ローカルな街の和菓子屋さんに銘品あり。

皆さんのお家の近所に、和菓子屋さんはありますか？近所ではなくとも、地元のここは有名で人気！というお店はひとつ、ふたつはあるかと思います。百貨店やデパートの催事に並ぶことがなくとも、また、お取り寄せ等はなくても、なぜか昔からこのお店は人気、このお店のこのお菓子は美味しいというものがあるのではないでしょうか。

今回は、銀座や日本橋といった煌びやかなイメージの東京都中央区とはガラリとイメージが異なる中央区の和菓子屋さんのお菓子をば。

東京都中央区入船にお店を構える「入船青柳」さんは、昭和２６年創業の街の和菓子屋さん。この入船という場所は、JR京葉線「八丁堀」駅では「東京」駅の隣、東京メトロ日比谷線では「築地」駅の隣と観光拠点に隣接した駅なのですが、駅から徒歩５分も歩くとマンションや昔ながらの家屋が建ち並ぶアットホームなエリアになります。

そんな入船青柳さんから名物「ロールカステラ」と「上用饅頭」をご紹介。

入船青柳さんには、創業時から販売されている最中が有名なのですが、もうひとつ人気の商品がありましてそれがこちらの「ロールカステラ」なんです。ロールケーキ、ではなく、カステラ。

ふわふわですぐにしゅわーっと溶けていくような、甘さ控えめのカステラ。ロールケーキ、ではなく、カステラなので厚みもしっかり。ぱさぱさしているわけではないので、思い切り頬張っても美味しくいただけます。生地は蜂蜜が入っておらず、卵をたっぷり使用しているのかコクをはっきりと実感。

トロリと甘酸っぱい杏子ジャムと一緒に口の中に入れると、これがまた丁度いいんです！なるほど、この一体感は確かに人気の秘訣のような気がします。特にジャムが染み込んだ内側の部分、なんとなく特別な感じがするのは私だけでしょうか。食べ応え満点なのにぺろりといけてしまう、それでいて製造日よりお日保ちも５日以上はあるので、まとめ買いする方も多数。この日は私の後にいらした方が１０個まとめて購入していました。

江戸の和菓子は甘味が強いというイメージもありますが（戦後の復興など力仕事のためには糖質が必要不可欠だったため）、こちらの上用饅頭はこし餡製。しっとりとして慎ましやかな甘味。皮は比較的薄く、半分に割った際にはシトシトと瑞々しい音が仄かに聞こえてきます。美味しいあんこを食べたい！という欲求がむくむくと湧いてくる日があるのですが、イコール「甘いものが食べたい」というわけではないのです。その願望に見事にフィットしてくれるお饅頭でした。

街の歴史と共に歩んできたお店には、同じようにその街で過ごしてきた人たちのお気に入りが沢山。観光地から少し離れて、ローカルな雰囲気も味わってみてはいかがでしょうか。