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PGAツアー「縮小策」正式決定、シード選手「125名→100名」、シンデレラ物語も激減!? #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

PGAツアーが様々な面で、これまでより大幅にダウンサイズ化、スリム化されることが正式決定された。

PGAツアーは今年10月末に17ページにおよぶメモを選手たちに配布。そのメモには、フィールド縮小のための提案が多々記されていた。

そして、その提案は11月18日(米国時間)の理事会で承認され、2026年シーズンから実施されることが決まった。

この決定により、シード選手はフェデックスカップ・ランキングの上位125名から100名に減らされることになった。1983年以来の縮小となる。

各大会の出場選手数も、現在は最大156名のところを試合に応じて120~132名、最大でも144名までに減らされる。スポンサー推薦やマンデー予選からの出場枠も、現行の4名前後から1~2名あるいはゼロとなる。

下部ツアーのコーンフェリーツアーからPGAツアーへ昇格できる人数も、現行のトップ30からトップ20へ一気に減らされ、Qスクール(予選会)からの昇格も、現行の上位5位タイが上位5名のみとなる。

PGAツアーがこの「縮小策」を決めた背景には、試合進行をスムーズにして、4日間72ホールが毎日きっちり完結させたいという狙いがある。今季のPGAツアーの大会のうち、1日でも日没サスペンデッドになった試合は全体の28%を記録した。

サスペンデッドによる不規則進行となると、選手にもキャディにも大会関係者にも大きな負担がかかる。TV中継のスケジュールも乱れるという事情もあるため、PGAツアーにとって試合進行を早めて日々の18ホールをきっちり終わらせることは「MUST」の課題と言っていい。

その課題をクリアするために考え出された苦肉の策が、この「縮小策」だ。

シード落ちを気にする必要がとりあえずないトッププレーヤーにとっては、ウエルカムの策と言えそうだが、シード獲得の瀬戸際にいる選手や下部ツアーなどからPGAツアーへの昇格を目指す選手にとっては、間口が大幅に狭まるこの策は厳しい決定である。

「無名の新人」「伏兵」「長年の苦労人」などとみなされていた選手が、マンデー予選やスポンサー推薦から試合に出て、奇跡のような勝利を飾り、「シンデレラボーイ」と呼ばれて一世を風靡するような夢物語を目にするチャンスは、これまででも希少だったが、今後はほとんど見られなくなると思うと、一抹の淋しさを感じずにはいられない。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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