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歩行者は興味深々!フィヨルド沿いを走る自動運転の公共電気バス 北欧ノルウェー

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
オスロ市民や観光客が驚いて記念撮影をする Photo: Asaki Abumi

ノルウェーの人は、自動運転車には懐疑的なのかなと思っていたが……。

意外と早くに、政治家は街に自動運転車を解放した。

首都オスロを観光する予定があれば、ノーベル平和賞の授与式が開催される市庁舎から、赤い自動運転車に乗ってみてはどうだろう。

美しいフィヨルド沿いを走りながら、オスロの街並みを楽しむことができる。

それは普通の乗り物ではない。通常のバスの三分の一ほどの、小さな赤い公共バス。電動だ。

車内は11人乗り Photo: Asaki Abumi
車内は11人乗り Photo: Asaki Abumi

「公共バス」なので、乗り換え検索をすると、自動運転バスも当たり前のようにおすすめルートに追加される。

通常の公共交通機関のチケットで、乗ることが可能だ。

公共交通機関Ruterは、試験期間として、複数のモデル車両を試している。都市部で走らせるのにベストのものを、最終的に選ぶ予定だ。

環境に優しい取り組みとして、補助金が政府から支給されている。

バスには名前がついていて、「こんにちは!私の名前はマッヅです。自分で運転しています!」と車体にノルウェー語で書かれている Photo: Asaki Abumi
バスには名前がついていて、「こんにちは!私の名前はマッヅです。自分で運転しています!」と車体にノルウェー語で書かれている Photo: Asaki Abumi

個人車ではなく、公共の乗り物で移動してもらうためには?

オスロ市民の移動手段は、過去10年間で劇的に変化している。

市によると、2005~2015年の間で、公共交通機関で移動する人は22%から32%に増加。

車での移動は、45%から34%へと減っている。

車での出入りは中心部で重点的に規制。

市で排出される二酸化炭素量の61%を占めるのは交通機関。

個人の車での移動は、そのうちの39%を占める。

歩く。自転車・バス・路面電車・地下鉄・電車に乗る。そうしてもらうためには、どうすればいいか?

「クールだ」、「楽しい」と思ってもらえるような魅力的な移動手段を増やし、市民に車からおりてもらうのが目標だ。

「首都がカーボンニュートラルとなるためにも、私用車を減らす必要がある。自動運転車がその対策のひとつです」と、Ruterの広報ヴェスタド氏は取材で語った。同氏の後ろにあるのは、充電中の電気バス Photo: Asaki Abumi
「首都がカーボンニュートラルとなるためにも、私用車を減らす必要がある。自動運転車がその対策のひとつです」と、Ruterの広報ヴェスタド氏は取材で語った。同氏の後ろにあるのは、充電中の電気バス Photo: Asaki Abumi

「まずは、市民が自動運転車にどう反応するのかを見て、ビジネス的にどう改善していけるかを探ります」。

市民からの反応は好評で、今後は住宅街や島でも試す予定だそうだ。

今のところ事故は起きていない。

課題は、時に車が時間に多少だが遅れて到着することがあること。

自動運転バスは、通常のバスとはサイズや形が違うために、「なんだろう?」と市民の目を引く。

フィヨルド沿いには観光客も多いため、記念撮影をしている人も多かった。

Photo&Text: Asaki Abumi

文・撮影:あさきあぶみ(鐙 麻樹)

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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