良い香りのカメムシもいる?青リンゴやシトラスの香り?#カメムシ大発生
人間に悪い人と良い人がいるように、悪臭で嫌われるカメムシの中にも、良い香りのものがいる。今秋の大発生で「くさい嫌な虫」の印象が一層強まったカメムシだが、少しは良い面もあるのだ(サシガメ類など害虫を駆除する益虫もいます)。
青リンゴの香りのカメムシとして有名なのは、ネムノキにいるオオクモヘリカメムシだ。「甘酸っぱい青春の香り」などと言う人もいるが、これは持ち上げすぎ。オオクモヘリカメムシは、幼虫が可愛いことでも知られる。この幼虫は、体長に比して触角が異常に長く大きい面白い姿をしているので、近所にネムノキがあったら是非観察してほしい。
オオクモヘリカメムシと良く似た香りを出すのが、マユミにいるキバラヘリカメムシだ。こちらはオオクモヘリカメムシほど有名ではないが、その香りの良さは負けず劣らずで、若干シトラス(柑橘)系の印象が強い気がする(あくまで個人の感想です)。キバラヘリカメムシの成虫は、背中側が黒く腹側が黄色で、そのコントラストが美しく、ピンク色に熟したマユミの実の上でこのカメムシが吸汁していると、なかなか絵になる。
香水の良い香りでも、強すぎると悪臭になると言われるのと逆に、悪臭の成分もちょっとした調合と濃度の違いで、良い香りになったりするらしい。その証拠に、カメムシの悪臭の主成分とされるアルデヒド系の物質が、香水に使われる場合もあるという。
こんなことを書くと、カメムシのにおいをかぎ分けたいという誘惑に駆られる人もいるかもしれない(いない、いない!)。しかし、あえてにおいをかごうとする人は、におい物質が皮膚に付かないよう注意する必要がある。この物資には、刺激性があるので、皮膚に付くとヒリヒリする場合がある(経験あり)。
このため、カメムシのにおいをかぐ際には、ティッシュで優しく包んで、その外側にそっと鼻を近づけるのがお勧めだ(勧められても、断る人が多いと思うが)。
オオクモヘリカメムシとキバラヘリカメムシはともに成虫で越冬するので、真冬にも出会える可能性がある。
(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)