今年は波乱が多いように思いませんか? 猛暑、大雨が影響? 智弁和歌山、二松学舎大付が早々に敗退!
夏の地方大会は中盤戦。沖縄尚学がトップを切って春夏連続の甲子園出場を決めたが、最注目の大阪桐蔭は明日19日が初戦(早稲田摂陵との2回戦)で、全国的な盛り上がりはこれからといったところか。しかし、最右翼と目されながら早くも姿を消したチームが少なからずある。(試合結果は17日まで)
智弁和歌山が22年ぶりに県大会初戦で敗退
まずは先週土曜日の15日。和歌山大会で3年前の独自大会を含め、夏は6年連続で優勝していた智弁和歌山が、初戦(2回戦)で高野山に2-4で敗れた。智弁和歌山はセンバツにも出ていて優勝候補の筆頭だったが、看板の打線が沈黙。高野山は背番号「5」の酒井爽(2年)が、強力打線をわずか4安打に抑える快投で、勝利の立役者となった。智弁和歌山の県大会初戦敗退は22年ぶりだ。
センバツ以降、やや元気がなかった智弁和歌山
智弁和歌山に関してはセンバツ(香川・英明に初戦敗退)で実況を担当したが、秋に比べて攻守に元気がなく、「調整不足かな」と感じていたが、その後の春の県大会でも決勝で市和歌山に完敗を喫していた。ただ、この時はエースの清水風太(3年=タイトル写真)と主砲の中塚遥翔(3年)を欠いていて、夏の本番までには復調すると思っていたので、彼らが本領を発揮する前に敗れたのは中谷仁監督(44)にとっても、悔いが残っただろう。特に清水は得意の救援で登板し、四死球による連続押し出しで逆転を許すという、無念のマウンドだった。
二松学舎大付は5大会連続の甲子園逃す
東東京では、一昨年夏から5大会連続での甲子園出場をめざしていた二松学舎大付が17日、タイブレークの末、堀越に逆転サヨナラ負けを喫し3回戦で姿を消した。二松学舎は春の都大会の早期敗退でシードを逃し、2回戦では成立学園に勝ったが、甲子園経験校と連続で当たる苦しい組み合わせだった。強豪がひしめく地区で、近年の二松学舎の勝負強さは際立っていただけに、これで代表争いは混沌としてきた。
「波乱」を定義づけするなら?
最終的には地区大会の優勝校しか甲子園には出られないので、「波乱」の定義づけは難しいが、上記2校のように、甲子園常連校が早期に敗退した場合には「波乱」と言えるだろう。組み合わせなので、強豪同士が早い段階で当たることもある。高校野球で「格」を論じるのは不謹慎と思うが、ファンの皆さんも勝敗予想されると察する。皆さんが「まさか」と、結果に驚かれたら「波乱」なのである。
昨夏代表の早期敗退が目立つ
今夏はほかにも、昨夏に出場した有力校の早期敗退が目立つ。札幌大谷が、南北海道の本大会を前に地区予選で敗れ去ったのを皮切りに、聖望学園(埼玉)、浜田(島根)、高岡商(富山)と富島(宮崎)も県大会初戦で敗退。さらに高松商(香川)や鶴岡東(山形)も上位進出を阻まれた。ただ、高松商を破った寒川や鶴岡東に土をつけた山形中央は甲子園経験もある実力校で、「波乱」とまでは言えない。意外だったのが創志学園(岡山)の初戦敗退で、東海大相模(神奈川)で4回の甲子園優勝を誇る門馬敬治監督(53)にとっては、新任校で初めての夏の采配となったが、伝統校の岡山南に中盤で大量失点し、逃げ切られた。
手探りの初戦は、強豪にとって鬼門
こうした有力校が敗退する理由はどこにあるのか。まず、地方大会は組み合わせが決まってから本番までにかなりの日数があり、対策を立てやすい。特に「格下」とされるチームは、初戦に準備したものを全てぶつけてくる。有力校と言えども初戦はまだ手探り状態で、本調子になるまでにやられるケースが大半だ。実力のあるチームは、大会が進むにつれて試合運びが安定してくるし、暑い夏の連戦を乗り切るスタミナもある。智弁和歌山の初戦は、まさにこのパターンだった。またタイブレークの10回からの運用も一因(二松学舎はタイブレーク負け)と考えられるが、これに関してはもう少し経ってから検証したい。
大雨のあと、突然の猛暑が追い打ち
さらに今年は、開幕のタイミングで大雨に見舞われた地域が多かった。そして突然の猛暑が追い打ちをかけ、試合中に足をつる選手が目立っている。気温と湿度の急激な変化に、体がついていけていない証拠で、選手のコンディショニングも影響しているように思う。これはもう、普段の練習では克服しきれない。暑さ対策は喫緊の課題で、試合中の給水や適度な休憩も含め、運用側からのサポートも不可欠になるだろう。地方大会は、今週末から一気に盛り上がる。暑さに負けない熱い戦いを期待している。