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再結成オアシスにファン大沸騰、チケット販売問題に英政府まで本腰の混乱発生中! #専門家のまとめ

オアシスのギャラガー兄弟、左がリアム、右がノエル。マンチェスター近郊のパブ外壁(写真:ロイター/アフロ)

これもまた「祭り」ということなのか。先ごろ15年振りの再結成を発表した、90年代イギリスを代表するロック・バンド、オアシスの周辺が騒々しい。コンサート・チケットが入手困難かつ「高額化」するシステムに対する非難の声止まず、ついに英政府およびEUが調査に乗り出すことに。一方で90年代に発表した旧作シングル曲が計3曲同時に全英トップ10入り確実と、いまだ大フィーバーは止まるところを知らない。

ココがポイント

英政府は(中略)需要が高まるとチケット価格が上がる「ダイナミック・プライシング(変動価格制)」を調査する方針だ。
出典:産経新聞 2024/9/3 (火)

チケットをめぐっては、異常な高値で販売されるなど、多くのファンが不満をあらわにしていた。
出典:AFP=時事 2024/9/5 (木)

オアシスが、全英チャートでサブリナ・カーペンターらとトップ争いを繰り広げることが分かった。
出典:よろず〜 2024/9/4(水)

これまで何度か“再結成”のうわさが流れていたが、今回は現実になった形だ。
出典:Sponichi Annex 2024/8/27 (火)

エキスパートの補足・見解

チケット問題に関しては、(音楽好きの)英スターマー首相自ら「がっかりさせられた」と言及、システム上の問題に対して、規制当局が「緊急の見直し」に着手していることを表明した。つまりオアシスは、もはやある種の「社会的問題」を巻き起こしているとも言えるわけだ! 彼らやブラーがデビューし活躍していた90年代とは「ブリティッシュ・ロック・バンド」の伝統が輝いていた最後の時代だった、のかもしれない。そのあとも、いいバンドはいっぱい出現している(シーン全体がラップやKポップに支配されたわけではない)し、古参バンドも活動盛んだ。しかし――オアシス「だけ」は、別格なのだということが明らかとなった「騒ぎ」なのではないか。とにもかくにもまずイギリスにて「国民的バンド」として大成し、そのことをアメリカ人も日本人も、いや世界中の人々が愛している。この構図を堅持できている存在は、世にそれほど多くない(普通はローリング・ストーンズのようにフラットな「国際的」アイコンになってしまう)。そして言うまでもなく、その最大規模のバンドがオアシスなのだ。ゆえに……ふたたび動き出した瞬間の「混乱」も、また桁外れなのかもしれない。

作家。小説執筆および米英のポップ/ロック音楽に連動する文化やライフスタイルを研究。近著に長篇小説『素浪人刑事 東京のふたつの城』、音楽書『教養としてのパンク・ロック』など。88年、ロック雑誌〈ロッキング・オン〉にてデビュー。93年、インディー・マガジン〈米国音楽〉を創刊。レコード・プロデュース作品も多数。2010年より、ビームスが発行する文芸誌〈インザシティ〉に参加。そのほかの著書に長篇小説『東京フールズゴールド』、『僕と魚のブルーズ 評伝フィッシュマンズ』、教養シリーズ『ロック名盤ベスト100』『名曲ベスト100』、『日本のロック名盤ベスト100』など。

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