河野臨九段、連敗脱出 不調の訳のウワサ
9月下旬に河野臨九段が棋聖戦Sリーグで勝利した。ただの1勝ではない。11連敗をストップさせた大きな1勝となった。今年、春ころから河野臨九段が不調だと、棋士の間で話題になっていた。8月末まで5勝21敗と大きく負け越していた。このとき、不調の原因をいろいろな棋士が推測していた。その話をいくつかご紹介しよう。
河野九段は「碁界で一番勉強している」と評判の棋士だ。
この表現、最初は不思議だった。碁の勉強はひとりでやる時間が多く、他人が見ることはほとんど無いからだ。「一番勉強している」というのは、「一番長い時間勉強している」のではなく、「一番濃い勉強をしている」ことなら合点がいった。これは碁を見れば、プロならすぐわかることだという。
そんな真面目な河野九段、4月1日に余正麒八段に勝って以来、実に5カ月以上、勝ち星に恵まれず11連敗。10期連続で在籍していた名人戦リーグも落ち、まさに「泥沼」状態だった。
今年、年初は棋聖戦挑戦者としてスタート。井山裕太棋聖に2年連続挑戦したが1勝4敗でダッシュならず。
それでも3月には4連勝して、いつもの河野九段だったのだが。
6月ころには、河野九段が勝てていないことは周知のこととなり、「棋聖戦挑戦者だったのに。なんという……」と、「不調」の話が出るようになった。
勝てないなか、私が観戦記を担当した対局でも、なぜか魅入られたようにぴったり半目負けするなど、ツキもないように感じた。
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