藤井王将連覇か、羽生九段タイトル100期達成か――第72期ALSOK杯王将戦七番勝負展望
藤井聡太王将(20)に羽生善治九段(52)が挑戦する第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は1月8、9日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で第1局が行われる。
藤井王将(竜王・王位・叡王・棋聖)にとっては連覇がかかる防衛戦。羽生九段にとっては前人未到のタイトル獲得通算100期なるか注目の七番勝負だ。
データを基に勝敗と展開を予想してみた。
<王将戦七番勝負日程>
第1局 1月8、9日 静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」
第2局 1月21、22日 大阪府高槻市「摂津峡花の里温泉 山水館」
第3局 1月28、29日 石川県金沢市「金沢東急ホテル」
第4局 2月9、10日 東京都立川市「SORANO HOTEL」
第5局 2月25、26日 島根県大田市「さんべ荘」
第6局 3月11、12日 佐賀県三養基郡「大幸園」
第7局 3月25、26日 栃木県大田原市「ホテル花月」
藤井王将にスキなし
<藤井王将の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)
11月8、9日 竜王戦七番勝負第4局
対広瀬章人八段 ○
11月14日 順位戦A級
対広瀬八段 ○
11月20日 将棋日本シリーズ決勝
対斎藤慎太郎八段 ○
11月25、26日 竜王戦七番勝負第5局
対広瀬八段 ●
11月29日 棋王戦コナミグループ杯本戦敗者復活戦1回戦
対伊藤匠五段 ○
12月2、3日 竜王戦七番勝負第6局
対広瀬八段 ○
12月8日 棋王戦コナミグループ杯本戦敗者復活戦2回戦
対羽生九段 ○
12月19日 棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局
対佐藤天彦九段 ○
12月23日 順位戦A級
対佐藤九段 ○
12月27日 棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第2局
対佐藤九段 ○
<羽生九段の最近10局>(相手の肩書は対局当時)
11月22日 ALSOK杯王将戦リーグ
対豊島将之九段 ○
11月28日 叡王戦予選
対井上慶太九段 ○
11月28日 叡王戦予選
対永瀬拓矢王座 ●
12月1日 順位戦B級1組
対近藤誠也七段 ●
12月8日 棋王戦コナミグループ杯本戦敗者復活戦2回戦
対藤井竜王 ●
12月14日 朝日杯将棋オープン戦2次予選
対長谷部浩平五段 ○
12月14日 朝日杯将棋オープン戦2次予選
対三枚堂達也七段 ●
12月19日 ヒューリック杯棋聖戦2次予選
対梶浦宏孝七段 ○
12月22日 順位戦B級1組
対丸山忠久九段 ○
12月27日 王座戦2次予選
対千田翔太七段 ○
藤井王将の直近10局は9勝1敗と変わらず「絶好調」でどこにもスキが見当たらない。
トップ棋士ばかりの王将戦リーグを全勝で駆け抜け挑戦権をつかんだ羽生九段も直近10局は6勝4敗、3連勝中と流れに乗っているが、調子の比較では藤井王将に分があるとみていいだろう。
また過去の直接対決は藤井王将が7勝1敗と大きく勝ち越している。両者のタイトル戦は初めてだが、調子と相性を総合し七番勝負は藤井王将優位とみて間違いない。
羽生九段の勝負術と後手番戦略に注目
戦型は近年トップ棋士の間で定番となっている相居飛車中心の戦いになることは間違いない。藤井王将先手なら角換わりか相掛かりを志向することが予想されるが、羽生九段はこのところ後手番で横歩取りに誘導することがたびたびあり、それが復調に結びついている。
過去8戦で唯一羽生九段が勝利した2020年の対局(王将戦リーグ)も後手番で横歩取りを誘った将棋だった。よってシリーズ中1、2局は横歩取りが出現すると思われる。
羽生九段先手の時は角換わりか相掛かり、藤井王将は相手の注文を外すことはまずないのでこちらは真っ向勝負になる可能性が高いだろう。
下馬評では圧倒的に藤井王将乗りが多いが、筆者は今回の七番勝負に羽生九段がこれまでの棋士人生で会得した「勝負術」のすべてを投入し戦うと思っているので、将棋内容は接戦になると予想している。