外食産業は11年周期で不況を繰り返している!
飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表コンサルタントの三ツ井創太郎です。
前回のコラムでは、適正販促コストが一目でわかる「CPO分析」についてお話をさせて頂きました。
今回のコラムでは、11年周期で繰り返す外食産業不況についてお話をさせて頂きます。
なお、今回の内容はYouTubeチャンネルでも解説していますので、よろしければ下記よりご覧ください。
(筆者作成)
2020年からの外食不況を予測した「11年周期理論」
私は、新型コロナウィルスが流行る前から、「2020年以降、外食産業は不景気時代に突入する」ということを、コンサルティングやセミナーの場で伝えてきました。
実際、2018年に私がゲストコメンテーターとして出演した報道番組で「2020年外食不況論」についてお話しした時には、スタジオにいた経済学者の方などからは「2020年以降は、東京オリンピックのインバウンド需要拡大など、外食産業にとってプラス要因が多いので、景気は良くなるのでは?」という意見が多く、首をかしげる人がほとんどでした。
しかし、実際には2020年3月にコロナ禍が発生し、外食産業は未曽有の大不況期を迎えることになります。
私は占い師でも超能力者でもないので、当然ながら「コロナ禍」という事態を予測していた訳ではありません。下表は、私が2018年の報道番組で使用したデータです。
これは、過去30年間の外食産業の売上の推移です。私が特に気にしているのは、各年の前年対比です。
グラフをよく見ていくと、外食産業は約10年~11年周期で、前年売上を大きく下回る出来事が起きていることがわかります。1980年代後半は、外食産業は大きく市場成長し、大手チェーン等が一気に店舗数を拡大させた時期でした。
1997年に消費税が3%から5%に引き上げられましたが、ここから外食産業は毎年大きく売上が減少していく低迷期を迎えます。私はこれを、外食産業における「5%消費増税ショック」と呼んでいます。
2006年頃からは若干の売上回復傾向が見られ、外食産業の未来の展望が見えてきたその矢先、2008年にリーマンショックの影響を受けて大きく低迷(5%消費増税ショックから11年後)、さらに3年後の東日本大震災で多大な影響を受けるも、それ以降は再び売上回復傾向にありました。
外食産業の市場規模は2015年には2002年以来、13年ぶりに25兆円を超え、一部メディアでは「外食市場が再び30兆円に向けて成長」などと報じていました。さらに、当初2020年に予定されていた東京オリンピック後、「インバウンド需要の高まり」で、このままどんどん売上が伸び続けるのではないか?というのが、2018年当時の外食産業に対する展望でした。
しかし、私は外食産業が過去に11年周期で売上低迷を繰り返していること、さらに2019年からの増税、東京オリンピック後の景気対策の不透明さ、そして極めつけとなる2020年からの人口減少問題などから、「2020年以降に外食業界は不況に転じる」と予測していたのです。
外食不景気時代に備えよ!
誰しも未来を予測することは不可能です。しかし、未来を予測する上で重要となるデータがあります。それは、「将来人口推計」です。将来人口推移を見れば、日本の人口はこれからもどんどん減り続けることが明らかです。つまり、「超人材不足時代の到来」です。人口減少によって「胃袋の数」が減ると、当然ながら外食産業の市場規模も縮小していくことになります。
こうした外食産業を取り巻く様々なマイナス要因からもたらされる、2020年以降の外食不景気時代に備えるため、コンサルティング支援先では2018年頃から様々な準備をしてきました。ここで私が言いたいのは、「コロナ禍がなくても2020年以降は飲食店にとって楽な時代ではなかった」ということです。
飲食店は投資額が大きく、投資回収期間が長いビジネスであるため、短期的なトレンドだけではなく、中長期的な時流を見据え、リスク回避策を常に考えておくことが大切です。これからのニューノーマル時代を生き残るためには、5年、10年先を見据えた経営戦略を考えていく必要があるのです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
(筆者作成)
<筆者プロフィール>
飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント
代表取締役 三ツ井創太郎