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藤井王位4連覇か、佐々木七段初戴冠か――第64期伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
棋聖戦に続き王位戦でも佐々木七段の挑戦を受ける藤井王位(筆者撮影)

 藤井聡太王位(20)=竜王・名人・叡王・棋王・王将・棋聖に佐々木大地七段(28)が挑戦する第64期伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負(新聞三社連合主催)は第1局が7月7、8日に愛知県豊田市「豊田市能楽堂」で行われる。

 藤井王位は4連覇を、佐々木七段は初タイトル獲得をかけての七番勝負となる。両者は並行して行われている棋聖戦五番勝負でも接戦を繰り広げており熱戦は必至だ。データを基に勝敗と展開を予想してみた。

先手番で両者最近負けなし

<七番勝負日程>

第1局 7月7、8日 愛知県豊田市「豊田市能楽堂」

第2局 7月13、14日 兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」

第3局 7月25、26日 北海道小樽市「料亭湯宿 銀鱗荘」

第4局 8月15、16日 佐賀県嬉野市「和多屋別荘」

第5局 8月22、23日 徳島県徳島市「渭水苑」

第6局 9月5、6日 静岡県牧之原市「平田寺」

第7局 9月19、20日 神奈川県足柄下郡「ホテル花月園」

<藤井王位の最近10局>(相手の肩書は対局当時)

5月10日 王座戦本戦

対中川大輔八段 ○

5月13、14日 名人戦七番勝負第3局

対渡辺明名人 ●

5月21、22日 名人戦七番勝負第4局

対渡辺名人 ○

5月28日 叡王戦五番勝負第4局

対菅井竜也八段 ○(2千日手)

5月31日、6月1日 名人戦七番勝負第5局

対渡辺名人 ○

6月5日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局

対佐々木七段 ○

6月20日 王座戦本戦

対村田顕弘六段 ○

6月23日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局

対佐々木七段 ●

6月28日 王座戦本戦準決勝

対羽生善治九段 ○

7月3日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局

対佐々木七段 ○

<佐々木七段の最近10局>(相手の肩書は対局当時・未放映のテレビ対局を除く)

5月1日 棋王戦コナミグループ杯予選

対杉本和陽五段 ○

5月8日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組

対池永天志五段 ○

5月18日 伊藤園お~いお茶杯王位戦挑戦者決定戦

対羽生善治九段 ○

5月22日 棋王戦コナミグループ杯予選

対谷合廣紀四段 ○

5月31日 竜王戦4組昇級者決定戦

対高崎一生七段 ○

6月5日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局

対藤井棋聖 ●

6月15日 順位戦C級2組

対井田明宏四段 ○

6月23日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局

対藤井棋聖 ○

6月29日 竜王戦4組昇級者決定戦

対阿部光瑠七段 ○

7月3日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局

対藤井棋聖 ●

 藤井王位の直近10局は8勝2敗で敗れたのはいずれもタイトル戦番勝負の後手番。佐々木七段も同じく8勝2敗で敗れたのは藤井王位(棋聖戦での肩書きは棋聖)との後手番2局のみ。

 どちらも好調を維持しており、調子の面では互角といえよう。七番勝負は「先手番キープ」の流れになる可能性が高そうだ。

直接対決もほぼ互角。相掛かりでは佐々木七段が勝ち越し

 両者の公式戦直接対決は7局あって藤井王位が4勝3敗と星一つの勝ち越し。ただし、戦型別では相掛かりで佐々木七段が3勝2敗と勝ち越していて、角換わりでは藤井王位の2勝0敗。

 藤井王位先手なら棋聖戦同様に角換わりを志向し、佐々木七段が追従する展開が予想される。佐々木七段先手の場合は得意の相掛かりをぶつける可能性が高く、こちらも藤井王位が受けて立つだろう。

 七番勝負は長丁場なので、どこかで後手番になったほうが最新将棋AIの好む「相居飛車角換わり拒否」の趣向を用いるかもしれない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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