3か月予報からみる東北地方の夏の傾向
先週末、突如やってきた真夏以上の暑さ。北海道では、5月どころか年間の最高気温を更新する地点が続出し、まさに記録的な暑さになりました。大陸育ちの非常に暖かな空気が流れ込んだこと、さらには地形なども影響して、今回の暑さはもたらされました。
5月にこれだけ暑くなると、夏はさらに暑くなるのではないかと考えるのは自然な流れかもしれませんが、事はそう単純ではないようです。
先日、気象庁から、夏の3か月間(6月~8月)の長期予報が発表されました。そこから、東北地方のこの夏の傾向がみえてきました。
夏らしい日が少なくなる?
カギを握るのが、いま発生している「エルニーニョ現象」です。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなる現象です。これが秋まで続く可能性が高いと予想されています。これに対応するように、太平洋高気圧やチベット高気圧の日本付近への張り出しが弱くなる見込みです。
7月・8月の東北地方は、平年よりも雨が多く、夏らしい日が少なくなる可能性があります。去年のような猛暑になる傾向は、今のところみられていません。
オホーツク海高気圧出現の可能性
資料を詳しく読むと、さらに気になる記述があります。7月に「オホーツク海高気圧が現れる可能性をやや考慮」とあるのです。
オホーツク海高気圧は、オホーツク海や千島近海に現れる冷涼湿潤な高気圧のこと。これが現れると、そこから送り込まれる冷たく湿った空気の影響で、東北太平洋側は低温や日照不足が続くことがあります。
オホーツク海高気圧については、2週間くらい前にならないとはっきりとしたシグナルは出ませんが、一つの可能性として考えておきたい現象の一つです。
7月の低温はイネに大きな影響
米どころの東北にとって、7月の低温は死活問題になりえます。
以前、イネの冷害の研究をしている、東北大学の先生にお話を伺ったことがありますが、イネの花粉形成期に最高気温19~20℃くらいの低温が4~5日続くと、冷害が起きる可能性があるということです。
2017年の夏、オホーツク海高気圧の出現により、東北太平洋側で連日曇りや雨となった時のことを覚えているでしょうか。この時は8月上旬で、イネの花粉形成期を過ぎていたため、幸い大きな影響は出ませんでした。
しかしながら、今回、花粉形成期の7月にオホーツク海高気圧の出現が示唆されていることが、少し気がかりなところです。
1か月予報と2週間気温予報
オホーツク海高気圧のシグナルをつかむためには、毎週木曜日に発表される1か月予報をチェックすることが有効です。
また気象庁は、6月19日から新たに「2週間気温予報」として、2週間先までの気温の予想を公表することになっています。これも早期に低温(高温)の兆候をつかむ手段としては有効に働くはずです。
今年の7月は、稲作農家にとっては、例年以上に注意が必要になってくるかもしれません。