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河野臨九段、連敗脱出 不調の訳のウワサ

内藤由起子囲碁観戦記者・囲碁ライター
局後の検討をする河野臨九段。2019年8月、日本棋院=筆者撮影

9月下旬に河野臨九段が棋聖戦Sリーグで勝利した。ただの1勝ではない。11連敗をストップさせた大きな1勝となった。今年、春ころから河野臨九段が不調だと、棋士の間で話題になっていた。8月末まで5勝21敗と大きく負け越していた。このとき、不調の原因をいろいろな棋士が推測していた。その話をいくつかご紹介しよう。

河野九段は「碁界で一番勉強している」と評判の棋士だ。

この表現、最初は不思議だった。碁の勉強はひとりでやる時間が多く、他人が見ることはほとんど無いからだ。「一番勉強している」というのは、「一番長い時間勉強している」のではなく、「一番濃い勉強をしている」ことなら合点がいった。これは碁を見れば、プロならすぐわかることだという。

そんな真面目な河野九段、4月1日に余正麒八段に勝って以来、実に5カ月以上、勝ち星に恵まれず11連敗。10期連続で在籍していた名人戦リーグも落ち、まさに「泥沼」状態だった。

今年、年初は棋聖戦挑戦者としてスタート。井山裕太棋聖に2年連続挑戦したが1勝4敗でダッシュならず。

それでも3月には4連勝して、いつもの河野九段だったのだが。

6月ころには、河野九段が勝てていないことは周知のこととなり、「棋聖戦挑戦者だったのに。なんという……」と、「不調」の話が出るようになった。

勝てないなか、私が観戦記を担当した対局でも、なぜか魅入られたようにぴったり半目負けするなど、ツキもないように感じた。

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囲碁観戦記者・囲碁ライター

囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

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