全国的な低温傾向 オホーツク海高気圧がカギに
先日、宮城県の水稲の生育状況(7月1日現在)についての発表がありました。それによると、水稲の生育はおおむね順調で、葉の数からみると、平年と比べて1日程度進んでいるということです。これは、6月中旬以降、平均気温、日照時間ともにほぼ平年並みに推移しており、天候による大きな影響を受けなかったためです。
しかしながら、今後は、天候に少し注意しなければいけないかもしれません。
全国的な低温傾向
気象庁発表の最新の1か月予報によると、この先、平均気温は、沖縄を除いて全国的に低い傾向で、その確率も50~60%という地域が多くなっています。
理由は二つあります。
一つは、梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多く、気温が上がりづらいということです。これは主に西日本や日本海側の地域に当てはまります。
そしてもう一つは「オホーツク海高気圧」の出現です。以前から何度かお話ししている通り、オホーツク海高気圧が出現すると、そこから流れ込む冷たく湿った空気の影響で、東北地方の太平洋側や関東地方では、低温や日照不足となることがあります。ここにきて、その傾向がはっきりとしてきたというわけです。
長期予報では予測が難しいオホーツク海高気圧ですが、実は、5月に発表された3か月予報では、7月にオホーツク海高気圧が現れる"可能性"は指摘されていました。(これについては、以前の記事、3か月予報からみる東北地方の夏の傾向で書いています)
7月の低温はイネの生育に影響も
イネは間もなく「幼穂形成期(ようすいけいせいき)」という期間に入ります(宮城県の平年は7月8日)。これは、幼い穂がイネの茎の中で作られ、1ミリ以上の長さになった時期のことで、低温に弱い時期の一つとされています。宮城県では、今後、低温が予測される場合(平均気温20℃以下または最低気温17℃以下)には、幼穂を保護するための深水管理(水深10センチ程度)を実施するよう指導しています。
「2週間気温予報」の活用
気象庁は、6月19日から新たに「2週間気温予報」をホームページで公開しています。週間予報の先の、8日先~12日先の最高気温、最低気温を地点ごとに予報したものです(ただし、8日先からは精度の関係で5日間の平均値を使用)。高温や低温を早い段階で把握できるため、農作物の管理に役立てることができます。
仙台を例にみてみると、今後は、最高気温、最低気温ともに、平年並みか低い傾向がしばらく続く見込みで、先ほどの深水管理の実施対象となるような気温の日もある予想です。
2週間気温予報は毎日更新され、状況は少しずつ変わる可能性があるため、こまめにチェックして、対策をとっていただければと思います。