「スコアカード誤記による失格を最小化するために」PGAツアーがルール修正を発表 #ゴルフ
PGAツアーが「スコアカードの誤記(過少申告)による失格」という悲しい結末を最小限にする目的で、スコアカード提出に関するルールを一部修正することを決め、6月18日(米国時間)に選手たちにメモを回して通達した。
このルール修正は、今年2月のジェネシス招待でジョーダン・スピースが失格となった出来事を受けて行われたと見られ、すでに米メディアは「ジョーダン・スピース・ルール」と呼び始めている。
スピースはジェネシス招待2日目のラウンド後、スコアリングエリアへ直行し、スコアカードにサインして提出するやいなや、スコアリングエリアから出て、トイレに行った。
しかし、4番(パー3)でボギーを叩いたにもかかわらず、スコアカードには「3」と記した状態で提出してしまったことに気づき、「4」に修正しようと思ってスコアリングエリアへ戻ったそうだ。
だが、修正することは許されず、スピースは「スコアカードの誤記(過少申告)による失格」となった。
その日の夕方、スピースはSNSで声明を出し、「誤った数字を記したスコアカードにサインして提出し、スコアリングエリアを出てしまった。でも、ルールはルールだ。週末を戦えなくなって辛い想いだが、すべての責任は僕にある」と気丈に綴っていた。
この「スピース失格事件」が発端になったのだろう。PGAツアーは「スコアカードの誤記によるペナルティや失格を最小化するために」と前置きした上で、ルールの一部を修正したことを発表。PGAツアーが選手に回したメモは、こんな書き出しだった。
「私たちPGAツアーが運営するすべてのツアーと主要なゴルフ団体によるツアーにおいては、プレーヤーがスコアリングエリアから出たときが、スコアカードを提出したときと定義されている。しかし、私たちPGAツアーは、スコアカードの誤記によるペナルティや失格を最小化するために、USGAやR&A、DPワールドツアーとともに、この定義を修正すべく取り組んできた」
修正され、発表された新たな規定は「15分の猶予を設ける」というもの。プレーヤーは、ひとたびスコアリングエリアから出たとしても、15分以内であれば、スコアリングエリアに戻ってスコアを修正することができることになった。
また、スコアリングエリアから出たプレーヤーのスコアカードの誤記にルール委員が気づいた場合は、ルール委員がプレーヤーにその誤りを伝えたときから15分以内であれば、修正は可能になる。
プレーヤーがスコアカード提出後もスコアリングエリアに15分以上滞在していた場合は、そのプレーヤーがスコアリングエリアから出た瞬間が「スコアカードが提出されたとき」と見なされる。
もしも、このルール修正が今年2月より前に行われていたら、スピースはトイレからスコアリングエリアに戻って、4番のスコアを書き直すことができ、失格になることもなかったということ。
とはいえ、スピースがこのルール修正をPGAツアーに要求したわけではもちろんなく、昨今、同様の失格事件が増加傾向にあることを重く見たPGAツアーが、ようやくアクションを起こしたということなのだろう。
しかし、米メディアは「ジョーダン・スピース・ルール」と名付け、PGAツアーが大物選手に忖度したかのようなトーンを臭わせている。
選手たちからは、今のところは好評のようで、マイケル・キムは「いい変更だ。そのほうがいい」。
米国のゴルフファンからは、「このルール修正には、さほど大きな意味はないのでは?」「スコアを選手自身が付けるのはゴルフだけだ」「デジタル化すれば、スコアの誤記は起こらない。ルールを修正する前に、スコアの記入と集計のデジタル化を進めるべきだ」など、さまざまな持論も聞こえてくる。
いずれにしても、このルール修正は即時発効。PGAツアー、チャンピオンズツアー、コーンフェリーツアー、PGAツアー・アメリカスの今週の大会から適用される。