4月17日(水)『クイーンの日』フィジカルとデジタルの『ボヘミアン・ラプソディ』狂騒曲
KNNポール神田です。
いわゆる、日本独自の便乗商法だ。しかし、フレディー・マーキュリーのボーカルトラックを抜いた本物のバンドカラオケというのは、主役=フレディと一体になれるという点では、映画の影響は非常に大きい。
日本国内における2018年興行収入でトップ、観客動員数922万250人、興行収入127億3928万円を記録(2019年3月31日)の映画『ボヘミアン・ラプソディ』の狂騒がまだまだ続いている。
それは、『クイーンの日』である。
■そもそも4月17日『クイーンの日』とは?
1975年の初来日で羽田空港に降り立ったのが、4月17日だったところから制定され、来日40年目にあたる2015年にイベントが開催されたのがきっかけ。そして、2018年の映画公開で大ブレイクしたことで、この4月17日にイベントが企画されている。
羽田空港(4月13日金)でもイベントがあり、4月17日に向けて再発や、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の販売がある。映画がまだ上映されているにもかかわらず…。
■あの日のライブを疑似体験できる『LiveFans』
公演のセットリストアプリの『LiveFans』で1975年のクイーンの初来日のセットリストを見て聞くことができる。
1975年4月19日(土)の最初の武道館公演だ。
このアプリのユニークな点は、好きなアーティストの来日時の演奏楽曲のセットリストを共有している点だ。そしてその楽曲をユーザーが持っていると、その楽曲をセットリスト順に演奏してくれるという点だ。最大のウリは、スタジオ録音版を、観客の声援や拍手とミックスしてくれることだ。さらに、会場のサイズによってエコーのかかり具合も調整できるという細かな芸当を持っている。ドーム/アリーナとかはあの遅れてくる音質を見事に再現している。
このアプリによって、自分の行ったコンサート、いや行けなかったコンサートですら、疑似体験することができるのだ。スタジオ録音版も見事にライブバージョンに聞こえる。人間は、たくさんの人間で同じ瞬間を『共有』したことのほうが感動できる動物なんだということを実感する。観客の歓声というノイズと、ホールの残響効果による『楽曲』としての音質は完全に劣化しているのに、コンサートの経験値が脳内でライブの音源のように記憶される。
■デジタル配信とBlu-rayのはざまで揺れる一物複数価
まだ、劇場で上映されているにもかかわらず、2019年4月17日には、映画『ボヘミアン・ラプソディ』がDVDとデジタル配信で販売となる。今回の目玉は、劇場版ではカットされた2曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「愛という名の欲望」を追加した全6曲の”ライヴ・エイド完全版”を特別収録だという。日本で撮影されたライブシーンも見てみたい…。
DVDビジネスの価値でもある、既存の映画+αで、監督と一緒にオーディオコメンタリーでたっぷりと解説を得られるというのは、『DVDメディア』ならではの特性だった。今回の映画『ボヘミアン・ラプソディ』もたくさんフォーマットが別けられている。
安い順に、PrimeVideoレンタル版(399円)デジタル配信(2500円)、DVD(3078円)、DVD Blu-ray(3807円)4K(5661円)スチールブック仕様(23,640円)とさまざま。さらにTシャツやらステッカーなどのバージョンがある。
アマゾンの『ボヘミアン・ラプソディ』特集ページ
https://www.amazon.co.jp/queen
EST配信:(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. ALL Rights Reserved
DVD/ブルーレイ:(C)2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC., ALL Rights Reserved
■フィジカル(物理)パッケージのあるデジタル配信
一番、ユニークなのが、デジタル配信(2500円)バージョンである。
一度だけ視聴できるレンタル版が(399円)、DVDだと(3078円)だ。その間に位置づけされるのが、何度でも再生できるデジタル配信(2500円)だ。今回、amazonは何度も再生できるデジタル配信に、わざわざパッケージをつけて販売している。
パッケージにはまったく興味がなく、DVD再生装置そのものを持ち合わせていない筆者にとってはまったくの謎なプロモーションだが、amazonのプロモーション担当者によると、『コレクターニーズ』というのがあるそうだ。そう、これは完全なるコレクションのための購買なのだ。DVDを再生するかどうかではなく、持っていることを目で確認できることが必要なのだ。たしかに、タイトル群を見ていると『所有脳』を満足させることができる。
いままでそれができなかったのが、購入タイプのデジタル配信だった。ディスプレイ上では、購入しており、いつでも再生することが確認できるが、それは『所有』という意識とは、全く別物だったのだ。コンテンツの中身よりも外側のパッケージにこそ、『所有の概念』があるのだ。
むしろ、デジタル配信で購入するとパッケージがamazonから送られてくるというのは、一瞬?な感覚だが、コレクターにとっては、実に理にかなっている。DVDラックや書棚にあり、物理メディアとしての盤は存在しないけれども、ネット配信で再生はできる。機能と物理パッケージが揃ってはじめて、人は『所有』と感じるようだ。
奥さん以外は、なんでも『シェア』と『メルカリ』ですませる筆者には考えられないが…。…とはいえ、弾きもしないギターやベースにかこまれて『クイーン』の本物による『LiveFans』でのニセライブ音源で悦にひたるのも同じことかもしれない。