Yahoo!ニュース

「犬が小田急電車に乗車、駅員をかむ」人気の犬種・柴犬のトラブルは意外と多い?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

SNSを覗けば、「毛布に埋もれる柴犬」「散歩に行きたがらない柴犬」などの多くの柴犬の投稿があります。あのつぶらな瞳は、本当にかわいいです。 革小物の製作・販売を手がけるクアトロガッツが、11月1日の「犬の日」を前に「好きな犬種総選挙」をしたところ第1位は、柴犬でした。

そんな人気の犬種ですが、意外にトラブルが多いので、その特性と対処方法を考えてみましょう。

犬が小田急電車に乗り込み、駅員をかむ

FNNプライムオンライン 小田急線 犬が先頭車両に 飼い主「散歩中にリード外れ...」 駅員が手をかまれる

上記の動画にありますが、今月の6日の朝に、神奈川県秦野市の小田急線鶴巻温泉駅で、犬が電車に乗り込み、犬を車外に出そうとした駅員がかまれました。

駅員は、応急処置を受けて軽いけがだけですみ、乗客にはけがはなかったということです。犬の方も知らない人に囲まれて、怖くて威嚇したのでしょう。

その犬は、「散歩中にリードが外れて犬がいなくなった」と市内の高齢男性が交番に訪れて、無事に飼い主のところに戻りました(電車や車に轢かれたりしなくてよかったです)。

電車は少し遅れましたが、大事件にならずにすみました。この犬は、柴犬とは書いていませんが、柴犬によく似ています。柴犬やそのミックスの子が人をかむことが、多くあるのかを見ていきましょう。

柴犬の特性とは?

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

動物病院で治療をしていて、かまれそうになる犬が柴犬です。

人気の犬種なので、数が多いという点もありますが、そういう特性を持っていることを理解することが大切です。

柴犬はプリミティブ・ドッグ

柴犬は野生動物に近い特性を持っているプリミティブ・ドッグです。つまり、あまり改良されていない原始的な犬なのです。

洋犬の血を引くトイ・プードルやラブラドル・レトリーバーは、いつまでも「子ども」のようで、触って触ってときます。フレンドリーな子が多いです。

その一方で、柴犬は、洋犬に比べて、感情を表に出すことが少ない子は、サインを読み取りにくく、急にかんできたりします。

あまり改良されておらず、誰に対してもフレンドリーではないことを覚えておくことは大切です。

こう書くと、柴犬は人や犬への攻撃性が出やすいように見えますが、気をつければトラブルを防ぐことができます。

トラブルを防ぐ方法

柴犬は、プリミティブ・ドッグで原始的な犬なのだということを頭に置いて、トレーニングをしましょう。

子犬のころから社会化のトレーニングをする

散歩に行くと、犬や人がいることがあります。小さいときから、他の犬が近くにいたら、オヤツなどをあげて、犬や人に慣れさせておくことは大切です。

喧嘩などをさせないようにしましょう。攻撃する前に、オヤツをあげるというのがいいです。

当院に診察に来た柴犬は、診察が終わるとオヤツを飼い主からもらっている子もいます。そうすることである程度は慣れてくれます。

初めて会う犬との自由交流を控える

柴犬は、他の犬より、社会性を持ちにくい犬です。

初めて会う犬とは、相性がわからないので、自由に交流させることは、控えた方がいいです。

いきなり、喧嘩になることもあります。そんな場合は、仲裁に入るのも難しいです。飼い主同士が、見守りながらにしましょう。

誰でも触らせない

柴犬は、誰も対してもフレンドリーでは、ないので、知らない人に触れささないようにしましょう。

散歩のときは、首輪より胴輪を

首輪は、なにかの拍子で抜けることがあるので、胴輪の方がおすすめです。

胴輪とリードのところも取れないように、しっかりフックがかかったものにしてあげてください。

リードの持ち方は、手首に巻いて

犬が引っ張ったときに、リードが外れないように、リードは一般的に持つところが輪になっています。そこを手首に巻いてリードを持ってください。犬が引っ張りそうになれば、制してください。

決して、リードが外れないように。リードが外れてしまうというのは、飼い主の落ち度になり、もし誰かにケガをさせた場合は、告訴などがあればこれは過失傷害罪になります。

・いつもオヤツを持って散歩へ

気をつけていても、今回のトラブルように犬は逃げてしまうことがあります。その場合は、怒ったり、追いかけたりすると、余計に離れてしまうことがあります。

落ち着いて、愛犬の好きなオヤツをいつも持参しておきましょう。多くの場合は、オヤツが目的で戻ってきます。

まとめ

イメージ写真
イメージ写真写真:アフロ

犬種にはその犬種特有の問題があるのです。たとえばトイ・プードルは家族から離れられない分離不安の子が割合にいますし、大型犬は小型犬に比べて、散歩の時間は長い方がいいでしょう。

柴犬は、上述のような犬であることを理解して、トラブルを予防しましょう。

柴犬を誰にでもなでられるフレンドリーなタイプにしようと思わないことです。ドッグランに行き、柴犬を他の犬と一緒に遊ばそうと思って飼うと、飼育放棄に陥りやすいので気をつけてください。

家族の人には、なつく子が多いですが、誰でも好きというわけにいかない犬です。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

石井万寿美の最近の記事