人気女優も「キム・ジョンウン」として生きる苦悩を吐露!! 韓国に“同姓同名”が多すぎるワケ
同姓同名だったため犯罪者と間違えられた――。そんな作り話のような出来事が実際に起こってしまった。被害に遭った韓国人男性のAさんは、フィリピンで1カ月近くも強姦未遂犯として疑われたという。
最近フィリピンで韓国人によるトラブルが多いと言われているが、彼は韓国メディアにことの経緯を話している。
「私と同姓同名の韓国人が昨年10月、フィリピンで現地女性に性的暴行をしたという容疑で告訴されていました。それで手配リストに名前が掲載されていたんです。私とは名前だけでなく、出国した空港も釜山金海空港で同じでした。それで連行されてしまいました」
同姓同名ということといくつかの共通点があったことで、Aさんは入国審査を受けると同時に連行されてしまったという。悲劇以外の何物でもない。
ただ、たしかに韓国は日本に比べると同姓同名の人が多いと感じる。
職業柄スポーツ選手の成績を調べることが多いのだが、例えば「キム・ジャヨン」という女子ゴルファーは3人もいる。そのため韓国女子ゴルフ協会での登録名は「キム・ジャヨン2」などと区別がつけられている。
日本女子ツアーで活躍している「キム・ハヌル」には同姓同名の女優がいるし、「イ・ボミ」にいたっては同姓同名の“マッスル美女”まで登場したほどだ。
(参考記事:人気プロゴルファーのイ・ボミと同姓同名の“マッスル美女”にスターの予感!?)
韓国に同姓同名が多い理由は、2つ。まず、名字の少なさがあると考えられる。
韓国統計庁の資料をみると、韓国で使われている名字(姓)は300近くある。が、1000万人近くいる「キム(金)」を筆頭に、「イ(李)」「パク(朴)」「チェ(崔)」「チョン(鄭)」の上位5つで、全人口の54%を占めていた。実際的に使われている名字は、それほど多くないということだ。
もう一点は、名前をつけるにあたって“音”を重視するため、かぶりやすいというところ。
韓国最高裁の調査によると、2015年から今年まで最も人気の高かった新生児の名前は、男の子が「ミンジュン」、女の子が「ソユン」だ。以前は「ヨン」「ス」「スク」「チ」などの音が人気だったが、最近は「ジュン」「ソ」「ミン」「ヨン」などがよく使われているという。韓流スターやドラマの影響も少なくないようで、「ミンジュン」が人気の理由はト・ミンジュンの影響との分析もある。
韓国には人の名前や会社の社号を決めるプロの“作名所”というものがあるのだが、とある作名所の責任者も話している。
「名前をつけようとする人のなかには、ハングルの音を決めて、それに合わせて漢字をつけてほしいという人たちが多い。日常生活のコミュニケーションで重要なのは音だからです。ただ、ほとんどの人たちは聞き心地の良い“人気の音”を選ぶ。そのためどうしても同じ名前が増える可能性が高くなる」
名字がそれほど多くなく、人気の音もかぶりやすい。「キム・ジョンウン」という名前も、韓国の著名人だけで35人も見つかるほどなのだ。人気女優のキム・ジョンウンなどは最近、その名前のせいでさまざまな苦悩と不便を強いられ、真剣に改名を考えたほどらしい。
(参考記事:韓国で暮らす「キム・ジョンウン」さんたちの心情と悩み…「もう我慢の限界」)
そんな現状を脱しようとしてか、独特な名前、いわゆる“キラキラネーム”をつける人も増えてきたようにも感じる。
特に芸能人たちは独特な名前をつけることが多いそうで、韓流時代劇『朱蒙』のソン・イングクなどは三つ子に「デハン」「ミングク」「マンセ」と名付けたとして話題になった。
(参考記事:三つ子に「大韓」「民国」「万歳」!! ビックリ仰天の韓国版キラキラネーム)
とはいえ、苦悩ばかりがあるわけではない。アイドルグループ「I.B.I」のキム・ソフィなどは、テコンドーのキム・ソフィ選手がリオ五輪で金メダルをとったと聞いて、「やっぱり“キム・ソフィ”が一番!」と喜びのコメントを残していた。
同姓同名が多いからこそ、増える楽しみや悩みがある。日本人からすれば若干のややこしさを感じるかもしれないが、それもまた韓国の文化ということなのかもしれない。