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「ワン・ダイレクション」リアム・ペイン突然の訃報、現在までに判明したこと #専門家のまとめ

10月17日のブエノスアイレス、訃報に涙する人々(写真:ロイター/アフロ)

現地時間10月16日(日本時間17日)、英人気ボーイ・バンド「ワン・ダイレクション」の一員だった歌手リアム・ペインが急死した。31歳だった。滞在先だったアルゼンチンはブエノスアイレスのホテル、3階の自室ベランダから転落したとみられている。他者が介在した形跡はなく、彼自身のひどい混乱状態からの落下と報じられている。このニュースに、ファンはもとより、世界中の多くの人が衝撃を受けている。

ココがポイント

警察は、ペインさんは宿泊していた3階の部屋から転落したとみていて、薬物とアルコールの影響を受けた可能性を指摘しています。
出典:TBS NEWS DIG 2024/10/17(木)

ブエノスアイレスの警察によると、ホテルからの最初の通報は、「薬物かアルコールの影響を受けていると思われる攻撃的な男性がいる」というものだった。
出典:BBC NEWS JAPAN 2024/10/17(木)

リアムは現地時間9月30日に恋人でインフルエンサーのケイト・キャシディ(25)とアルゼンチンに到着(中略)ケイトは先にアルゼンチンを離れていた。
出典:Techinsight 2024/10/17(木)

高所から転落し頭部を含め25カ所の外傷を負い、大量出血したことが死因だったと発表した。ホテルの部屋からは薬物や酒類を押収。乱用で失神状態に陥り転落したとみて捜査している。
出典:時事通信 2024/10/18(金)

「ワン・ダイレクション」のメンバーらが日本時間18日、グループ公式インスタグラムを更新し、急死したリアム・ペインさんについて沈黙を破った。
出典:スポーツ報知 2024/10/18(金)

家族は「私たちは悲痛です。リアムは永遠に私たちの心の中で生き続けます。私たちは彼の優しく、面白く、勇敢な魂を忘れません」と短い声明を英メディアを通して伝えた。
出典:スポーツ報知 2024/10/18(金)

エキスパートの補足・見解

2010年代にポップ音楽の歴史を文字どおり塗り替えたワン・ダイレクション(1D)の伝説が、このような悲劇へとつながってしまったことに、世界中の多くの人々が動揺している。10年に結成された1Dは16年に活動休止するまでに国際的なヒット曲を連発、その人気は「デビュー当時、アイドル・バンドだったビートルズに匹敵する」とまで、本国イギリスにおいて頻繁に言及された。まだ少年の面影を残す若者たちは「それほどまでにも」巨大な存在だった。どちらかといえば時代遅れになっていた「ボーイ・バンド(Boy band=男性が歌い踊るグループという意味。ちなみに日本での「ボーイズグループ」や「ボーイズバンド」は、国外では通用しないカタカナ語なので要注意)」を、最先端のポップ現象へと見事に「変換」してしまったのが彼らだった。1Dの達成がなければ、その後のBTSを始め、Kポップ・ボーイ・バンドの国際的成功はあったかどうか。そんな栄光をきわめたペインの内面を、音楽業界にはつきもののドラッグ禍、アルコール禍が蝕んでいたのだろうか。あってはならない事態の、一日でも早い収拾および、故人への適切な追悼がおこなわれることを、いまはただ祈りたい。

作家。小説執筆および米英のポップ/ロック音楽に連動する文化やライフスタイルを研究。近著に長篇小説『素浪人刑事 東京のふたつの城』、音楽書『教養としてのパンク・ロック』など。88年、ロック雑誌〈ロッキング・オン〉にてデビュー。93年、インディー・マガジン〈米国音楽〉を創刊。レコード・プロデュース作品も多数。2010年より、ビームスが発行する文芸誌〈インザシティ〉に参加。そのほかの著書に長篇小説『東京フールズゴールド』、『僕と魚のブルーズ 評伝フィッシュマンズ』、教養シリーズ『ロック名盤ベスト100』『名曲ベスト100』、『日本のロック名盤ベスト100』など。

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