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羽生善治九段(49)2019年度タイトル戦番勝負への登場なし 1988年度以来31年ぶり

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 11月14日。王将戦リーグの対局で藤井聡太七段(17歳)が久保利明九段(44歳)に勝ちました。

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 藤井七段が勝ち星を挙げた時点で、羽生九段が今期王将戦で挑戦権を獲得する可能性はなくなりました。結果的には、リーグで羽生九段に勝った広瀬竜王と藤井七段が、最後に挑戦権をかけて対戦するという展開になっています。

 羽生九段はこれで2019年度(令和元年度)、タイトル戦番勝負への登場はなしということになります。羽生九段がタイトル戦に登場しないのは、1988年度(昭和63年度)以来、31年ぶりです。タイトル100期獲得、無冠返上は、2020年度以降に持ち越されたことになります。

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 羽生九段は1989年度(平成元年度)の竜王戦七番勝負に、18歳六段の時に登場。島朗竜王(当時)に挑戦し、19歳で初タイトルの竜王位を獲得しています。

 翌1990年度に竜王は失冠したものの、棋王のタイトルを獲得。1995年度には将棋界史上初の七冠同時制覇を達成。2017年度まで、1つ以上のタイトルを保持し続けてきました。2017年には竜王戦七番勝負で渡辺明竜王(当時)に挑戦し、竜王復位。すべてのタイトル戦で永世称号資格を得る「永世七冠」を達成しました。

 しかし2018年。竜王戦七番勝負で広瀬章人八段(当時)に竜王位を明け渡し、1990年度以来の無冠となりました。以後、現在までタイトル戦への登場はありません。

 逆に言えば、羽生九段は平成の30年間、毎年度ずっと、タイトル戦に登場し続けていたということになります。改めて、途方もない大記録と言わざるを得ません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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