エディ・ヴァン・ヘイレンによるギター特許について
以前書いたマイケル・ジャクソン発明の斜め立ち特許は比較的有名と思いますが、FacebookのTL経由でエドワード・ヴァン・ヘイレン本人が発明したギターの特許があることを知りました。元ネタは、Popular Mechanicsの記事です。
同記事では、エドワード・ヴァン・ヘイレンは3件のギターの関連特許を取得して、うち2件が有効と書いてますが、現時点で有効なのは1件だけだと思います。
まずひとつめはUS4656917"Musical instrument support"です。出願は1985年、登録は1987年なので、もう権利は満了しています。
特許の基本アイデアは、この味のある図面を見るとよくわかります。ギターの背面についている折りたたみ式の支え(図の140)により体でギターを支えてライトハンド奏法等をやりやすくできる点がポイントです。
普通の言葉で「背面に折りたたみ式の支えがついたギター」でよさそうなものですが、特許のクレームは、できるだけ広く解釈されるための抽象性と正確性を両立させなければならないので、こういう書き方になってしまいます。弁理士として明細書作成するときに一番気を使うポイントです。
2つめは特許とは言ってもデザイン特許(日本でいう意匠登録)で、番号はUSD388177です。ギターヘッド部の意匠(工業デザイン)ですが、期間満了しています。
3つめはUS7183475"Stringed instrument with adjustable string tension control”です。これは2003年の出願で特許料も支払われていますので当面権利は有効です。ギターの特定弦のチューニングを即座に変える(典型的には6弦をEからDに落とすDrop2Hellというチューニングにする)ためのテールピース部の機構に関する特許です。