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新生ラストアイドル、始動から半年の現在地 「東京で生きていけるのかと思ってました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)GATE Inc

一昨年に解散したラストアイドルの名前を継承しつつ、オーディションで選ばれたメンバーと一新したコンセプトで、昨年9月に始動した新生ラストアイドル。今年に入って定期公演を開催し、3枚目のシングル『キミ僕』が配信リリースされた。欅坂46の『サイレントマジョリティー』などを手掛けたバグベアによる、アッパーなラブソング。7人のメンバーから園田一花、西村瑠香、吉原琉音に聞く。

グループに入ってから毎日ツインテールに

――新生ラストアイドルのオーディションが始まってからは1年が経ちましたが、当時はどんな生活をしていました?

園田 北海道の普通の高校生でした。アイドルは好きでしたけど、何かに打ち込んだことはなくて。ラーメン屋さんでバイトをしていて、注文を間違えて怒られて泣いたりしながら(笑)、帰って寝る日々でした。

――その頃からツインテールだったんですか?

園田 たまにしていました。普通の高校生がツインテールだと、ちょっと痛いじゃないですか(笑)。グループに入ってから、気づくと毎日するようになっていました。

吉原 私も高校に通って、お寿司屋さんでバイトをしていました。炊いたお米を床に落としてしまったり、ミスをちょこちょこやらかしていて。中学ではバレーボール部に所属していましたけど、高校では部活はやっていません。

西村 『青春高校3年C組』が終わったあと、アイドルのオーディションも受けたんですけど、受からなくて。普通の大学生活を送っていました。

園田一花(そのだ・いちか) 2007年2月13日生まれ、北海道出身
園田一花(そのだ・いちか) 2007年2月13日生まれ、北海道出身

ショックから「アイドルをやりたい」と気づいて

――アイドルに興味を持ったのは、どの辺からでした?

吉原 私は歌がヘタなほうで、音楽をあまり聴いてなくて。アイドルも全然知らなかったんですけど、SNSで新生ラストアイドルのオーディションを知って、急に興味を持ちました。自分でやってみて、歌って踊ることが楽しいなと思うようになりました。

園田 アイドルは小学生の頃から好きでした。乃木坂46さん、欅坂46さん、AKB48さんとか、いろいろなCDを買って家で聴いていて。歌うのも好きでしたけどダンスはヘタで、歌って踊れるアイドルの方はすごいなと。好きでも、自分とは関係ないと思っていました。

西村 『青春高校』の頃はなりゆきでアイドル部に入って、楽しいなというくらいでした。当時は自分からアイドルやりたいかと言われたら、ちょっとわからないところもあって。でも、オーディションに落ちたとき、すごくショックを受けたんです。そこで「私はアイドルをやりたいんだ」と改めて気づいた感じでした。

最初は誰も話さなくて大丈夫かなと

――初期と今とで、それぞれ印象が変わったりもしました?

西村 最初はみんなおとなしい感じで、楽屋で誰もしゃべらなくて。大丈夫かなと思っていましたけど(笑)、今はみんな、めっちゃ騒いで元気いっぱいです。

園田 瑠香が一番年上で、(3月まで)大学生だったので、大人だなと思います。ライブの本番前とか、みんながバタバタしている中で、いつも落ち着いています。

西村 あまり緊張はしません。

――ジェネレーションギャップを感じることはないですか?

西村 私には妹がいるので、みんなが話していることはわかるんです。でも、私の年代のことを話しても、みんながわからないことはあります(笑)。

園田 年下組の私たちも高校生だから、そんなに離れてはいませんけど、全員で観ていたアニメの話をしたとき、瑠香が言ったタイトルは知らなかったから、覚えていません(笑)。

――3rdシングル『キミ僕』のジャケット写真は制服衣装ですが。

西村 いちおう「まだ行ける」と言われました(笑)。

園田 瑠香がポニーテールですごくかわいい。さらに子どもっぽくなっています(笑)。

西村瑠香(にしむら・るか) 2001年11月28日生まれ、東京都出身
西村瑠香(にしむら・るか) 2001年11月28日生まれ、東京都出身

1人1人にちょっかいを出したくなって

――お互いの印象に残る言動もありますか?

吉原 一花がよく変なことをしてきます。メンバーの腕を掴み上げて、食べるようなマネをしたり(笑)。

園田 1人1人にちょっかいを出したくなって、最近は腕を食べるのにハマっています(笑)。

西村 一花は絶対音感があるので、この音がどのキーとか、パッとわかるんです。歌っていて音がズレていると、直してくれます。

園田 5歳からピアノを習っていて、音はわかります。

――自分からピアノを習いたいと?

園田 昔はいつもお姉ちゃんに引っ付いていて、ピアノもお姉ちゃんが始めたから、私もやると言いました。結果、北海道から出てくるまで、お姉ちゃんより長くやっていました。

――新生ラストアイドルでは、まだ披露していませんよね?

西村 レッスン場にキーボードが置いてあって、即興で弾いてくれると、めちゃめちゃ上手いです。

園田 流行っている曲を弾いてますけど、そんなに上手くありません(笑)。

初めてのライブでお客さんを見て感動しました

――吉原さんは歌もダンスも未経験で加入して、人一倍練習したり?

吉原 そうですね。お風呂で歌ったりしました(笑)。

園田 琉音は最初の頃、たぶん自信がないから声も出ない感じでしたけど、今はメンバーの中で一番成長したと思います。

吉原 ダンスもみんな上手で、いろいろ聞いたりしながら練習しました。

――ここまでの新生ラストアイドルの活動で、特に感動したことと言うと?

園田 初めてのライブでお客さんを前にしたときが、一番嬉しかったです。それまでもSNSでコメントをしてくれる方はいましたけど、どんな人が何人来てくれるのか、全然わからなくて。ステージに上がった瞬間、メンバー1人1人のファンの方がいてくれて、すごいなと思いました。めちゃめちゃ緊張してましたけど、楽しさのほうが強かったです。

西村 デビュー曲の『未完成スターライト』を聴いたとき、「これが自分たちの曲だ。この曲を歌って踊るんだ」と思って、感動しました。

吉原 私は初めて自分たちの衣装を見たとき、感動が大きかったです。かわいいし、寸法を測ってもらって、1人1人スカート丈も違って。こんなに自分にピッタリの服は、今まで着たことなかったです。

走っているイメージで歌いました

――『キミ僕』は男の子目線のラブソングになりました。

園田 最初は歌詞を見て、恋する気持ちだなと思いました。ダンスも大きい動きが多くて、いろいろな形でハートが入るのもかわいくて。でも、<走った 走った>という歌詞に合わせた振りもあったり、さわやかさと半々かなと思うようになりました。

吉原 恋愛に限らず、友情とかいろいろな好きを伝える曲だと思います。

――レコーディングではどんなことを意識しました?

西村 走っていることはイメージしました。

吉原 歌詞の情景を想像しながら、明るい曲なので自分の好きなものも思い浮かべて、笑顔で歌いました。

――自分の好きなもの、というと?

吉原 『ちいかわ』のうさぎとか。

園田 『ちいかわ』を思い浮かべて歌ったの(笑)?

吉原 そう言ったら変ですけど(笑)、明るい気持ちになるようにしたくて。

「好き」は人のいないところで言ってほしい

園田 私も感情を歌詞に乗せようとはしていますけど、なかなか表現が難しくて。<走った>も<好きだよ>も何回もやり直しました。自分のイメージより「もっとオーバーで大丈夫」と言ってもらえて、最後は満足のいく形になりました。

――園田さんは締めの<好きだと叫んだ>までのパートも歌っています。

園田 この曲は最初から歌割りが決まっていて。私はメンバーの中でも表現が得意なほうではないので、<好きだよ>が多くて大丈夫かなと思っていたんです。でも、たくさん練習して、ライブでは自信を持って歌っています。

――<好きだよ>と言う相手をイメージしていたりも?

園田 歌詞では高校が舞台ですけど、ライブではファンの皆さんに向かって言うイメージですね。

――この曲では、校庭でみんなに見られている中で「好きだよ」と言ってますが、実際にこういう告白をされたら、どうですかね?

西村 普通に恥ずかしい(笑)。大声で言われたら、注目を集めてしまうので、誰もいないところで言ってほしいかもしれません。

吉原 自分がその光景を見ている立場だったら、面白いと思いますけど(笑)、言われる立場だったら恥ずかしいですね。

園田 直接言われると緊張しちゃうし、LINEでもイヤなので、間を取って電話がいいですかね(笑)。

北海道出身なのに一番の寒がりです

――西村さんのパートで<教室で横顔を見つめるだけで青春なんだ>というフレーズもありますが、共感しますか?

西村 私にはわかりません(笑)。

吉原 こういう話は学校ではあって、人の恋バナを聞くのは楽しいです。

――急な坂道を全力で走るようなことは、皆さんはしますか?

吉原 高校が坂の上で、いつも遅刻しそうになって走っていました(笑)。

西村 走ること自体、あまりしません。遅刻したら仕方ないと、急がないので(笑)。

園田 レッスンに行くときに寒すぎて、駅まで走って体を暖めたりはします。

――北海道出身だと、東京の寒さは何てことないのでは?

園田 でも、メンバーの中で、私が一番の寒がりです(笑)。暖房をつけたいときに、他のメンバーは上着を脱いで半袖だったり。北海道では冬はマイナス何度になるので、上京したら暖かいのかなと思っていたら、全然寒くて。すぐ暖房をつけてしまいます。

朝から配信すると初めての方が来てくれて

――レコーディング前にルーティンですることはありますか?

園田 水をいっぱい飲みます。1時間前に飲むといいと聞いて、朝起きた瞬間から飲み始めていて。家を出るまでに500mlを1本空けて、スタジオにも飲みながら行きます。

吉原 ノドが乾燥しないように、前の夜はマスクをして寝たり、私は鼻声になりがちなので、薬を飲んだりしています。

西村 歌う前にコンビニのチキンを食べます。油がノドに良いかなと。効果はわかりませんけど、良い声が出る気がします(笑)。あと、レコーディングが早めの時間だったりするので、寝起きで歌いたくないから、3~4時間前には起きるようにしています。

――そう言えば、吉原さんは朝6時とかからSHOWROOMの配信をしていますね。

吉原 配信する30分前くらいに起きて、若干寝ぼけていて、日付を間違えたりします(笑)。夜にできない日は朝にやったり、気分的に朝に配信したいときもあったり。朝だと初めましての方がたくさん来てくれます。

――定期公演も始まりましたが、ライブ前のルーティンはありますか?

吉原 いつもマネージャーさんにストレッチをするように言われて、みんなでやり始めます。

園田 私は緊張しちゃって、楽屋をずっとグルグルしています(笑)。

吉原琉音(よしはら・りおん) 2006年2月8日生まれ、神奈川県出身
吉原琉音(よしはら・りおん) 2006年2月8日生まれ、神奈川県出身

ビラ配りをするのに勇気を出しました

――『キミ僕』は勇気を出して「好きだよ」と伝えた歌ですが、皆さんが今まで、勇気を出してやったことはありますか?

西村 最近ライブ前にビラ配りをしているんですけど、最初の20分くらい、全然渡せないまま、立ちすくんでしまって。まず1枚を渡すのに勇気を出しました。

――今は普通に渡せるように?

西村 いえ、毎回初めての気持ちで勇気が要ります。でも、渡す側の気持ちがわかったので、自分が歩いているときも、ティッシュとか受け取るようになりました(笑)。

吉原 私もビラ配りは最初の1枚が緊張しますけど、1回もらってくれたらゾーンに入って(笑)、たくさん渡しに行けるようになります。でも、受け取ってもらえないと、また戻ってしまいます。

園田 私はビラ配りが得意なメンバーに引っ付いています。この前は早藤李紗、その前は古松華の後ろに付いて回って、配りました。

オーディションに受かってから悩んでいました

――それで、2人が他に勇気を出したことは?

園田 やっぱり1人で東京に出てきたのは、一番大きな決断でした。オーディションに受かってから悩んだんです。家族と離れたことがなくて、1人で行動できるタイプでもないし、電車にも乗れない。生きていけるのかなと思ったんですけど(笑)、最終的には行くしかないなと。今は何とかなっているので、良かったです。

――最初はどんなことで苦労しました?

園田 やっぱり電車ですね。地元では路線が1~2本しかないのに、東京では空港から来るだけでもめっちゃ乗り換えるし、同じホームに違うところに行く電車が来るとか、よくわからなくて。乗り間違えも結構しましたけど、今は電車で寝られるくらいになりました。人混みにも全然慣れました。

――今は東京暮らしを楽しんでいると。

園田 休みの日とか地元では家にいるだけだったのが、メンバーが一緒に遊びに行ってくれて。まだ観光に来た方が行くようなところを回っていて、竹下通りはよく行きます。だから楽しいんですけど、やっぱり家族に会いたくて。夜中に電話して「帰りたいよ~」と言ってます(笑)。

吉原 私はライブで歌うときに、いつも勇気を出します。声が出なかったらどうしよう、裏返ったら……と緊張してしまうんです。肩が上がってしまうのでスッと落として、深呼吸をして、勇気を出して歌っています。応援してください。

新生ラストアイドル

2023年に行われたオーディションで選ばれたメンバー6人により、同年9月に配信シングル『未完成スターライト』でデビュー。ラスト1人を加えた7人で、12月にお披露目ライブを開催。2024年より定期公演をZEAL THEATER TOKYOにて開催中。公式HP

『キミ僕』

デジタルシングル 配信中

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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