発達障害・グレーゾーンは周囲の理解で成長!自立を目指した「スモールステップ」とは?
「うちの子、発達障害かも?」と思ったとき、誰に相談したらよいのでしょうか。
関わり方については、保育士や教師、発達障害支援センター、児童相談所などで相談できますね。
発達障害かどうかの診断をできるのは専門の医師だけです。保育士・教師、保健士、看護師などは診断ができません。
医師に診断をしてもらった結果、「発達障害の特性が見られるものの、診断基準には満たない状態」を『グレーゾーン』という通称で呼ばれることがあります。
グレーゾーンとは、どのような状態のことを言うのでしょうか。
また、グレーゾーンの子どもの子育て、周囲の人の関わり方はどのような方法が望ましいのでしょうか。
『グレーゾーン』でも発達障害の行動がある
発達障害の診断に用いられるのは、何種類かあるテストです。テストの結果、その子どもの思考や得意・不得意を総合的に観察し、凸凹が大きい場合は発達障害の診断となります。
ただ、著しく発達障害と同じような行動や思考が見られるものの、凸凹があまりない場合や、本人や周囲に「困り感」が無い場合は、基準には満たない状態のときはグレーゾーンと言われます。
成長と共に集団生活がスタートし、周囲との成長差があったり、本人や保護者が接し方に困る気持ち抱えるようになったときは、適切な対応策・接し方をしていきます。
関わり方は、医師や児童発達支援センター、保育士や教師、そして家族と話し合い決めていくことになるでしょう。
発達障害やグレーゾーンにはどのような特徴があるのでしょうか。
|未就学児のころに見られる行動
- 気になることがあると、今していることを問わずに動く
- 順番、置き方、ルールなど、特定の物事にこだわる
- 友達に関心がない、一緒に遊ばない、一人遊びが多い
- 集団生活の場でルールを守れず思うままに動く、止まる
|小学生のころに見られる行動
- 学校のルールやマナーが守れない
- 授業中に立ち歩く
- 場面に合わない質問をしたり、一人で話続ける
- 挙手での回答が必要でも、勝手に話し出す
- 忘れ物が多い
- 板書をする、マス目に文字を収めて書くなどが難しい
- 文字の間違いが目立つ
- 計算が苦手
|中高生のころに見られる行動
- 思ったことを口に出すため友達関係が築きにくい
- その場の空気を読むのが苦手
- 空気を読み過ぎて、混乱・落ち込み・被害妄想がある
- 文脈の理解が困難
- 忘れ物や失くし物が多い
- 好きなことにしか集中ができない
|社会人になってから見られる行動
- なんとなくいつも体調が良くない
- 職場の人間関係がうまく築けない
- ミスが多く注意を受けることが多い
- もうちょっと急いで/今週中に仕上げてなど、曖昧な指示に対応できない
- 約束やスケジュールを忘れる
- 計画にない急な予定や、指示・仕事が入ると混乱する
- メモを取りながら会議や指示を聞けない
- マニュアルを読んでも頭に入らない(理解できない)
- 自分なりの目標を掲げられない/目標を達成する方法がわからない
各年代で、このような特徴や困りごとにぶつかることがあります。
達成を急がずスモールステップで(目標を細かく・達成を目指す)
グレーゾーンであっても発達障害の特性や症状が軽いとは限りません。体調や気分、疲れによって強く特性や困り感が出現したり、調子が良かったりします。
グレーゾーンであり発達障害の診断が無いのだから、できないことがあったり、気分が落ち込むことがあると、甘えやサボりではないか? と本人や周囲は感じてしまいがちです。
うまくいかないこと、気力が持続しないことなどが続くと、ストレスからうつ病や適応障害を引き起こすこともあります。
少しでも快適な生活と将来の自立を目指すには、小さな頃から「スモールステップ」で子育てをすることも一つの方法です。
「スモールステップ」とは、目標とすることに一足飛びで達成を求めるのではなく、目標までに小さな達成を積み重ね、最終目標までにたどり着くこと。
学校教育や会社の人材育成でも取り入れられている方法です。
最終目標までに達成感を何度も味わい自信をつけたり、自分の苦手や課題を見つけることもできます。
例えば、スケジュール管理や事前準備の苦手な子どもに、前日準備を身に着けることを目標とする場合は、すべきことを視覚化してみましょう。
紙にタスクを書き、終わったらチェックを入れます。
これまでは忘れ物が多かったこと、翌朝はスムーズに安心して登校できることを実感でき目標を達成できた喜びを味わえます。
保護者も子ども成功体験を重ねることで自信を持てますね。
スモールステップは、自分の苦手や得意を意識し、子ども自身が成長を感じられる方法です。大人になってもスモールステップで達成できるようになるでしょう。
周囲の関わり方や受け入れ方で、その子の未来が変わる
グレーゾーンでも発達障害のような特性があったり、診断がついていなくても、大切なのは、まずはしっかり寄り添い子どもの苦手や得意・困り感や辛さを理解することです。
また、発達障害は生まれつきの特性であり、本人の努力ではなかなか変えられないということを家族や先生・上司や仲間にも知らせましょう。
周囲の理解が、本人の持っている能力を引き出し、生きにくさを軽減していきます。
時間がかかりますが、保護者も子どもと一緒に「スモールステップ」で成長を喜びあいましょう。
★次回は、わが子が「友達にいじめられた」と言ってきたとき、どうする? がテーマです。