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「日韓合意」にあの崔順実被告が背後で関与!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
裁判での崔順実被告

釜山総領事館前の少女像の設置への抗議の意思表示として一時帰国させていた長嶺安政・駐韓大使が数日内に帰任すると伝えられているが、日韓慰安婦合意をめぐっては韓国では「崔順実スキャンダル」絡みで新たな疑惑が浮上している。朴槿恵大統領の弾劾に繋がった韓国史上最大の政界スキャンダルの中心人物である崔順実(チェ・スンシル)被告が日韓合意や日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)の締結にも背後で関与していたのではないかとみられている。

韓国紙「セゲイルボ」が本日(16日)付で伝えたところによると、2015年12月28日の日韓慰安婦合意に崔順実被告が関与した疑いがあるとして、崔被告の国政関与を調査している特別検察官の捜査チームが内偵を始めたとのことだ。

(参考資料:「日韓慰安婦合意」に「密約」があるのか

特別検察官が日韓外交絡みで動き出したのは、李ビョンギ元大統領秘書室長(2015年2月~2016年5月)と在日韓国人学者A氏の会食に同席していた人物から「慰安婦合意を崔順実とA氏が背後で影響力を行使したと話しているのを聞いた」との証言がもたらされたことによる。このため捜査チームは韓国での学会に出席するため一時帰国中の在日韓国人学者A氏に対して出国禁止措置を取って現在参考人として事情聴取を行っている。駐日大使を2013年6月から2014年6月まで務めた李元大統領秘書室長は杉山外務審議官や谷内正太郎国家安全保障局長との非公式協議で「重要な役割」を担った人物として知られている。

同紙はA氏とコンタクトを取り、事実確認を求めたところ、A氏は「特別検察官チームが慰安婦合意の成立過程で李元室長の秘密活動の有無と崔被告が関与したのかどうか、私がメッセンジャー役を務めたのかどうかを聞いていた」として日韓合意絡みで事情聴取を受けている事実を認めたものの「李ビョンギ元大統領秘書室長と個人的に食事したことはない」として関与を否認している。

A氏は今月13日、金浦空港から日本行きの便に搭乗する予定だったが、空港で出国禁止措置になっていたことを知ったとのことだ。日本で大学を卒業し、博士号を取得したA氏は朝鮮半島及び東北アジアの問題を専門的に研究している。また、日本の「世界日報」の姉妹紙である「セゲイルボ」は昨年10月、逃亡先のドイツで崔被告との単独インタビューに成功したメディアとして知られている。

特別検察官がこの時期に日韓絡みで李元秘書室長周辺を調べ始めたのは、大統領秘書室長在任中に朴槿恵政権に批判的な文化人のブラックリストを作成していた疑惑との関連で今月2日に李元室長の自宅を家宅捜索した際に押収した資料から崔被告と李元室長との関連を結びつける「物証」が出て来たからではとの見方もなされている。李元室長は昨年10月の国会での国政監査の場で「崔の顔を一度も見たこともない」と関係を否認していた。

李ビョンギ氏は朴槿恵政権下で駐日大使、国家情報院長、青瓦台秘書室長を兼任した朴大統領の「懐刀」で朴大統領からの「2015年内に妥結させよ」との至上命令を受け、外務省とは別途に動いていたことで知られている。

仮に、日韓合意が外務省の公式ルートによるものでなく、崔順実被告ら裏人物の関与による産物であった場合、同紙は「国内外に大きな波紋を呼ぶかもしれない」と報じているが、崔被告が日韓合意やGSOMIAに具体的にどう関与したのか今のところ何一つ明らかにされてない。また、崔被告の関与を否定する韓国外務省関係者も同紙に対して「外務省に対して特別検察官からはまだ資料提供の要請もない」とコメントしている。

朴槿恵大統領が40年来の友人である崔順実容疑者から外交分野でも「指南」を受けていたことは様々な事例からも明らかだ。崔被告への依存度ぶりが半端でないことから韓国のメディからは「マインドコントロールされ、『お告げ外交』をしていた」と揶揄されている。

(参考資料:父親譲りの朴大統領の「お告げ外交」

実際にこれまで検察による崔被告や前青瓦台行政秘書官の千皓宣(チョン・ホソン)被告らへの取り調べの結果、朴大統領が大統領機密文書を崔容疑者に渡し、アドバイスを受けていたことが判明している。その中には中国の習近平主席との首脳会談やNATO事務総長や米国務長官、国連事務総長らとの会談や通話資料まで含まれていた。

日本絡みでも大統領就任直前の2013年1月、安倍総理の特使として額賀福志郎元財務相が訪韓し、朴大統領と会談しているが、崔被告は島根県の「竹島の日」(2月22日)に関連する式典を政府レベルで実施しない方向だと言われた場合には具体的な評価を避け「ほほ笑みで返す」よう対応を指示していた。また、従軍慰安婦問題に関しても「個別の問題を議論するより、『歴史に対する日本側の正しい認識が両国関係発展の基本になる』と答えるべき」と事細かく指示していた。

この他にも高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の導入や配備場所の決定から2013年の次期戦闘機(F-X3)の選定、さらには駐ベトナム大使の任命など外交人事への関与も取り沙汰されている。

(参考資料:韓国大統領候補全員が日韓合意見直し、少女像撤去には反対

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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