【杉並区】行列する前に急げ!たった1年で「ミシュランガイド」ビブグルマンに選ばれた荻窪ラーメンの新星
『迂直』の場所にできた、あの店が・・・
12月8日に発売となったばかりの『ミシュランガイド東京2024』に目を通して、驚きと共に思わず頷いた荻窪在住のラーメン愛好家も多いことだろう。
ご存じの通り、ミシュランガイドと言えば、腹面調査を基にした一つ星から三つ星の格付けが有名だが、星は付かなくても、価格以上の満足感が得られる料理を提供している店を「ビブグルマン」として紹介している。
ラーメン部門が創設されて、今年で9年目となるのだが、今回初めて掲載された3店舗の中に荻窪の『there is ramen』(ゼアー イズ ラーメン)が見事、選出されていた!!
なかなか開店しなかった理由とは?
『there is ramen』は、2022年10月16日オープンした、まだ1年そこそこの店。店主の高橋祐之輔さんは、都内のイタリアンや和食店で修行を積みながら独学でラーメンを研究。故郷の山形でラーメン店を経営後、御徒町の『鴨 to 葱』や恵比寿の『手打 親鶏中華そば 綾川』といった東京を代表する名店をプロデュースした凄腕だったのである。
店は荻窪駅から徒歩で約7分、青梅街道から衛生病院に抜ける路地の一角にある。
”『吉田カレー』の角を入った『迂直』(うちょく)の跡”と言えば、荻窪のグルメに明るい人ならばピンと来るはず。
店内は、2022年の1月に閉店した『迂直』の間取りをほぼ踏襲したシンプルな造りで、厨房との仕切りが高いカウンターに6席のみ。最近のラーメン専門店に有りがちな蘊蓄や注意書きなどは一切、貼られていないという潔さに好感が持てる。
かつては『迂直』に心酔していた酔街草なのだが、正直、後釜に入るらしきラーメン店には、あまり期待してはいなかった。ただ、店の内装が終わってからも、なかなか開店しないのを不思議に感じていたのだが、後日、納得のいくまでスープ作りに試行錯誤していたと知って溜飲が下がる思いだった。
今でこそ、煮干しのスープとチャーシューの旨さに魅了されて足繁く通っているひとりなのだが、かつての『迂直』のような大行列の再来にならぬ事を、ただ祈るばかりだ・・・。
豚バラと肩ロースの2種類のチャーシューが楽しめる看板メニューのチャーシュー麺(1200円)。柔らかさと噛みごたえのバランス良く、肉のボリュームにも満足。一見、喜多方ラーメンを彷彿とさせる盛り付けだ。
炙ったコロチャーシューとネギが添えられた白めし(150円)は、卓上のカラシとタレで自分流にアレンジしてミニ・チャーシュー丼に。
野菜は使用せずに、煮干しと豚、鶏などをベースにした清湯スープ。自分にはやや塩味が強いと感じるときもあるが、喉ごしの良い中太のストレート麺が熱々のスープに絡んで最後の最後まで旨し!
ワンタン麺(1100円)は、後発メニューとして今年になってからの登場。おそらくワンタンも試行錯誤を繰り返したに違いない。大ぶりでもちもちとしたワンタンの食感は、スープとの相性も抜群!
味玉は別皿で提供される。と言うのも、丼にはスープがなみなみと注がれているため、おそらく物理的にトッピングするのは無理なのだろう。
初めての場合でも、まずはチャーシュー麺にトライしていただきたい。ビールのつまみにしたいなら味玉入りがおすすめだ。
ビールは、「ハートランドビール」(中瓶650円・小瓶550円)が用意されているのも嬉しい。
ビブグルマン獲得、お慶び申し上げます!
「店側のこだわりや薀蓄をひけらかさず、情報を食べてもらうのではなく、一杯のらぁめんを純粋に楽しめる環境を作りたくてこの店を作りました」と、高橋さんは語っている。
この言葉を裏付けるように、カウンター脇の壁には、”一杯のらぁめんが旨いと思える人生を送ろう”と書かれた人生訓のごとき言辞が飾られている。
また、正面の壁の高い位置からは、高橋さんの祖父と思しき写真が店内を見下ろしているので注目していただきたい。
『there is ramen』の卓越した味への評価はもちろんなのだが、この小さな額と祖父の写真を見逃さなかったミシュランの覆面調査員の慧眼には脱帽するしかない。
さてさて今宵も大満足〜ご馳走様!