音楽著作権管理団体ASCAPのブロックチェーン・プロジェクトについて
米国の大手音楽著作権管理団体のひとつであるASCAPがブロックチェーンを活用したプロジェクトのプレスリリース(ASCAP, SACEM, And PRS For Music Initiate Joint Blockchain Project To Improve Data Accuracy For Rightsholders)を出しています。
フランスの著作権管理団体SACEMとイギリスの著作権管理団体PRS For Musicと共に、ブロックチェーンを使った新システムを構築するという発表です。IBMの協力のもとに、オープンソースのHyperLedger Fabricのブロックチェーンを使用するようです。
ブロックチェーンを何に使うかというと、レコーディング(音源)の国際標準コードISRC(International Standard Recording Code)と音楽作品の国際標準コードISWC(International Standard Work Code)の連携を管理することを(少なくとも当面の)目的としているようです。
楽曲コードと音源コード間の連携を正確に取るという目的自体は重要と思います(ライセンス料の正確な分配に不可欠です)が、ここで生じる疑問は「なぜそのためにブロックチェーンが必要なのか?」ということです。現在使用しているであろうRDBMSにコード間の対応を示すテーブルを追加すれば済む話ではないでしょうか。
もし、既存のデータの非一貫性や品質問題を解決したいという話であるとするならば、それはデータ・クレンジング・ソフト(と多大な手作業)で解決すべき問題であり、ブロックチェーンは直接的には関係ありません(どういうデータ保管テクノロジーを使うかではなく、どういうデータを保管するかの話です)。
普通にRDBMSで解決すればよい話にわざわざブロックチェーンを使おうとする「ブロックチェーン言ってみたいだけちゃうんか」案件がたまに見受けられますが、(プレスリリースから判断する限り)これもそのひとつのように思えます。