就活は社会経験に入りますか?
個人的に実感はあまりないが、世間では景気がよくなってきたらしい。大学生の就職が以前よりは厳しくなくなってきたという感じはしなくもないので、それ自体は大変けっこうな話ではある。
とはいえ、一方でこんな動きもあって、喜んでばかりもいられないのでごく手短に。
日本経団連は2013年9月13日に「採用選考に関する指針」を改定していて、「広報活動 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、選考活動 卒業・修了年度の8月1日以降」なんていうルールを作ってはいるわけだが、まあ加入してない企業も多いし、加入してるところも本気で守るつもりなんかないんだろう。上掲の日経記事だと、インターンという名目ならいいだろうってわけで、インターンを事実上の採用活動として位置づける方向性、みたいなことが書いてある。
景気が悪いときは焦る学生が早く就活を始め、景気がよくなると焦る企業が早く採用を始める、ということだろうか。勝手にやってもらう分にはかまわないわけだが、これが大学での教育に直接影響してくるからそうもいっていられない。これまでは3年生の後期ぐらいから就職活動で授業を休む3年生が出てきたものだが、それが前期のうちから出始める、ということになるのかもしれない。
一方、大学教育についても、学外での活動を増やせ、という方向になるらしい。
どう考えても大学での教育なんか大切じゃないという方向で社会が動いているようにみえるわけで、この業界に身をおくものとしては忸怩たるものがあるわけだが、まあ皆様がそうお考えならそれはそれでしかたない。
だったらいっそ、インターンシップをここでいう学外活動とやらに含めてもらえばいいのではないか。社会経験を積みつつ将来の就職先を探す。学生も企業も満足。めでたしめでたし。大学としても、インターンシップを大学教育の一環として位置づけて、単位つけるとか教職員がサポートするとか、いろいろ考えたらいいと思う。
インターンシップでなくても、就職活動というのは、大学生に社会のいろいろな側面を教えてくれる貴重な機会となりうる。人の内面を見ず学歴などのわかりやすい指標やうわべだけのコミュ力()で人間を判断される理不尽さも、思いつきの無理難題に大変な労力をかけて回答するも「お祈り」メール1つで切り捨てられる悲哀も、就職活動で学ぶことができる。これらは社会に出てからもきっと役に立つ()であろうし、何しろ大学生活の過半の期間をそれに費やすのだ。大学が評価すべき学外活動による社会経験の中に含めて悪かろうはずがない。
個人的意見としては就職活動は卒業後にやるようにしたらいいと思っているので、これはあくまで次善の策としての提案だが、学外活動で授業休まれてインターンシップでまた授業休まれて、何も学んでないけど就職決まったから単位くれみたいな話は大変迷惑なので、ぜひ関係各位でいろいろ考えていただけると助かる。