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家族が囲む食卓での話題は何だろう

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 家族そろっての食事では世代を越えた話が交わされることになるが…

食卓の話のネタはテレビや事件・事故

昨今、震災以降は特に食卓を囲んで家族で食事をし、食材そのもの以外にコミュニケーションも楽しみ、家族の絆を再確認、深めていく傾向が強まりを見せている。中食の浸透普及もそれに絡んだ動きであり、「孤食」(一人、特に子供だけで食事を済ませる状況)が問題視されつつあるのも、それに連動したもの。パルシステム生活協同組合連合会が2013年11月に発表した、家族の食卓に関する調査結果(既婚女性を対象とした調査なので、必然的に夫婦世帯。子供のあるなしは問わない)によれば、毎日家族そろって食卓を囲む世帯は朝食で25%、夕食では36%。週一以上でカウントすれば、朝食では7割近く、夕食では9割以上が家族皆で食事をしている。

↑ 家族で食卓を囲む回数
↑ 家族で食卓を囲む回数

それでは家族が囲む食卓では具体的にどのような会話が交わされているのだろうか。テレビドラマや映画位でしか、他の世帯の食卓の情景を見る機会が無いだけに、案外気になる話ではある。

↑ 家族で食卓を囲む際の話題(複数回答)
↑ 家族で食卓を囲む際の話題(複数回答)

大きな差を第二位以降につけて最上位の座にあるのは「芸能ネタ・テレビ番組」。6割近い夫婦世帯が、この話題を食事時に語ると答えている。誰もが容易に知ることが出来ることから、言葉のキャッチボールの素材にはぴったりのネタといえる。見方を変えれば、メディアとしての凋落ぶりが伝えられているものの、今なおテレビは家族のコミュニケーションツール、対話ネタの提供元として重要な位置を占めていることになる。

次いで多いのは「事件・事故」。こちらもテレビや新聞、さらには実見分やインターネット経由など、多種多様なルートで容易に知ることが出来、客観的に語れるので、共通の話題として展開しやすい(主観的に語る、つまり自分が当事者となったものは、特にネガティブな話は食卓の場では語りにくい)。「客観的」という見方では、トップの「芸能ネタ・テレビ番組」に近い。

客観的視点としては他に「政治」「経済」「文化・芸術」「国際情勢」などがあるが、回答率はさほど高くない。他人に語るだけの理解をするためのハードルが、芸能系や事件事故と比べると高いようだ。

上位2項目はいわば他人事。しかし第3位以降は「家族でのお出かけ」「学校・幼稚園」「近所・地域」など、家族に直接関係がある内容が続く。「家族でのお出かけ」は楽しかった非日常の経験、「学校・幼稚園」は子供にとって一日の多分を過ごすことになる日常での経験と、「ハレとケ」という相反する項目だが、食事時の話のネタとしてはほぼ同列に扱われている。

子供が大きくなると食卓の話題も変わる

子供がいる世帯に回答を限定し、その子供(末子)の世代別に再集計を行い、さらに話題の対象を子供関連に絞って生成したのが次のグラフ。

↑ 家族で食卓を囲む際の話題(複数回答)(末子の学校区分別、子供に関する話題抜粋
↑ 家族で食卓を囲む際の話題(複数回答)(末子の学校区分別、子供に関する話題抜粋

小学生までは幼稚園や学校など就学中の場所に関する話が多く、特に小学生では3/4近くが話題に登っている。中学生になると最上位が学校そのものよりも友達に移る。子供の対人関係での成長が成され、交友関係も広く深くなり、その結果、家族との食事の中で語れることが増えているようだ。

学業関連では、将来・進路は中高生、勉強や成績は小学校から高校生、習い事は小中学生で高い値を示す。高校生で習い事の話題が無くなるのは、スポーツや芸術関係の習い事はしなくなり、ほとんどが学習塾のみとなること、そしてその内容は保護者との会話には(難しすぎるので)適さないからだと考えられる。

また「子供の将来・進路」で乳児の値が高めに出ている。保護者が乳児を目の前に、その子の将来について語り合う情景が目に浮かんでくる。

グラフ化は略するが、末子の世代別に見ると「マンガ・アニメ」は小学生の世帯でもっとも多く25.8%。「ゲーム」も小学生が最多回答層で、22.7%が話題にしている。小学生にとって日常生活の中で、これらの娯楽がいかに重要な位置にあり、保護者に向けてですら語りたくてたまらない状態にあるかが分かる結果といえよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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