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家事と育児、夫の実情をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
男性も積極的に育児をする時代?(写真:アフロ)

兼業主婦の増加に伴い、夫の家事や育児参加への積極化を求める声が強まりを見せている。一方で古来の習慣や就業時間の関係から、夫が家事の手伝いを敬遠する向きがあるのも事実。それでは実際、夫はどの程度家事や育児に参加しているのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所が2022年に調査を実施し、2024年4月に報告書を発表した全国家庭動向調査(※)の第7回分の結果から、その現状を確認する。

まずは家事について。主要な家事の項目を挙げ、その内容について週1~2回以上夫がしていると回答した妻の割合を示している。

↑ 家事の種類別にみた週1~2回以上家事をした夫の割合
↑ 家事の種類別にみた週1~2回以上家事をした夫の割合

もっとも多くの夫がしている家事はゴミ出しで、57.7%。次いで食後の片付けが47.8%、日常の買物が46.0%、風呂洗いが42.9%、洗濯が39.6%。炊事も30.6%いる。

詳細頻度は今グラフでは略されているが、例えばゴミ出しの場合、毎日・毎回との回答は21.5%に達している。風呂洗いなら13.5%、洗濯なら11.4%。家事のスキルの観点で、夫に任せても大丈夫そうな家事ほど、夫の行為率が高くなる傾向にあるようだ。例えば料理が苦手な夫に無理に料理をさせても、食べられるものを作れる自信がないのなら、炊事を任せるのは危険だと判断するだろう。部屋掃除が低めなのは、時間がかかるのと、どこに何をしまったのか妻が把握できなくなる可能性があるからかもしれない。

経年推移で見ると、おおよそ増加する傾向にある。もっとも古い値となる、前世紀の1993年と比べると、大きな増加ぶりを示している。特に2018年から2022年の増加度合いが大きいのは、昨今の「働き方改革」が影響している可能性はある。

続いて育児。なお「保育園送り迎え」は2022年分については回答選択肢が「保育園送り」「保育園迎え」に二分化しているため、「保育園送り」の値を適用している。

↑ 育児の種類別にみた週1~2回以上育児をした夫の割合
↑ 育児の種類別にみた週1~2回以上育児をした夫の割合

子供の遊び相手は92.2%とほとんどの夫がしている。風呂入れは80.2%、泣いた子をあやすのは72.5%、おむつ替えは70.1%、食事させは66.8%。家事と比べ、相手が人間であるため、より一層高い技量が求められるように見えるが、夫の行為率は高い。

詳細頻度は今グラフでは略されているが、例えば遊び相手の場合、毎日・毎回との回答は41.7%に達している。夫の4割強が毎日・毎回しているとの実情に驚く人もいるかもしれない。風呂入れは20.0%、泣いた子をあやすのは23.8%、おむつ替えは21.5%。

家事同様育児でも、夫に任せても大丈夫なものほど、夫の行為率が高くなる傾向にあるようだ。もっとも保育園送り迎えの値が低いのは、就業時間との関係で夫がするのは難しいケースが多々あるのだろう。

経年推移を見ると、家事同様におおよそ増加する傾向にある。しかし家事の時ほど大きな伸び方はしていない。しかし2018年から2022年への増加度合いが大きいのも家事同様ではある。

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※全国家庭動向調査

国立社会保障・人口問題研究所が原則5年おきに行っている調査で、家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため、家庭の出産、子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としている。直近分となる2022年分は、2022年に調査票を配布、同年7月1日時点についての事実の記入をしてもらい、回収した結果を集計したもの。有効回答票数は9661票で、今件はそのうち有配偶の女性(つまり結婚した状態で夫がいる妻)が回答した5518票を主要な分析対象としている。妻の年齢区分は29歳以下2.7%・30代11.8%・40代19.4%・50代21.4%・60代22.0%・70歳以上22.7%。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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