固定電話のみ世帯は5%足らず、携帯だけは5割超え…米電話普及率の推移と現状をさぐる
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00079954/top_image.jpeg?exp=10800)
・米国の18歳以上による回答での固定電話のみの世帯は4.8%、携帯電話のみは52.0%。
・18歳未満に尋ねると携帯電話のみの世帯は62.3%。本人自身のみやルームメイトとの環境での回答者もいるため高くなる。
・世帯が携帯電話のみの人は増加中。回答者の年齢が25~34歳では7割を超える。
携帯電話だけの世帯が過半数
携帯電話、特にスマートフォンの普及浸透が著しい米国における電話の普及状況に関わる最新調査結果(2017年上半期分)が、同国の公的機関である米疾病対策予防センター(The U.S. Centers for Disease Control and Prevention、CDC)から発表された。それによると携帯電話のみの世帯は半数を超えて52.0%に達している。その発表内容を経年変化の各種データとともに確認していく。
まず最初は、18歳以上の大人に「自分が所属する世帯に関する電話環境」を尋ねたものの結果。「携帯のみ」に「固定電話のみ」「固定電話と携帯電話双方あり」の3つの選択肢があり、その動向を重ねたのが次のグラフ。ちなみに「携帯電話」とは原文では「wireless telephones」と解説されており、旧来の自動車搭載型の小型携帯式電話、各種携帯型電話(従来型携帯電話、スマートフォンなど)が該当する。
![↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境主要選択肢回答率(米、大人(18歳以上)による回答)(~2017年上半期)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00079954/image01.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
2006年と2007年の間で「固定・携帯双方あり」「固定のみ」に大きな変化が起きている。これは2007年以降において携帯電話関連の項目で設問方法に変更があったため。区分が変わっただけで、実情が大きな変化を起こしたわけでは無い。
その動きをのぞけば、固定電話は一貫して減少している。「固定のみ」だけで無く「固定・携帯双方あり」も減っていることから、固定電話の数が物理的に減り、携帯電話に取って代わられていることが確認できる。2017年上半期で、固定電話のみの世帯は4.8%でしか無く、すでに52.0%は固定電話無し・携帯電話だけの世帯となっている。ただこの数年は「固定電話のみ」の世帯数減少の動きがほぼ横ばいに移行し、固定電話に固執する世帯に大きな変化は無く、双方を持っていた世帯が完全に携帯電話のみに切り替える動きのみ進んでいるように見える。
この現象は18歳未満の子供に尋ねた場合も変わらない。
![↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境主要選択肢回答率(米、子供(18歳未満)による回答)(~2017年上半期)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00079954/image02.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
固定電話比率は大人に確認した時よりも低い。最新値では固定電話のみは2.4%となり、携帯電話のみは62.3%と、6割に達する形となった。これは学生寮などに入り、一人暮らし、あるいはルームメイトとともに過ごす環境下にいる人が多いのが原因と思われる。固定電話に慣れ親しんだ大人世代がいない世帯では、携帯電話の比率が高くなるのも当然。
直近の2017年上半期分では、「固定のみ」の動きが穏やかなまま推移し、「固定・携帯双方あり」が減り、その分「携帯のみ」が増えている。双方を持っていた人たちの携帯のみへのシフトが本格化したように見える。
「携帯電話のみ」の回答を年齢階層別に
次のグラフは、回答者年齢階層別の「携帯のみ」(固定電話無し)世帯率の推移を示したもの。CDCのデータでは2005年から2006年にかけて世代区分の変更が行われ、前後で連続性が断たれているので、今グラフは2006年上半期分以降のみとしている。
![↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境「携帯のみ」の回答率(米、年齢階層別による回答)(~2017年上半期)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00079954/image03.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境「携帯のみ」の回答率(米、年齢階層別による回答)(2017年上半期)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00079954/image04.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
若年層と最高齢層の上昇率が緩やかなのをのぞけば「回答年齢が若いほど『携帯のみ』率が高く、上昇率も大きい」傾向が確認できる。また今半期でも前半期に続き「18~44歳の回答者世帯の過半数では、携帯電話しか電話が無い」との状態に達している。「65歳以上」はしばらく過半数への到達は難しいが、「45~64歳」はすでに4割台後半に突入しており、あと数年で5割にも手が届くだろう。
若年層の注目・普及度が加速度的に進み、高齢者はゆっくりと確実に普及していく状況は、携帯電話に限らず、新技術、特にデジタル系のサービスやアイテムに共通する動き。中堅層以降、特に女性への浸透著しいソーシャルメディアのような例外もあるが、大抵はこのパターンが踏襲される。
早くから携帯電話に慣れ親しんだ若年層も少しずつ歳をとり、じきに中堅層・高齢者の層の仲間入りとなる。そして生まれた時から「携帯電話が常識」の社会に囲まれて育った、真の意味での「デジタルネイティブ」も生まれ、成長していく。高齢層の習得、利用状況も併せ、デジタルメディア、特に今件の携帯電話の世代間格差がどのような変容を見せるのか。引き続き動向を追いかけ、確認をしていきたところだ。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。