新たな熱帯低気圧が発生 今後台湾方面を指向し梅雨前線を刺激するおそれも
今回の記録的な大雨により、甚大な土石流災害の発生した静岡県熱海市をはじめ、被災した方々にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い救出を願うばかりです。
熱帯低気圧が発生し、台湾方面を指向へ
タイトル画像をみるとフィリピンを挟むようにして大きな雲の塊が二つ発生していますが、この内、東側にある雲の塊付近できょう4日(日)午前3時、熱帯低気圧が発生しました。
天気図中のTDというマークが熱帯低気圧で、現在北西方向にゆっくりと進んでいます。熱帯低気圧は今後も北西方向へ進み、あす5日(月)午後9時には台湾付近に北上する予想となっています。
今のところ、気象庁の予想では中心気圧が1004hPaのままですから、台風に発達するような予想は出ていませんが、フィリピンの東海上は海水温が30度以上あるため、予想以上に発達する可能性もあり、先島諸島を中心とした沖縄方面は今後の動向に要注意と言えるでしょう。
実際、諸外国を含めた種々の計算の中には、台風の勢力で台湾付近を指向させる計算もみられる状態です。
熱帯低気圧が北上し梅雨前線を刺激するおそれ
東海や関東に記録的な大雨をもたらした梅雨前線は引き続き、本州付近に横たわっており、南からの暖湿気の補給を受けて活動の活発な状態が続いているため、今後も広い範囲で大雨に警戒が必要です。
そんな中、きょう発生した熱帯低気圧が北上する予想となっており、更なる梅雨前線の活発化が心配されます。
上図はあす5日(月)朝の雨雲の予想ですが、日本付近には梅雨前線に伴う東西に連なる降水域が広がっており、その一方でフィリピンの東海上を熱帯低気圧に伴う大きな降水域が北上している状況です。
活発な雨雲が日本付近に流れ込む?
6日(火)夜になると、熱帯低気圧は中国大陸南部付近に達しているタイミングで、活発な雨雲はばらけた状態となっていますが、雨雲の元の湿った空気はすぐになくなるわけではありません。
この熱帯低気圧の北方には梅雨前線があり、熱帯低気圧とともに持ち込まれた暖湿気がこの梅雨前線に向かって流れ込むと一段と活発な雨雲が発生し、これが梅雨前線に沿って今週後半には日本付近に次々と流れ込んでくる可能性があります。
熱帯低気圧がなくても、もともと存在している暖湿気の影響でこの時期は梅雨前線の活動が活発となりやすいため、今回のような大雨が降る時期ではありますが、ここに熱帯低気圧起源の際立った暖湿気が絡むとさらなる危険な雨雲が発生してもおかしくありません。
今後の熱帯低気圧の動向と梅雨前線の挙動には引き続き、注意・警戒が必要です。