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”関東の富士見百景”選定の眺望と大空が大展開! なだらかな草原の山頂が魅力の「大野山」ハイキング

上町嵩広登山レポーター

△東京近郊ハイキング・レポ△(0007)

神奈川・丹沢山塊の南西側に位置する低山。山頂には牧歌的な風景が広がり、子ども連れのファミリーでも楽しめる人気のハイキングコースです。2024年も12月1日に「大野山アウトドアふゆフェスタ」開催予定!

<趣意>
東京とその近郊のハイキングで個人的なお気に入りのコースをピックアップして紹介いたします。

大野山の登山道の途中に置かれた木彫りの動物たち
大野山の登山道の途中に置かれた木彫りの動物たち

<こんな方にオススメ>

(1)秋から春にかけて低山ハイキングを楽しみたい。
(2)富士山の眺望がよい山が好き
(3)登山のついでにお花見もしたい

大野山ハイキングコースの案内看板
大野山ハイキングコースの案内看板

<概要>

大野山 (おおのやま)
所在地: 神奈川県足柄上郡山北町
丹沢南西部(丹沢湖の南側)に立地する。標高は約722m。

<ハイキングコース>

JR御殿場線「谷峨」駅を起点に大野山に登頂して同線「山北」駅へ下山するルート。前半は眺望に恵まれた開けた道を山頂まで登りあげ、後半は森のなかを下り最後は鉄道線路沿いに歩きます。

■谷峨駅から頼朝桜まで

JR御殿場線「谷峨」駅の駅舎は三角屋根でちょっとコテージ風
JR御殿場線「谷峨」駅の駅舎は三角屋根でちょっとコテージ風

とんがり帽子のような三角屋根の駅舎が特徴的な「谷峨」駅からスタートです。設置されている道標に従い線路、国道246号そして川を渡って登山口へ向かいます。道標がちょっと地味で目立たないので見逃し注意。

嵐集落のなかにある大野山ハイキングコースへの入口
嵐集落のなかにある大野山ハイキングコースへの入口

嵐橋(通行人数規制10人まで)を渡って左手へ舗装道路の坂をうねうねと上がっていきますが登山靴歩きだとちょっとツライ。やがて山上集落・嵐地区に入るとその左手に細い路地があり、「大野山ハイキングコース」の看板が掲示されています。

富士山の眺望 下の高架は東名高速道路
富士山の眺望 下の高架は東名高速道路

道を上がっていくとさっそく富士山の頭がひょっこりと左手に現れます。さらに上がり林道に出れば、傍らには源頼朝が手植えしたと伝わる桜の大木”頼朝桜”があります。

■頼朝桜から大野山頂上へ

広々とした草地の山頂がお目見えします
広々とした草地の山頂がお目見えします

林道を左手に進むと緑の屋根のトイレ棟があり、この裏手の舗装された坂を上がっていきます。すると今度は左手に見えてくるのが大野山の山頂域です。草原状の横に広がったピークはほかではあまり目にすることがないなーと思います。

ススキ原のなかの登山道を大野山頂上を目指して登っていきます
ススキ原のなかの登山道を大野山頂上を目指して登っていきます

富士山と愛鷹山
富士山と愛鷹山

相模湾と伊豆大島
相模湾と伊豆大島

登山道は標高を上げていくと次第に樹林が切れてススキ原の草地となり空が大きく開けます。なかなか開放的で気持ちのよい道。ふたたび富士山も姿を見せて、その南側に愛鷹山、箱根そして伊豆半島や相模湾(伊豆大島も!)も見渡せるように視界が大きく広がります。しばし立ち止まって感嘆♪。

大野山頂上
大野山頂上

大野山の山頂広場
大野山の山頂広場

風に揺らめくススキ原のなかの登山道を上がっていけば大野山の山頂です。山頂は開けた平らな草地の広場となっており、まるで高原ピクニックに来たような雰囲気。陽気のよい日和にはレジャーシートを広げてお昼ご飯を頂きながらお日様を浴びて寛ぐにはピッタリだなーと感じます。

大野山頂上からのおっきな富士山
大野山頂上からのおっきな富士山

西から東へ相模湾と伊豆大島を見渡すパノラマ風景
西から東へ相模湾と伊豆大島を見渡すパノラマ風景

大野山の最大の魅力はやはり山頂の展望に尽きます。”関東の富士見百景”にも選ばれるのも納得のキレイな山容の富士山。さらに富士山から南へ伸びる地平が海に至るまで続く広大なパノラマ風景はなかなか壮観です。

北側には丹沢の山脈の連なりがよく分かります
北側には丹沢の山脈の連なりがよく分かります

個人的には富士山とは反対側の北東側に見渡すことができる丹沢山塊の景色が非常に印象的でした。目の前を遮るものがないので塔ノ岳、丹沢山そして蛭ヶ岳とそのピークの連なりがまさに一望できます。大野山は丹沢の稜線をもっとも美しく観望できるスポットのひとつと言ってもよいのではないでしょうか。

■大野山頂上から下山して山北駅まで

牧場の脇の階段道を下っていきます
牧場の脇の階段道を下っていきます

後半は大野山頂上から下山開始です。山頂から東へ向かって道を下っていきます。地蔵岩コースと記載された道を”薫る野牧場”の脇に抜けて長い階段道を下りていくと林の中に入ります。

登山道の終点を振り返る
登山道の終点を振り返る

一本道ですが斜面にトラバース気味に付けられた道のためすこし幅が狭い。薄暗い針葉樹林を抜けると舗装道路に出ました。その先は山上集落・古宿地区となります。

銘茶・山北茶の茶畑でしょうか
銘茶・山北茶の茶畑でしょうか

古宿集落の旧・共和小学校を左手の路地に入ります。すこし道を進むと山肌に拓かれた茶畑が広がっています。このあたりは神奈川の銘茶”山北茶”の産地なのでしょう。

集落のなかの細い路地を小さな道標を目印に進みます。やがて麓まで下りきり、東名高速の高架下をくぐり国道246号線に合流です。国道を東へ山北駅へ向かって歩きます。

御殿場線の両脇には桜が植栽されています。土手には菜の花がたくさん咲いています
御殿場線の両脇には桜が植栽されています。土手には菜の花がたくさん咲いています

一足早く咲いた桜
一足早く咲いた桜

国道と御殿場線の線路が交差しますので線路沿いの側道を歩いて行きます。この線路沿いの道は両側に桜が植栽されており、春になりますと土手に咲く菜の花と合わせて見事な桜並木となります。鉄道が走る様子と合わせて写真撮影される方も多くいらっしゃるスポットです。

さらに線路に沿って先へ進めば「山北」駅に到着です。今回はここごゴールになります。

大野山はほかの山稜ではあまり経験することのない山頂の広大で開放的な雰囲気が楽しめます。さらに低山とは思えぬほどの富士山をはじめとするパノラマ風景の展望が際立っていました。秋から春にかけてのんびりとハイキングを楽しめる東京近郊の絶好のハイキングコースだな~と感じました。

[行程表]

※標準的タイムによる目安(休憩のぞく)
谷峨駅→ 嵐集落(80分)→ 大野山(40分)→ 地蔵岩コース入口(15分)→ 旧・共和小学校(100分)→ 国道246号線合流点(40分)→ 山北駅(20分)
コースタイム/ 5時間程度
標高差/ 600m程度 (谷峨駅:168m、大野山:722m、山北駅:156m)

[アクセス]

●往路
JR御殿場線「谷峨」駅から徒歩。
●帰路
JR御殿場線「山北」駅まで徒歩。
《参考》
JR御殿場線はJR東海の管轄になります。交通系ICカードをJR東日本側から乗り越してまたいでの利用はできません。そのため交通系ICカードで最初のJR東日本側の乗車駅に入場するのではなく切符を購入することが望ましいです。小田急線「新松田」駅でいったん下車(小田急線改札を出る)してから、改めてJR御殿場線「松田」駅でJRの改札を利用して乗換える場合は交通系ICカードで問題なく通過・下車できます(逆も同じ)。※要は、異なる管轄区域をまたいでの交通系ICカードの利用ができません。

<ハイキングコースの補足>

道標が要所にあるので迷うことはあまりないと思います。ただし道標がすこし目立ちません。
ゴールデンウィーク頃から秋口まではヤマビルが出ることもあります。
例年4月29日に開山祭、12月初旬に「大野山アウトドアふゆフェスタ」が開催されます。また麓の山北町では例年4月上旬に「やまきた桜まつり」が開催されます。
●水場やトイレなど
水場は登山道上にはありません。
トイレは谷峨駅、頼朝桜のそば、大野山頂上、山頂下の駐車場、旧・共和小学校そば、山北駅にあります。

[難易度・危険箇所など]

とくに大きな難所や危険箇所などはほとんどありません。
●エスケープルート
大野山の山頂からは谷峨駅へ戻った方が時間も早く安全だと思います。

[付近の山]

畦ヶ丸
塔ノ岳
鍋割山
丹沢主稜(檜洞丸・蛭ヶ岳・丹沢山など)
大山
相州アルプス(経ヶ岳・仏果山・高取山など)
渋沢丘陵

<お立ち寄りしたお店>

●Yamakita Sakura Cafe

「Yamakita Sakura Cafe」外観
「Yamakita Sakura Cafe」外観

薫る野牧場産のジャージー牛・濃厚ソフトクリーム
薫る野牧場産のジャージー牛・濃厚ソフトクリーム

山北駅近くの線路沿いにあるカフェです。大野山頂上で牧場を営む「薫る野牧場」で飼育された乳牛たちのミルクからつくられたソフトクリームを販売(山頂の牧場ではソフトクリームなどの販売・提供はありません)。ミルクの風味がとても濃厚ですが甘味は控えめでサッパリといただけます。ジャージー牛の生乳80%を利用した無添加が特長です。
所在地:神奈川県足柄上郡山北町山北2597-10

<関連記事>

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<参考リンク>

かながわの山に登りたい (神奈川県)
丹沢大山エリアの登山道通行情報 (神奈川県)

(2024年11月27日 上町嵩広)

登山レポーター

登山やトレッキングに関する極私的な観点からの感想や記録のレポートがメインです。登山道の情報だけでなくお食事処や立寄り湯などの関連情報もお伝えしていきたいと思います。皆様の今後の山行のお役に立ち、またこれから登山を始めたいと考えていらっしゃる方のためになれば幸いです。登山歴は15年ほど。普段は奥多摩や丹沢周辺に出没し、八ヶ岳や北アルプスにも出張ります。雪山やテント泊もやっています。ブログ「note」内でマガジン『登山の魅力』や『歴史に連なる山登り』なども掲載しております。よかったら併せてご覧ください。好きな山は「編笠山」(八ヶ岳)。山の抱負は「ちょっとだけ背伸びした山を登ってみる」

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