが、今後さらに進むことは確実と言えよう。

■関連記事:

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【電話による通話時間の推移をさぐる(2020年公開版)】

※通信利用動向調査

2022年分は2022年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5968世帯(3万9557人)、2428企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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