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4月17日(水)『クイーンの日』フィジカルとデジタルの『ボヘミアン・ラプソディ』狂騒曲

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:ロイター/アフロ)

KNNポール神田です。

□日本とクイーンの絆が生んだ奇跡の再発。世界中で日本のみ、CD4タイトル、DVD5タイトルの再発が決定!

□9タイトルの中で最も注目のものは 『グレイテスト・ヒッツ・カラオケ』のCDとDVD。この作品はもともと日本のみの発売でCDは1998年、DVDは2004年に発売されたが、クイーンのレコード会社移籍にともないそのまま再発されることもなく廃盤に。当時の売り上げはCDが4,700枚、DVDが6,000枚とコアファンのみの需要であり、現在は中古市場にもめったに出回らない逸品で、配信もされていない作品となっている。また、カラオケとはいっても通常のカラオケボックスのようなサウンドではなく、本物のクイーンの演奏からフレディのリード・ボーカルだけを抜いた洋楽アーティストでは珍しい内容のアルバム。まるであなたがフレディになってクイーンと一緒にライブが体験できる唯一の作品。

出典:「クイーンの日」(4月17日)に9作品再発決定!

いわゆる、日本独自の便乗商法だ。しかし、フレディー・マーキュリーのボーカルトラックを抜いた本物のバンドカラオケというのは、主役=フレディと一体になれるという点では、映画の影響は非常に大きい。

日本国内における2018年興行収入でトップ、観客動員数922万250人、興行収入127億3928万円を記録(2019年3月31日)の映画『ボヘミアン・ラプソディ』の狂騒がまだまだ続いている。

それは、『クイーンの日』である。

■そもそも4月17日『クイーンの日』とは?

1975年の初来日で羽田空港に降り立ったのが、4月17日だったところから制定され、来日40年目にあたる2015年にイベントが開催されたのがきっかけ。そして、2018年の映画公開で大ブレイクしたことで、この4月17日にイベントが企画されている。

羽田空港(4月13日金)でもイベントがあり、4月17日に向けて再発や、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の販売がある。映画がまだ上映されているにもかかわらず…。

■あの日のライブを疑似体験できる『LiveFans』

公演のセットリストアプリの『LiveFans』で1975年のクイーンの初来日のセットリストを見て聞くことができる。

1975年4月19日(土)の最初の武道館公演だ。

当日のセットリスト順で楽曲を再生できる 出典:LiveFans
当日のセットリスト順で楽曲を再生できる 出典:LiveFans

このアプリのユニークな点は、好きなアーティストの来日時の演奏楽曲のセットリストを共有している点だ。そしてその楽曲をユーザーが持っていると、その楽曲をセットリスト順に演奏してくれるという点だ。最大のウリは、スタジオ録音版を、観客の声援や拍手とミックスしてくれることだ。さらに、会場のサイズによってエコーのかかり具合も調整できるという細かな芸当を持っている。ドーム/アリーナとかはあの遅れてくる音質を見事に再現している。

観客の大歓声とミックスしながらの演奏はまるでライブ会場 出典:LiveFans
観客の大歓声とミックスしながらの演奏はまるでライブ会場 出典:LiveFans

このアプリによって、自分の行ったコンサート、いや行けなかったコンサートですら、疑似体験することができるのだ。スタジオ録音版も見事にライブバージョンに聞こえる。人間は、たくさんの人間で同じ瞬間を『共有』したことのほうが感動できる動物なんだということを実感する。観客の歓声というノイズと、ホールの残響効果による『楽曲』としての音質は完全に劣化しているのに、コンサートの経験値が脳内でライブの音源のように記憶される。

http://www.livefans.jp/app/

■デジタル配信とBlu-rayのはざまで揺れる一物複数価

一番高価なスチールブック版は23,640円 出典:amazon
一番高価なスチールブック版は23,640円 出典:amazon

まだ、劇場で上映されているにもかかわらず、2019年4月17日には、映画『ボヘミアン・ラプソディ』がDVDとデジタル配信で販売となる。今回の目玉は、劇場版ではカットされた2曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「愛という名の欲望」を追加した全6曲の”ライヴ・エイド完全版”を特別収録だという。日本で撮影されたライブシーンも見てみたい…。

DVDビジネスの価値でもある、既存の映画+αで、監督と一緒にオーディオコメンタリーでたっぷりと解説を得られるというのは、『DVDメディア』ならではの特性だった。今回の映画『ボヘミアン・ラプソディ』もたくさんフォーマットが別けられている。

安い順に、PrimeVideoレンタル版(399円)デジタル配信(2500円)、DVD(3078円)、DVD Blu-ray(3807円)4K(5661円)スチールブック仕様(23,640円)とさまざま。さらにTシャツやらステッカーなどのバージョンがある。

アマゾンの『ボヘミアン・ラプソディ』特集ページ

https://www.amazon.co.jp/queen

EST配信:(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. ALL Rights Reserved

DVD/ブルーレイ:(C)2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC., ALL Rights Reserved

■フィジカル(物理)パッケージのあるデジタル配信

書棚に『物理パッケージ』が並ぶと所有欲が満たされる 出典:筆者
書棚に『物理パッケージ』が並ぶと所有欲が満たされる 出典:筆者

一番、ユニークなのが、デジタル配信(2500円)バージョンである。

一度だけ視聴できるレンタル版が(399円)、DVDだと(3078円)だ。その間に位置づけされるのが、何度でも再生できるデジタル配信(2500円)だ。今回、amazonは何度も再生できるデジタル配信に、わざわざパッケージをつけて販売している。

パッケージにはまったく興味がなく、DVD再生装置そのものを持ち合わせていない筆者にとってはまったくの謎なプロモーションだが、amazonのプロモーション担当者によると、『コレクターニーズ』というのがあるそうだ。そう、これは完全なるコレクションのための購買なのだ。DVDを再生するかどうかではなく、持っていることを目で確認できることが必要なのだ。たしかに、タイトル群を見ていると『所有脳』を満足させることができる。

いままでそれができなかったのが、購入タイプのデジタル配信だった。ディスプレイ上では、購入しており、いつでも再生することが確認できるが、それは『所有』という意識とは、全く別物だったのだ。コンテンツの中身よりも外側のパッケージにこそ、『所有の概念』があるのだ。

むしろ、デジタル配信で購入するとパッケージがamazonから送られてくるというのは、一瞬?な感覚だが、コレクターにとっては、実に理にかなっている。DVDラックや書棚にあり、物理メディアとしての盤は存在しないけれども、ネット配信で再生はできる。機能と物理パッケージが揃ってはじめて、人は『所有』と感じるようだ。

奥さん以外は、なんでも『シェア』と『メルカリ』ですませる筆者には考えられないが…。…とはいえ、弾きもしないギターやベースにかこまれて『クイーン』の本物による『LiveFans』でのニセライブ音源で悦にひたるのも同じことかもしれない。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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