オーナー継続表明のアルテ・モレノ氏に大谷翔平への5億ドル投資は望み薄?!
【アルテ・モレノ氏が突然のオーナー続行宣言】
まさに唐突な声明発表だった。
昨年8月にチームを売約する意向を表明していたエンジェルスのアルテ・モレノ・オーナーが現地時間の1月23日に声明を発表し、チームの売却作業を取りやめ今後もオーナーを継続することを明らかにした。
モレノ・オーナーは今シーズン開幕前の売却を目指していたとされ、米メディアの報道では2月から正式に入札を受け入れる予定になっていただけに、突然の継続発表は大きな反響を巻き起こしている。
【コミッショナーはオーナー継続を歓迎する声明を発表】
昨年12月に行われたウィンターミーティングで、モレノ・オーナーの希望通りに売却手続きが完了しそうにないとの見通しを示していたロブ・マンフレッド・コミッショナーは、モレノ・オーナーの声明を受け以下のような声明を発表している。
「エンジェルス買収に興味を持つ強力なバイヤーがいたが、アルテ・モレノ氏にとって彼の試合を愛する気持ちが最も重要だったようだ。今後もオーナーを継続する決断をしたことを歓迎する」
ただ地元紙の報道を見る限り、エンジェルス・ファンはモレノ・オーナーの決断を否定的に捉える人が多いようで、今後さらに波紋を広げることになりそうだ。
【球団史上最高の年俸総額ながらぜいたく税の限度額内】
モレノ・オーナーの今回の声明は今後の球団経営に大きな影響を及ぼすことになるとともに、来オフにFAになる大谷翔平選手の去就を左右することにもなる。
すでに米メディアの間では大谷選手の契約は大きな関心を集めており、契約総額はMLB史上最大の5億ドルを突破するとの見方が大半を占め、中には6億ドルに到達するとの声も出てくる中、モレノ・オーナーが巨額の投資を踏み切れるのか、注目が集まるところだ。
今回の声明でモレノ・オーナーは、「今オフは球団記録の年俸総額になっており、今も我々はワールドシリーズ制覇という目標を達成したいと考えている」とチーム再建に意欲を見せている。
確かに現時点での年俸総額は2億600万ドルと、エンジェルス史上初めて2億ドルを突破している。それでもチームの主軸になれるような大物FA選手に手を出すことなく、相変わらずぜいたく税の限度額内に抑えている状況だ。
MLB全体から見ても、メッツ(3億5600万ドル)、ヤンキース(2億7200万ドル)、パドレス(2億5100万ドル)、フィリーズ(2億4200万ドル)、ドジャース(2億2200万ドル)、ブルージェイズ(2億1200万ドル)に続いて7位だ(資料元:「Fan Graphs」)。決して大型補強を断行したというわけではない。
元々モレノ・オーナーは、昨オフMLBと選手会の労使交渉がもつれる中でぜいたく税の限度額を上げることに反対した少数派オーナーの1人だったことが判明するなど、ずっと大幅投資に否定的な考えを有していた人物だ。
【大谷選手との再契約はほぼ絶望的に?!】
大谷選手がエンジェルスに残留する場合、ぜいたく税の限度額を超えるような年俸総額になるのはほぼ確実な状況なだけに、そのため米メディアの間では大谷選手の残留の可能性は「新オーナー次第」という見方が強かった。
米メディアによると、モレノ・オーナーは今回の声明以外にメディア対応する予定はないようで、残念ながらモレノ・オーナーの現在の心境を確認できそうにない。またモレノ・オーナーは声明で、「エンジェルスの新たな章に興奮している」としているが、彼が思い描く新章がどんなものかも定かではない。
ただ彼がこれまでの姿勢を貫くということであるならば、大谷選手がエンジェルスに残ることはほぼ絶望的だと考えざるを得なくなる。
とにかく、今後も大谷選手の去就に関する最終決定者はモレノ・オーナーだということだ。大谷選手ファンはしばらくの間、不安の日々を過ごすことになりそうだ。