金正恩の聖地に隠された「愛人クラブ」の女性兵士たち
北朝鮮は16日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に続き、19日にも短距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮包囲網の強化がテーマのひとつとなった日韓首脳会談や、米韓合同軍事演習に反発した動きだと見られている。
金正恩総書記は一貫して、核兵器開発は「防衛のため」だと主張している。それが本当ならば、一定レベルの核戦力を整備すれば足りるはずだ。核による報復を受けるリスクをおかしてまで、米韓が北に先制攻撃をかける可能性は極めて低いからだ。
一方、ある脱北高官はデイリーNKジャパンの取材に対し、「核兵器開発は軍を統制するためでもある」と語っている。北朝鮮の通常戦力が米韓に対して使い物にならないことは当の北朝鮮軍人たちがいちばん良く分かっており、勝ち目のない相手と対峙し続けていれば、いずれ自国の政権を倒して自らの保身を図ろうと考えるかもしれない。しかし核があれば政権への信頼が増し、体制の一員として既得権を守り続けるだろう、との理屈である。
金正恩氏はほかにも、様々な方法で軍高官の忠誠心をつなぎとめている。その秘密が隠された金王朝の「聖地」の実態について、脱北者で東亜日報記者であるチュ・ソンハ氏が、自身のYouTubeチャンネルで暴露している。
チュ氏の公開動画に出演した脱北女性のチョ・ヨナさんは、2019年1月に脱北する以前、白頭山(ペクトゥサン)革命戦跡地の宿営所で軍属として勤務していた。白頭山は北朝鮮が、金正恩氏の祖父である故金日成主席が抗日武装闘争を行い、故金正日総書記が生まれたと宣伝している場所だ。
そこには全国から来た人々が思想教育を行う施設がいくつもあり、チョさんが勤務していた施設は軍の管理下にあったという。そしてこれとは別に、将官たち専用の招待所(別荘)も同じ地域内にあった。
チョさんによれば、招待所に常駐して管理を行っていたのは、朝鮮労働党5課により選抜された20代前半の女性兵士たちだったという。5課は「喜び組」や警護員など、金正恩氏やそのファミリーにそば仕えする人材を選抜するセクションとして知られる。
5課が選抜するのは家柄が良く、容姿の整った若者たちで、白頭山招待所に配置された十数人の女性兵士も美人ぞろいだったという。
そして彼女らの任務は、将官たちが滞在する間、あらゆる意味で「満足」を与えるために奉仕することだったという。早い話、国家が将官たちにあてがう「愛人」たちだったということだ。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
チュ氏によれば、こうした軍高官専用の招待所は白頭山だけでなく、全国各地に存在するという。将官たちは体制に忠誠を尽くす限り、こうした「役得」を享受できるというわけなのだ。