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皇太子同妃両殿下 御結婚25年 おめでとうございます

山下晋司皇室解説者
2018年3月 皇太子殿下ブラジルへご出発時 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

6月9日、皇太子同妃両殿下は結婚25年を迎えられた。

平成5年6月9日は朝から雨だった。賢所での「結婚の儀」、宮殿での「朝見の儀」などの諸行事は屋内のため天候は気にならなかったが、皇居から赤坂御用地までのパレードは雨なら車に屋根が付いてしまうので、やきもきしていた。だが、両殿下が宮殿南車寄から出発される時間に合わせるかのように雨は止んだ。あのときの情景は昨日のことのように思い出せる。それほど感動的な場面であり、お二人の将来を暗示するかのような天候の回復だったのだが・・・

雅子妃殿下は愛子内親王殿下ご誕生翌年の平成15年12月に帯状疱疹を発症され、翌年、適応障害と診断されて以降、現在に至るまで、療養生活はすでに15年目に入っておられる。だが、少しずつではあるが確実に回復されており、喜ばしい限りである。一時は体調を心配された愛子内親王殿下も今は元気に学校に通われている。

その間、皇太子殿下は公務を休むこともなく、妻をいたわり、子育てにも積極的に参加されてきた。

皇太子殿下にはお世継ぎ問題もあり、相当な重圧の中での25年だったと拝察するが、ご本人はそういう生活にも充実感を感じておられたのではないだろうか。

天皇陛下は平成25年のお誕生日会見で「天皇という立場にあることは、孤独とも思えるものです」と仰ったが、殿下は来年5月からそのお立場になる。今上陛下もそうだったが、新天皇は先帝と比較され、何かと批判されるものである。それに加えて新皇后に関する批判もあるだろうから、殿下は相当苦労されることだろう。だが、強い精神力をお持ちの殿下はそれらを乗り越えていかれると信じている。

妃殿下も、最近は都内での式典出席や宿泊を伴う地方にも行かれ、先日は歴代皇后の仕事とされている御養蚕も引き継ぐ意思を示された。

来年5月から新しい御代が始まる。今回の文書回答でも殿下は「社会の変化に応じた形で、それに対応した務めを考え、行動していくことも重要」と仰っているが、これはまさしく陛下の「行動あってこその象徴」というお考えと同じである。新天皇皇后としてのお気持ちをどのようなご活動を通して国民に示されるのか、今から楽しみである。

さて、今回は残念ながら記念の記者会見は行われなかった。両陛下も皇太子同妃時代に結婚25年を迎えられ、記者会見が行われた。有名な「努力賞」「感謝状」というご発言のあったあの記者会見である。

1分でもいいから、皇太子妃として直接ご自身の声で国民に話しかけるいい機会だったと思うが、両殿下で相談された結果だろうし、今は無理なさらないほうがいいだろう。

しかし、今回は宮内記者会からの文書による質問に文書で答えられている。妃殿下は療養に入られて以降、いわば一方的な感想は出されていたが、質問には答えていなかった。文書とはいえ、15年振りに記者の質問に答えられたということは、確実に回復されている証左だろう。

1年後に迫った御代替わりまで、お忙しい日々となるだろうが、お健やかに過ごされることをお祈りしている。

皇室解説者

昭和31年 大阪市生まれ、関西大学卒。20数年の宮内庁勤務後、平成13年に退職。宮内庁では昭和63年~平成7年まで長官官房総務課で報道を担当。昭和天皇の崩御・大喪の礼、平成の即位の礼・大嘗祭、秋篠宮殿下の結婚、皇太子(現在の天皇陛下)の結婚などの諸行事を報道担当として経験。平成時代の天皇皇后の中国訪問、米国訪問及び皇太子(現在の天皇陛下)のモロッコ・英国訪問に報道担当として同行。宮内庁退職後は出版社役員を経たのち独立。独立後は、BSテレ東・テレビ東京「皇室の窓スペシャル」の監修のほか、週刊誌・テレビなど各メディアでの解説、記者勉強会の講師、書籍・テレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている。

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