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動画共有の新スタイルSnapchat(スナップチャット)とは

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 気軽に気兼ねなく写真や動画を扱いたいとの需要に応える「Snapchat」とは

スマートフォンと共にソーシャルメディアが幅広い層、特に若年層の日常生活に浸透する中、知り合いとの情報共有を目的に、写真や動画を共有する事例も増えている。昨今ではアメリカの成人全体で写真は5割、動画は1/4が自分で撮った作品をネット上に投稿している。若年層に限ればそれぞれ8割近く、5割近くと高率に及ぶ(以下はアメリカの大手民間調査会社Pew Research Center社が2013年10月に発表したデータを基にしたもの)。

↑ 自作写真・動画投稿者(米、インターネット利用者限定)(2013年、属性別)
↑ 自作写真・動画投稿者(米、インターネット利用者限定)(2013年、属性別)

その状況に合わせる形で登場し、撮影・投稿を加速化させているのが、「Instagram(インスタグラム)」や「Snapchat(スナップチャット)」といった、写真や動画を気軽に扱えるアプリケーション。中でも斬新な仕組みを用いているのがスマートフォン用のアプリ、「スナップチャット」。

これは2011年に登場した、写真や動画の撮影、そして文字などの追加編集、さらには個人やグループに送信ができるもの。最大の特徴は「作品の受信者の閲覧時間を最大10秒までに設定できる」「受信者が一度再生し終わると、その写真・動画は受信者の端末・企業サーバー双方から完全に削除される」点にある(スクリーンショットの保存も困難。仮にキャプチャしたとしても送信側にそれが通知される)。当然だが送信者の手元のマスターファイルは残る。次に示すのはスナップショットの解説映像(公式)だが、そのお手軽な使用感が把握できる。

つまり「スナップショット」は、昔のスパイ映画で良くあるシーン「なお、このテープは自動的に消滅する」が、自分が送信したい写真や動画で行えるというものである。これは「知り合いと共有したいが、受信者側の端末に保存され、さらには他人に複製・共有されて、送信後に『炎上』したり茶々を入れられたり、自分の経歴にマイナスとなるようなリスクは背負いたくない」「自分の意図しない第三者に拡散されるリスク無く、純粋に知人の間だけで写真や動画の共有、『ねぇ、これちょっと見てよ』をネット上で楽しみたい」という需要(特に若年層)に応えたもの。実際、Pew Research Centerによる調査でも、若年層においてとりわけ高い利用率が確認できる。

↑  Snapchat利用者(米、2013年、携帯電話利用者限定)
↑ Snapchat利用者(米、2013年、携帯電話利用者限定)

全体では携帯電話利用者のうち利用率は9%。しかし実際にはその大部分を若年層が占め、30歳未満に限れば26%の利用率が確認できる。サービススタートが2011年であることを考えれば、驚異的な値といえる。さらに今件は携帯電話(一般携帯電話とスマートフォン双方を合わせたもの)の利用者に対する比率なので、アプリが存在するスマートフォン利用者に限れば、その利用率はグンと上昇するはず。

このような若年層からの支持を背景に、「スナップチャット」は今風雲児的存在となりつつある。先日もWall Street Journalなどの報道(Snapchat Spurned $3 Billion Acquisition Offer from Facebook(英語))によると、同社はFacebookからの30億ドル以上の額面提示による買収を受け、それを入れなかったとの話も伝えられているほど。

今後はさらに若年層へのスマートフォンの普及が進むに連れて、今回紹介した「スナップチャット」や「インスタグラム」、そして「Vine(バイン)」のようなアプリを用い、文章と同じ感覚で気軽に画像、そして動画のやりとりが成されるようになる。中でも若年層の需要にマッチした「スナップチャット」は、ますますの躍進と進化を遂げていくことだろう。

今件はアメリカでの話。しかし写真や動画の投稿に関する、特に若年層における需要の本質は変わらない。日本でも似たような動きを見せるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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